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今日の筆洗

2022年05月18日 | Weblog

 病気の子どもに薬を飲ませたところ、腹痛がひどくなる。心配した父親が薬をくれた医者にかけ合うと、医者は「心配いらない。私の薬が病気と闘っているだけだ」▼ところが子どもは死んでしまう。医者に文句を言うと「言った通りだろう。私の薬と闘った結果、病気の方が負けたのだ」。中国の笑い話だが、笑えぬどころか、この医者に腹が立ってくる。病気を打ち負かしても命まで奪う薬では役に立たぬ▼その薬をいやでも思い出させる中国政府のゼロコロナ政策である。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ目的で、極めて厳格な都市封鎖や外出規制を続けている▼流行初期に徹底的な人流抑制によって感染拡大を封じ込めた成果を踏まえ、同じ手を使っているが、感染力の強いオミクロン株には効果がそれほど上がっていない▼問題は経済の方で、厳しいゼロコロナ政策が生産、物流の足を引っ張り、景気に深刻な打撃を与えている。それでは、あの強すぎる薬と同じ結果にならないか▼影響は中国にとどまらぬ。「世界の工場」である中国のゼロコロナ政策の副作用は世界的なサプライチェーン(供給網)を混乱させ、物不足を引き起こす危険もある▼中国政府はゼロコロナ政策を見直せば沽券(こけん)にかかわると意地を張っているようだ。誤った薬を投与し続ける方がよほど政権の評判を落としかねないことには気がつかない。