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今日の筆洗

2022年05月11日 | Weblog
曲がったことが大嫌い。牛の角は見るのもいや。歩いていて道を曲がらなければならないときはくやし涙にくれながら曲がる−▼おなじみの古典落語「井戸の茶碗(ちゃわん)」に出てくる頑固な人物。落語家の林家彦六(八代目林家正蔵)さんにも、そういうところがあったらしい▼国会でも取り上げられた有名な話がある。彦六さん、寄席に通うための通勤定期を持っていたが、寄席以外の場所へ行く場合は「私用だから」と定期券を使わず、わざわざ切符を買って乗っていたそうだ。意地と筋の人だったのだろう▼理屈っぽく怒りっぽい性格からついたあだなは「トンガリ」。意地も筋もなく、ただただ醜く曲がったこの話を聞けば、稲荷町の師匠はさぞトンガルだろう。元国会議員が詐欺などの疑いで逮捕された。現職の国会議員に成り済まし、東海道新幹線の特急券・グリーン券をだまし取っていたというから情けない▼国会議員時代に公務用にともらっていた無料パス。とうに期限は切れていただろうにこれを悪用していたそうだ。駅員が間違った券をこの元国会議員に渡してしまい、そこから足がついたというから、悪いことはできないものである▼「昔の経験が忘れられなかった」と言っているそうだ。現職時代はまじめそうに見えたが、彦六さんの怪談噺(ばなし)の口調を借りれば、「ハテおそろしき、議員特権の魔力じゃなあ」である。