40mm f1.2を装着するとフリーズするというお訴え。40mmを装着する前提であればこの個体(20万台)はあまり良いマッチングではないと思いますよ。20万台はまだシャッターバネが強化されていない頃で、レンズの40mmは大口径のため作動トルクが大きく、フリーズするかシャッタースピードが遅くなる危険性が高くなります。点検すると、FT側のフリクションが大きく、40mmの絞りもかなり重いです。両方のフリクション低減処置が必要です。
当方のFT本体に装着テストをしてもやはりフリーズしました。どちらかと言うとレンズの方が重症ですね。レンズを取り除いて絞りのリンケージ作動をチェックします。絞り羽根が大きいので、作動負荷はどうしても大きくなるのです。
対策を取って行くと・・やっと絞りましたね。羽根の後ろ側にカメラ機構が見えます。しかし、まだシャッタースピードが遅いです。
途中省略しますが、過去に分解を受けた個体で、前期型特有の問題もあって、いろいろ問題のあるシャッターユニットでした。半日掛かってやっと前期型のヌメ~っとした巻上げフィーリングになりました。
巻上げレバーが収まると引っ掛かりがある。観察するとレバーの先端が下降気味に曲がっていてダイカスト本体に接触をしています。
過去にシャッターの分解を受けていますが、基本的には悪くはない個体なのですが、最大の問題はFTの中でも製造が古いということです。FTは皆同じではありません。メカも設計変更を繰り返し、光学系も耐久性の向上を目指して改良されて行きます。この個体の場合は光学系のコンディションに問題があります。プリズムのコーティングが劣化しています。この後、拭き上げですべて剥離しました。
ハーフミラーも年代相当の劣化があります。これは新品と交換します。
接眼プリズムのコーティングも手遅れ状態でした。リターンミラーは清掃してありますが、腐食痕が見えますね。反射率は低下しています。本来は新品と交換した方がよろしいですが、今回は再使用とします。
セルフタイマーユニットの個体方法はメーカーでも色々試行錯誤で苦労をしたとみえて、何種類も形式があります。この頃は、ユニットの固定と水平維持のために、地板にタップを切ってネジでダイカスト巻き戻し軸部に当てて固定調整をするようにしています。以後はまた別の方式になります。
残念ながら、プリズムのコーティングが無いため、コントラストが弱いファインダー像となっているのが残念なところ。40mmの装着作動は問題ありません。