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今日の筆洗

2022年05月07日 | Weblog
太平洋戦争中の一九四三年四月、日本の連合艦隊司令長官・山本五十六は、ソロモン諸島の上空で搭乗機を米軍機に撃墜され、戦死した▼前線の将兵を激励する視察の途中。通信の暗号を解読され、待ち伏せされたという。四一年の真珠湾攻撃で戦果をあげたが、四二年のミッドウェー海戦で大打撃を被った。前途に暗雲が垂れ込める中、山本は前線に出向いた▼先日、ロシア軍制服組のトップ、ゲラシモフ参謀総長がウクライナ東部の前線を訪れたと伝えられた。態勢立て直しが目的らしい。真偽不明だが、攻撃を受けて負傷したとの報道もある▼ロシア軍のウクライナへの侵攻開始から二カ月余。首都周辺からは撤退し、東部に戦力を集中させたが、最近の米国の分析でも、指揮統制の不備や兵士の士気低下がみられるという。ウクライナへの各国の武器供給もあり、戦局は一進一退。プーチン大統領はいら立っているようだ▼危険な前線に赴いた山本について、ノンフィクション作家の保阪正康氏は著書『昭和陸軍の研究』に「死地を求めるような心境すらあったかもしれない」と書いた。駐米勤務経験もあり米国の力を知る山本は、日本の軍事力が十分とは思っていなかった。開戦後、対米戦に自信がある者との交代を大臣に申し出て却下されたという▼ゲラシモフ氏は戦局をどう見通しているのか。本音を聞いてみたくなる。