相変わらず今日も暑いですね。みなさんは、もう一息でお盆休みでしょうね。もう一頑張りです。私はリペイントを終わらせてちょっとうだうだしています。そう、少し前に北海道のINOBOOさんから季節の便りが届いていました。ジャガイモの花だそうです。広大な畑に朝靄が掛かって何とも涼しげですね。あ~、北海道に行ってアイスクリーム食べたい。
で、まだうだうだです。先日仕上げたセイコー・スーパーですけどね。付属していたジャバラベルトを超音波洗浄をして取り付けてみました。まぁ、すごい油汚れで何度も洗いました。今まで、ジャバラベルトはオヤジのベルトと敬遠して使ったことがありませんでしたが、考えてみたら自分もオヤジの年齢でした。使用感がこれが楽です。バックルがないので、時計が腕の中心にピタッと来て心地よい。締め付けもそれほど感じません。そこで、昭和40年代初めぐらいまでかなぁ。私が子供のころ、夏になると大人が汗止め用に腕に包帯を巻いて腕時計をしていた記憶があって、それが何ともかっこよいと記憶に残っています。姉ちゃんのクラスでも、怪我もしていないのに包帯をアクセサリーにするのが流行ったりして・・坂本九やバラキンの時代です。で、子供のころの憧れをやってみました。う~ん、気持ち良いですよ。これで今から床屋さんに行ってみようかしら・・
包帯のルーツは、昔、帝国軍人の将校が同じように包帯の上に腕時計をしている映像があって、当時は防水性能のない時計を劣悪な環境下で使う実践的な知恵だったのでしょう。じゃあ、時計も少し古くして、と言っても、これも戦後の設計の新10Bですけど、同じ10型なので雰囲気は一緒かと・・南方戦線の戦車兵みたいだな。もうすぐ敗戦記念日が来る。
では本題です。あら~、3台のカメラを紙袋で送ってこられた方は初めてですよ。大丈夫でしょうか?・・
キヤノンⅡDのようです。巻上げダイヤルの回転が極端に重いとのことで、分解をしましたが、逆転防止用のバネが変形しています。何度も分解を受けていますので巻上げダイヤルが緩んで(剣先のイモネジに問題あり)いたところを逆に回して変形させたものでしょう。このバネは変形すると逆転を止められなくなりますよ。
巻上げダイヤルの緩みの原因ですが、イモネジの先端が本来剣先に尖っているのですが、何度も締め込んだために先端が平らになってしまい、スプール軸を留めることが出来ないのです。オイルストーンにて鉛筆削りをして修正をします。
もう一つの不具合は、駒数カウンターが正確に同調しないとのこと。ここは、ダンパーグリスで固定しますが、水油がつけられている状態。これでは滑りますね。摩耗もあるので、一番硬いグリスを塗布して同調を見ます。
40枚まで正確に同調します。その他、アイレットの曲がりはカシメの修正や彫刻文字の入れ直しその他清掃をしておきます。
アイレットも真っ直ぐになりました。スローダイヤルに汗によるメッキの劣化がありますが、きれいな個体ですね。巻上げは軽く、シャッターの調子も良好です。
では、次やるニダ。PEN-FT #2760XXですが、何々・・「レンズ脱着の時にごりつきがある?」これはカメラ本体ではなくて、レンズのヘリコイドグリスが抜けてガタが出ているのでしょ。あとは二回巻き上げね。
で、分解とセルフタイマーボタンをはずそうとしましたがレンチが滑って外れませんねぇ。面取りを大きく取った部品が使われている頃です。確かにこの方が製品の完成度としてはカッコ良いですけど、あとの分解のことを考えていないよね。幸い、ネジ自体が緩んでいたので、裏ワザで分離をしてボタンを外しているところ。
過去に分解修理を受けていますね。露出計の基板は抵抗が交換されています。
前板の留めビスも1本欠落しているし・・
きったないユニットだなぁ。モリブデングリスを塗りたくってありますが、このような着け方をしても意味はないと思います。シャッター自体には手を付けていませんね。取りあえず全て分解洗浄から・・
では、いつものように洗浄後に組立をしていきますが、長くなりそうな予感があるので簡単に行きますね。巻上げ系を組んだところ。
油と汚れまみれのシャッターユニットを洗浄して点検します。二回巻き上げにしては、歯車の損傷は大きくないようです。スローガバナーも良好です。
シャッターユニット完成。これで各部の注油はしてあります。目に見えるほどの油を着ける必要はありません。
ミラーユニットも油でギトギトでしたので、すべて洗浄をしてあります。注油も済ましていますよ。
ハーフミラーは拭き傷は目立ちますが腐食はないので再使用も可能ですが、オーナーさんのご希望で新品と交換します。
この個体はビスやワッシャーが欠落している部分が多いですよ。露出計ユニットを留める3本のビスのうち1本がありません。じつは、最初から2本で組まれている個体もあるのですが、この個体はねじロックから3本で組まれていました。なぜ工場で省略したかというと、この部分はドライバーが真っ直ぐに入らないのです。米谷さんの設計にはよくあることです。それで工程上省略したのでしょう。この個体は正規のビスを追加して組みます。
ちょっと、嫌な予感がしていたのですが、セルフタイマーユニットの留めビス2本のうち、右側のビスとワッシャーが欠落しています。なんで?? じつはね。このユニットは、設計変更後のものに交換されているのです。
分かりますかね。右のユニットが本来この個体に適合するユニットです。右側のねじ穴位置を見比べてください。左の設計変更後のユニットはねじ穴が右に寄っていますね。これは、マウントを分離せずにセルフタイマーユニットを分離できるように設計変更したためです。サービスさん辺りから「めんどくさい」とでもクレームが入ったのではないでしょうかね。知らないけど・・
ユニットを交換するか、このまま知らないふりをするか?
まぁ、いいや。オーナーさんはセルフタイマーは使わないと言われるし、ダイカスト本体に接着で強度を保持させておきます。しかし、なぜ交換する必要があったのでしょう。動かなければ治せば良いだけと思いますけど。
少し問題はありましたが巻き上げはスムーズでシャッターの調子も良好。現存の中では90点以上は上げてよい個体です。ただし、オーナーさんからのご要望で、前面の「MP」の上部の色が抜けているとのご指摘。これは、プレスが甘くて落とし込みが足りないために手の摩擦によって剥離したものです。こんなのは珍しいけどね。工場ではかろうじて色入れ出来たけど、使用過程で梨地も磨滅するので、現状の色入れは困難です。一応補修をしてありますけど、すぐに抜けてしまうと思います。深さ0.1mmも無いぐらいですから。
2台目のPEN-FT #2514XXですが、こちらの個体の方が使い込まれているようです。毎回二回巻き上げになりますね。特に問題が無ければダブるので簡単にUPをします。
この個体は雨の日に使うことが多かったのかな? 結構ダイカストが粉を吹いていますよ。マウント取付け部も同様でした。
アイビース枠がバラバラになっていました。アクセサリーシューなどを取付けていた個体に良くあります。通常は片方だけが多いのですが、この個体は両端ですので、接着修理をしても強度がないと判断して交換することにします。
すべて洗浄をしてから組み立てています。電池室のリード線の半田付けが取れましたので再半田をしてあります。
シャッターユニットの洗浄点検です。ブレーキナットに緩みが発生していました。このナットは緩みやすいです。
もう一つの問題。シャッター幕のセクターギヤ軸の回転が異常に重いです。じつは、これも結構ある不具合で、シャッタースピードが上がりません。現状は殆ど無給油で作動していますので、摩耗のため軸が荒れてくるのですね。改善させています。
付属の20mmですが、ヘリコイドの回転がスムーズでない。また、ガタもあります。ヘリコイドグリスの劣化と抜けですね。過去に分解を受けていますので、ネジ部もあまり良くはありません。
そんなことで、2台のFTは両方とも良い感じに仕上がりました。1台はパートナーさんの使用機だそうです。最後にⅡDを入れて記念撮影。
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