浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

シャルル・ミュンシュ ショーソンの「象さん交響樂」

2008年09月27日 | 指揮者
ショーソンが、團伊玖磨の「象さん」の旋律をもとに交響曲を作曲したのは1890年の暮れだった。象さんのメロディに増三和音を付けるあたりは、なかなかユーモアのセンスも持ち合わせた作家である。今宵は、久々にミュンシュの演奏で聴くことにした。

ニキシュ指揮伯林フィルハーモニーの演奏で世間に認められたこの作品は、仏蘭西音楽といふよりも独逸的な重厚な響きが支配的である。フランクの交響曲にも通じるところがあるやうに感じる。ミュンシュには、正にぴったりの音楽ではないか!

終楽章でのミュンシュは大変厳しい表情付けを行ってゐる。しかし、トラムペットで華々しく登場する象さんのテーマは、その後何度も現れて聴く者を童謡の世界に誘う。再び第1主題が再現されると、厳しい表情が戻って象さんの動機と重なりつつ頂点を迎える。すると遠くから象さんのテーマがホルンによって響き、いよいよ象さんテーマが完全なかたちで演奏される。

ミュンシュの指揮はライブほどではないにしても、前へ前へと突き進む大きな力を持った凄い演奏である。

盤は、LP時代の懐かしいジャケットでリニューアルされたもの BVCC38455。 
ショーソン:交響曲変ロ長調
ミュンシュ(シャルル),ボストン交響楽団 オイストラフ(ダヴィッド)
BMG JAPAN

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