にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

【映画】『永遠の僕たち』

2012年01月12日 | MOVIE
『永遠の僕たち』Restless(2011年/米)
監督:ガス・ヴァン・サント。
出演:ヘンリー・ホッパー。ミア・ワシコウスカ。加瀬亮。

両親を交通事故で亡くしたイーノックは、他人の葬儀に潜り込み、人の死をみつめる日々を送っていた。学校へも行かず友人もなく、事故の際の臨死体験をきっかけに見えるようになった第二次世界大戦で亡くなった特攻隊員のヒロシという幽霊だけがイーノックの遊び相手だった。そんな彼がいつものように他人の葬儀に潜り込んだ時、一人の少女と出会う。少女の名はアナベル。彼女は癌に侵され余命三ヶ月と宣告されていた。静かに死を受け入れようとしている少女とただ一人残されたことで生を受け入れられない少年。いつしか恋しあう二人は・・・。

なんてきれいな物語なんだろう。都会ではない小さな田舎町だからこそ余計に美しい。そして若い二人の心も。私はいつもいつも生を諦める物語は嫌いだと言ってるんですが、この映画の主人公イーノックの死にたいのか生きたいのか、今生きていることさえも受け入れかねている気持はなぜか痛く心に響いた。死ぬことも難しい。でも生きることはもっと難しい。受け入れられない両親の死、そして受け入れられない自分の生。たまんないな。そんなイーノックの前に現れた二人。イーノックが生を受け入れるために現れたのが幽霊のヒロシで、死を受け入れるために現れたのがアナベルなんだろうな。これみよがしな言葉がないから胸が熱くなる。理不尽な死、愛するものをおいて、その人に心を伝えられずに死んでしまったヒロシ。彼はイーノックに何も語らないけれど、彼が生きることを導いていたのだろう。アナベルの死もまた理不尽なものだけど、短い時間イーノックと過ごすことでゆっくりと死を受け入れるように彼を導いたのだろう。最後のアナベルの葬儀で、イーノックは自分も送る言葉を述べたいとアナベルの姉に伝え前に立つ。走馬灯のように二人の過ごした時が巡り、イーノックの口元に微笑みが浮かぶ。なんて美しいラストなんだろう。かけがえのないものを失くして、かけがえのないものを得たイーノック。『小説家を見つけたら』も優しい気持ちになれる作品でしたが、この作品もまた死を扱いながらも優しい気持ちにしてくれる作品でした。

-2012.1.11 TOHOシネマズなんば 別館-


最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。