「………」
シズクは目を覚ます。
辺りはまだ暗闇で、夜明けまではまだ時間がある。
なんだか怠いけれど、
頑張って体を起こす。
「………」
暫く頭が動くまで
上半身を起こした状態でぼんやりとする。
「………よし、今日は起きれた」
ベッドから這いだし身支度を整える。
「なんだろう」
最近寝起きが悪いな。
なんだか、モヤがかかったような。
疲れているのかな。
「しゃきっとしなきゃ」
服を着替え、
必要な荷物を抱え
人が集まる港へと向かう。
「おはよう、シズク」
「おはようございます」
あちこちに声を掛ける。
「フン」
「あ、ユウヤ」
「起こしに行かないといけないかと思った」
「今日はちゃんと起きれたわよ」
「そのようだな」
ポンポン、とシズクの頭に触れる。
ぶっきらぼうな用で
心配はしていたのだろう、と
いつもなら、そういう所が良いな、と
思うのだけれど。
「やっ」
止めて、と思わずその手を払う。
「………」
「………あれ」
私、何でユウヤの手を払ってしまったのだろう、と
思わず自分の手を見つめる。
「………」
む、としてユウヤはその場を離れていく。
「ちょっと待ってユウヤ」
「なんだ、悪かったな。
俺に触られたくないんだろ」
「そうじゃなくて、あれ、なんで私?」
「戻れ」
来るな、とユウヤは言う。
「自分の勤めを優先しろ」
「あ………うん」
皆が揃ったところで
今日、漁に出る者達の代表が前に出る。
シズクはその手を取り
そっと、目を閉じる。
いつもの感覚。
シズクの瞳の色が僅かに変わる。
「滞りなく、南西の方に兆し有り、
…………よい、船路を」
今日の漁の先視が終わると
皆それぞれに舟に乗り込む。
ユウヤの姿も見えるが
明らかに機嫌が悪い。
「なによ、手を払ったくらいで」
そう、少しは
普段の自分を反省したらどうだろうか。
そうじゃないと、私は。
そう考えて、
私は?私はどうなるというのだろう、と
首を捻る。
どうしたのだろう。
何だかいつもの
自分じゃないような気もする。
本当に具合が悪いのかも。
今日は朝の勤めを終わらせたら
帰って休んだ方が良いのかも。
「あれ?」
何だか目の前がクラクラする。
視界の端が暗くなり
だんだん辺りが見えなくなっていく。
私。
私は。
あの日。
西一族の青年と出会ってから
それから、どうなった。
覚えて無いかな、と
彼は言っていた。
あの日だけじゃない。
いつもすっかり忘れてしまう。
なんでだろう、忘れたかったのかな。
どうして
こんなに具合が悪いのだろう。
私。
私は。
NEXT
シズクは目を覚ます。
辺りはまだ暗闇で、夜明けまではまだ時間がある。
なんだか怠いけれど、
頑張って体を起こす。
「………」
暫く頭が動くまで
上半身を起こした状態でぼんやりとする。
「………よし、今日は起きれた」
ベッドから這いだし身支度を整える。
「なんだろう」
最近寝起きが悪いな。
なんだか、モヤがかかったような。
疲れているのかな。
「しゃきっとしなきゃ」
服を着替え、
必要な荷物を抱え
人が集まる港へと向かう。
「おはよう、シズク」
「おはようございます」
あちこちに声を掛ける。
「フン」
「あ、ユウヤ」
「起こしに行かないといけないかと思った」
「今日はちゃんと起きれたわよ」
「そのようだな」
ポンポン、とシズクの頭に触れる。
ぶっきらぼうな用で
心配はしていたのだろう、と
いつもなら、そういう所が良いな、と
思うのだけれど。
「やっ」
止めて、と思わずその手を払う。
「………」
「………あれ」
私、何でユウヤの手を払ってしまったのだろう、と
思わず自分の手を見つめる。
「………」
む、としてユウヤはその場を離れていく。
「ちょっと待ってユウヤ」
「なんだ、悪かったな。
俺に触られたくないんだろ」
「そうじゃなくて、あれ、なんで私?」
「戻れ」
来るな、とユウヤは言う。
「自分の勤めを優先しろ」
「あ………うん」
皆が揃ったところで
今日、漁に出る者達の代表が前に出る。
シズクはその手を取り
そっと、目を閉じる。
いつもの感覚。
シズクの瞳の色が僅かに変わる。
「滞りなく、南西の方に兆し有り、
…………よい、船路を」
今日の漁の先視が終わると
皆それぞれに舟に乗り込む。
ユウヤの姿も見えるが
明らかに機嫌が悪い。
「なによ、手を払ったくらいで」
そう、少しは
普段の自分を反省したらどうだろうか。
そうじゃないと、私は。
そう考えて、
私は?私はどうなるというのだろう、と
首を捻る。
どうしたのだろう。
何だかいつもの
自分じゃないような気もする。
本当に具合が悪いのかも。
今日は朝の勤めを終わらせたら
帰って休んだ方が良いのかも。
「あれ?」
何だか目の前がクラクラする。
視界の端が暗くなり
だんだん辺りが見えなくなっていく。
私。
私は。
あの日。
西一族の青年と出会ってから
それから、どうなった。
覚えて無いかな、と
彼は言っていた。
あの日だけじゃない。
いつもすっかり忘れてしまう。
なんでだろう、忘れたかったのかな。
どうして
こんなに具合が悪いのだろう。
私。
私は。
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