日本人がマグロのすしを食べるようになったのは江戸後期以降。切り身をしょうゆに漬けてネタにし、屋台で供されたという。今のような高級魚ではなく大衆魚の位置付け▼さっぱりした赤身が重宝され、脂の多いトロは敬遠された。動物の肉を食べることが一般的でなく、食感が似たトロは好まれなかったようだ▼トロ人気の急騰は食の西洋化が進み、牛肉などを食す人が増えた戦後。冷凍技術の改良も進み、日本は世界中の海でマグロをとった▼太平洋クロマグロの資源管理を話し合う国際会議が閉幕し、来年以降の全体の漁獲枠を大型魚で1・5倍、小型魚で1・1倍に拡大することで合意した。価格が下がり、食卓に並ぶ機会が多くなるかもしれない。喜ぶべきニュースなのだろう▼いささかとり過ぎたせいで導入された国際的な規制。資源に一定の回復傾向が認められたから合意に至ったのだが、日本が当初求めた拡大幅はもっと大きかった。増枠に正面から反対せずとも、資源管理は慎重であるべきだと訴えた国々があったようだ。野生の生き物が相手ゆえ、その考えも分かる。当面は抑制を続けるほかないのだろう▼鮪(まぐろ)は冬の季語。暑い盛りに季節外れだが、歳時記にこんな句があった。<遠つ海の幸の鮪を神饌(しんせん)となす 黒田晃世>。長いつきあいになった魚は神に供え、ともに味わうのにふさわしい。永続を祈りたい。
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