梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

たまげました

2009年11月14日 | 芝居
近所の映画館のレイトショーで、マイケル・ジャクソン『THIS IS IT』を観てきました。
こんなことをいっちゃァなんですが、彼の急死が世間、いや世界を騒がすまで、彼自身にも作品にも、なんの興味もわかなかったのですが、今回、「果たせなかった最後のライブ」のリハーサル風景をまとめたこの作品を観て、この人の、アーティストとしての技倆の凄さはいうまでもなく、1曲1曲がどうすれば最高のクオリティーになるか、観客に自分の想いを伝え、感じさせ、そして無条件の興奮を与えるために、どれだけのこだわりと試行錯誤を重ねればよいのかということを常に考えながら、体の限界まで“闘って”いた彼の生き様に、本当に感動いたしました。
天与の才とあくなき努力。言葉にすれば簡単ですが、彼はまさに“特別な人”だったのですねェ。誰も真似できない<世界>を作ることができる人。その<世界>が、他人を虜にしてしまう、体のシンまで酔わせてしまう数少ない人…。

そして彼を取り巻くスタッフの方々の素晴らしいこと! マイケルのどんな注文にも冷静に、着実確実に、しかし“エンジョイ”しながら対応しているのがスゴい。舞台に生きている者の端くれといたしまして、こういう関係はとても羨ましいですね~。
バックダンサーのオーディション風景もございましたが、どれだけの数の人々が、このライブに憧れ、夢を、命を懸けて取り組んできたのかということがわかっただけでも、大きな収穫でした。ひるがえって、今の自分の甘えや怠惰を恥ずかしく思い、もっともっと真剣に、真摯に生きてゆかねば! と…。

深夜というのに満員の客席。
死してなお、この影響力。
マイケル、奇跡の人。