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今日の筆洗

2022年05月27日 | Weblog
衆院選と同時に行う最高裁裁判官の国民審査は、有権者が辞めさせたい裁判官の欄に×印を記す。有効投票の過半数となった裁判官は罷免されるが、過去に例はない▼×の比率の過去最高は、一九七二年に審査を受けた故・下田武三氏の15・17%。ポツダム宣言の翻訳に関わった元外交官だが、外務事務次官時代に沖縄返還をめぐり「核付き返還やむなし」という趣旨の発言をし、反発を招いていた▼臆せずに自説を述べる人は翌七三年、両親などを殺した場合に通常の殺人より刑を重くするのは憲法の「法の下の平等」に反すると最高裁が判断した際、裁判官十五人で唯一、合憲と唱えた▼在外邦人が国民審査に参加できないのは違憲との判断をおととい、最高裁が示した。国政選挙の在外投票は行われており、当然の判断だろうが、制度の形骸化が指摘される。裁判官がどんな人かを知らないまま×印をつけずに投票する人は少なくないよう。判断材料の周知は課題だろう▼下田氏は退官後、江川卓選手の巨人入団をめぐる騒動で世の不興を買っていたプロ野球界に請われ、コミッショナーになっている。公平さなどを重んじて飛ぶボールや飛ぶバットを規制し、試合時間短縮を促し、日本シリーズに指名打者制を導入した。改革姿勢は一部球団の首脳に疎まれたと伝わる▼評価は分かれても、その判断材料に困らぬ人ではあった。