梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

歌舞伎座とお別れの儀式

2010年04月29日 | 芝居
本日、歌舞伎座舞台にて『歌舞伎座 修祓式』が執り行われました。

昭和26年の再開場から60年。明治から数えれば4代目となる現歌舞伎座の建て直しに先立ち、劇場自体に感謝の気持ちを、そしてこの劇場に関わられたすべての先人へ畏敬の念を捧げるため、歌舞伎座の氏神様、鉄砲洲稲荷の宮司様の御執行で、「建築物に対する修祓式」と「歌舞伎座由縁の物故者に対する感謝祭」を行い、俳優、音曲演奏家、会社・劇場スタッフをはじめ、関係者が一堂に会して臨みました。

久々に、2時間近く客席で過ごしました。
あらためて、この劇場の空気、温度を肌で感じました。柔らかく穏やかなぬくもりが、たしかにそこにありました。
昨日も申し上げましたが、一観客だった頃と、少しも変わっていない、いや、もっと深まっているようにも思えました。
式の最後は参列者による献花。上手脇から舞台に上がり、中央祭壇に白菊を供え、花道を通って退場、という順路でしたが、花道にさしかかってふと見上げると、2階、3階、そして4階一幕見席が広々と見渡せ、そのスケールの大きさも含めて、他の劇場では味わえない<何か>があるのだなぁと、しみじみ思いました。立ち止まっていたいのはやまやまでしたが、後がつかえてしまうので涙をのんで“引っ込み”ました。

         ◯

さあ、明日は本当のさよなら!
『閉場式』でございます。
当日のプログラムのうち、舞踊「都風流」には、師匠も出演いたしますが、私も着付後見で出られることになりました。
歌舞伎座最後の1日に、まがりなりにも舞台に立てる(ほんと一瞬なんですが)こと、有り難く思っております。
続いて5人の花子による「娘道成寺」、「口上」、そして幹部から名題までの俳優が出席する「手締式」。

すごい1日となりそうです。
心して、木挽町最後の公演に臨みたいと思います。