梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

梅之京都日記・14『劇場の神様』

2005年12月10日 | 芝居
日本の主な劇場の楽屋には、必ずといっていいほど神様をお祭りする場所がございます。劇場によって神棚であったり、お社だったりいたしますが、ここ京都南座では、楽屋の屋上にお社を建てて、お祭りしております。出演している幹部俳優さんの名前でお神酒を備え、公演の無事を祈願しているわけですが、公演期間中も、俳優さんによっては毎日お参りする方もいらっしゃいます。
私も、どうにも他力本願な性分ゆえ、毎日お参りいたしております。朝は「一日無事に勤まりますように」、夜は「(無事に終わることができて)有難うございました。明日もよろしくお願いします」、最近は「体調がよくなりますように」というのも加わって、日に何度もお参りしているので、神様もいい加減飽き飽きしてるのではないでしょうか。
『信じる者は救われる』というわけではございませんが、道々でもお寺や神社があるとどうしてもお祈りしてしまい、素通りができません。お参りしないとバチがあたりそうで不安になってしまいます。今月の行き帰りで通る道にも、四、五ヶ所の寺社がございますので、境内に入る入らないはあっても、必ず手だけは合わせてお祈りしておりますが、おかげで通勤の所用時間がだいぶかかってしまいます。それでも、(神様仏様のお力で、今日も一日頑張ろう)と思えますから、私にとっては気持ちを高めたり、落ち着かせるための、丁度よい儀式です。
…自分の力だけではどうにもならないモノやコトは沢山ありますよね。一人イライラ、ジタバタしないで、天に任せてみることも必要なのでは、と最近は思っています。