梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

梅之京都日記三巻目・始まりました!

2009年11月27日 | 芝居
このブログをはじめてから、三回目となる「京都日記」です。

朝八時二十分の東京発の〈のぞみ〉で京都入り。車中では爆睡でした。2年ぶりとなる南座に直行し、軽く楽屋作りをしたところで、12時半から早速『佐々木高綱』の〈附立〉です。
師匠3演目となる高綱。新歌舞伎とはいえ演出や段取りはほぼ固まっておりますが、やはりその都度変わってくるところは多々ありまして、裏の用事をする立場の私も、今回新たな気持ちで臨んでおります。前回は兄弟子が担当していた〈ウグイス笛〉の効果をさせていただくこととなりましたので、演出の廣田一氏にキッカケを伺いながら稽古を拝見。今日は〈附立〉なので実際に吹かなくてもよいのです。明日の〈総ざらい〉は本番通りですので、しっかり勤められるよう整理、確認をいたしました。
…初日があきますと、この演目のあとが『一條大蔵譚』で、私は腰元で出演、部屋子の梅丸も女小姓で出させて頂きますのでそちらの手伝いもあります。なので師匠の高綱の用事も最後まで携わることができないかもしれず、弟弟子の梅秋と役割分担をうまくしませんと、ドカジャカになりかねません。明日しっかり固めるつもりです。

初めて出させて頂きます『封印切』も〈附立〉。周りが全員経験者という中に、ポツンと入ってしまったのでプレッシャーがすごいです。段取りは皆様に教えて頂きましたが、実際やってみますと手も足も出ません。今はとにかく「周りに合わせる」こと! 足を引っ張らないよう、お邪魔にならぬよう気をつけるしかありません。
山城屋(坂田藤十郎)さんの忠兵衛と、松嶋屋(仁左衛門)さんの八右衛門の白熱のやりとりが間近に拝見できて本当に嬉しいのですが、残念ながらまだ自分に余裕がないので、学びとるところまでゆきません。千穐楽までには少しは進歩したいものです!

松嶋屋さん約1〇年ぶりの『助六曲輪初花桜』での新造役は、けして広いとはいえない南座ロビーでの稽古場に、ずらり居並ぶ出演者の数の多さにまずグッタリ。居所なども、とても本番通りにまいりませんので、わりあいとアバウトな感じでした。
揚巻付きですので、早く出番が終わりますが、いわゆる〈居残り新造〉の方々の大変さを思いますと、喜んでばかりはいられませんね。

稽古後、ホテルにチェックイン。最初はよそよそしい感じだった部屋も、いつも自宅で使っている荷物を並べ出すと、なんとはなしに落ち着いてきますね。久しぶりのホテルでのひと月を、楽しみたいです。