にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

『プレシャス』

2010年05月09日 | MOVIE
『プレシャス』Precious: based on the novel “Push”by Sapphire(2009年/米)
監督:リー・ダニエルズ。
出演:ガボレイ・シディベ。モニーク。ポーラ・パットン。

ニューヨークのハーレムで暮らす巨漢の少女プレシャス。彼女は日々母親の虐待を受け、今は家を出てしまった父親からも性的虐待を受け、以前にも一人の子を産み、また今も妊娠していた。そしてその妊娠が原因で学校を退学になり、校長からフリースクールを薦めらる。そこで出会った女性教師レインの誠実な授業に、やがて読み書きを覚え、自分の心を吐露するようになる。

アカデミー賞、助演女優賞と脚色賞受賞で、とても気になる作品だった。しかし同じ巨漢でも『しあわせの隠れ場所』との違いは一体なんなんだ?どんなに荒れた生活であっても、子供をまともに育てられない親であっても、そこに親としての愛があるかないかでこんなにも生き方が変わってしまうのか。プレシャスも決して悪い少女ではない。空想の世界に自分を置き、過酷な現実からの逃避でなんとか生きている少女。その少女が読み書きを覚えることで少しづつ自分をみつけていくのですが、その過程でも私には『しあわせの隠れ場所』のマイケル・オアーが持っていた優しさが全く感じられなかった。確かに最初は優しい少女でいられるはずはなく、攻撃的な冷ややかな瞳で日々をただなんとか生きている・・・それは全くの新人でこの役を得たガボレイ・シディベは見事に演じていると思う。でもレイン先生との出会い、問題はあるけど気さくで気が置けないクラスメートたちとの交流で少しづつ自分をみつけていく過程での、人間らしさ。子供を思う親としての優しさが私には彼女の表情、瞳に全く感じられなかった。それは淡々とした演出のせいなのか、やはり新人ゆえの未熟さなのか・・・とは言ってもアカデミー賞の主演女優賞ノミネートなんですよね。(^-^; これはやはり私が彼女のあまりの巨漢に嫌悪を感じたから批判的にしか捉えられないのかもしれませんね。
地味で決して悪い映画ではないと思うけど・・・。重たい題材なので難しいのかもしれませんが、ラストへ向かう過程にもう少し明るさが欲しかった。というか多少の明るさはあるものの、その後プレシャスが生きていく現実に、明るさが感じられなかったのがつらい。まぁ、現実というのはそういうものなのかもしれませんけどね。確かに彼女は自分としての生き方をみつけ進んでいくのですが、二人の子供を抱えて何も持たない彼女のこれからの人生に、これまでの人生よりもマシかもしれないけれど、過酷なようなイメージを感じ、どうもすっきりしなかった。

-2010.5.1 敷島シネポップ-

最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。