浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

メンゲルベルク ドヴォルザークのセロ協奏曲

2006年12月16日 | 指揮者
メンゲルベルクが巴里放送管絃團を振ったライブ録音がある。メンゲルベルクはナチ協力の嫌疑により演奏活動停止処分を受けたため、1944年2月のブラームスの第3交響曲が最後の録音となった。この録音は1944年1月の演奏と記されてゐる。

巴里放送管絃團の実態が何かはよく知らないが、指揮は冴え渡り、冒頭を聴いた瞬間に素晴らしい演奏だと分かる。このCDには独奏者の名が記されてゐないが、別のCDにはモーリス・ジャンドロンと明記してあったり、プログラムにはトゥルトゥリエと記されてゐたりと、なぞの多い録音である。いずれにせよ、若々しい熱演も巨匠に触発されてのものに違いない(妄想は広がる)。

忌まわしいナチ政権さえなければ、メンゲルベルクの晩年の名演奏をもっと聴けたはずだ。オケの統率力、フレーズの歌い方に対する徹底した指示、音程やアンサンブルに完璧を求める姿勢、浪漫的な表情付け、クライマックスの演出、などすべてにおいて当時の世界最高の指揮者である。


盤は、英國Archive DocumentsによるリマスタリングCD ADCD 116。このCDの中身は偽モノだとする説がある。


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