.PEN-FV#1067XXは1967年9月の生産で、FTで言うと16万台頃の初期型に属する個体ですね。放置が長かったと見えて光学系の劣化が大きいようです。全反射ミラーとプリズムの汚れが見えます。
トップカバーを開けて見ると・・未分解の個体ですが、セルフタイマーのリンケージも腐食が進んでいます。
全反射ミラーにはカビがありますが清掃は可能の範囲です。しかし、反射率は低下していますので新品と交換するか悩むところ。
変更前のセルフタイマーですが、ギヤの錆が多いです。果たして正常に作動するか・・
残念なのがリターンミラーの腐食が進んで清掃ではきれいにならないこと。撮影には影響はないので、こちらも交換をするかこのままにするか?
問題発見。これも多い不具合ですが、圧板のカシメが外れています。前回も書きましたが、この頃のオリンパスはカシメ不良が多いと感じます。実際に作業をしているのは工場ではなく外注でしょうけど。
カシメ不良と言うよりはカシメリベットの肉厚が薄く強度が無いのです。まるで事務用品の鳩目に近い。
撮影画像には影響ありませんが、オーナーさんのご希望によりリターンミラーを交換しました。残念ながらプリズムには微細な腐食があります。PEN-FとPEN-FTの初期までのプリズムは腐食します。それ以後の腐食は見られませんので、品質を改良したようです。
スローガバナーが改良前の初期型シャッターユニットですが、幸い摩耗は進んでいません。シャツターバネも条数の少ない改良前ですからテンションは上がりません。
完成した前板を組み込みます。
この個体は光学系の劣化が進んでいましたが、ビューファインダーのレンズにカビがありますね。経験的にこのカビは落ちないのです。
初期型はレンズの組立はねじ込み式です。中期からはサークリップ式になり組立の簡略化をしています。一番右のレンズ#2のコーティングにカビがあります。
折角ミラー関係を新品にしたので、レンズも私の判断で交換させていただきました。
かなり厳しい状態のセルフタイマーユニット(改良前タイプ)を復活させて、ほぼ組立完成。巻上げのフィーリングは初期型特有の「ヌルッ」とした感触で、これはシャッターバネとリターンミラーユニットにより作り出されている感触で、中期以降の個体とは明らかに違います。
圧板は接着で補修しました。表面の研磨と取付けステンレス部のカビを清掃してあります。
PEN-FVにも変更後のユニットで組まれている個体も存在しますが、この個体はまんま初期型でした。長期放置により光学系の劣化が進んでいましたが、メカ部分の消耗は少ないため信頼性は高いです。外観のへこみや傷も少なく良い個体となりました。
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