浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

フルトヴェングラーによるワーグナー「ジークフリートのラインへの旅」

2009年07月01日 | 指揮者
昨日は久しぶりの遠足だった。汽車に揺られて音楽を愉しみながら駄文をしたためる。持参したのはフルトヴェングラーのワーグナー作品のSP録音集だ。

日帰りの遠足だが、行きの汽車の中でPSP3といふ音楽・動画再生装置(ゲーム装置だったかも知れない)を鞄に忍ばせ、友人Yお勧めの耳栓のやうなイアフォンを両耳に差し込んで聴くのだ。これを使うと外界の雑音はあまり聞こえなくなる。ノイズキャンセリング機能付きのヘッドフォンよりもコンパクトで良い。

フルトヴェングラー指揮維納フィルハーモニーによる「ジークフリートのラインへの旅」は、12歳頃に7吋LP盤で繰り返し繰り返し聴いたものだ。これほどじっくりと愉しむのは何十年ぶりだらうか。昔聴き親しんだ演奏ではあるが、新たな発見も沢山あった(きっと忘れてしまったことが原因だらう)。実に希望に満ちた演奏だ。

目的の会場に着くと、懐かしい旧友が大勢居る。皆それぞれに活躍してゐるやうだ。しかし、月日が経つとどうしても避けられない老いといふ問題に直面する。耳を悪くした者、頭を完全にやられてゐる可愛そうな者がそれぞれ一人ずつ居た。頭の中については僕も人のことは言へないが、彼らと会って懐かしさや喜びよりも哀れさを強く感じたのが辛かった。

帰りの汽車の中で再び「ラインへの旅」を聴いた。長音が鳴り響く中、その音の持つ意味づけが刻々と変わってゆく様を感慨深く聴いた。行きの車中で聴いた同じ演奏とは思へない哀しい演奏だった。

盤は、国内東芝によるSP復刻CD TOCE-3753。
ワーグナー:管弦楽曲集(2)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団,フラグスタート(キルスティン)
EMIミュージック・ジャパン

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