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梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

5月、6月のこと

2011年05月27日 | 芝居
5月は新橋演舞場公演で昼の部『敵討天下茶屋聚』序幕の<女田楽師>と夜の部『籠釣瓶花街酔醒』の<八ッ橋付き振袖新造 八重菊>を勤めさせて頂きました。

女田楽師は、藤間の御宗家の振付により、長唄の古曲<花車>を地に、明石屋(友右衛門)さんのご子息の、廣太郎さん廣松さんのお二人、先輩の京蔵さん京紫さん、そして私、千壽郎さん、京珠さん、春希さんという名題下女形の仲間たち4人というメンバーで、幕開きの踊りを勤めさせて頂きました。
このような機会を得られましたこと、ただただ感謝しております。

八ッ橋付き新造は、「見染め」から「縁切り」の場まで出るシンのお役でございました。昨年2月、大和屋(玉三郎)さんの八ッ橋のおりにも勤めさせて頂きましたので、へんに緊張したりアタフタすることはございませんでしたが、このお芝居、このお役の雰囲気に体が自然に馴染んでくるには、まだまだ年月がかかりそうです。
『籠釣瓶』は一門にとりましても大変由縁の深い演目でございます。この舞台に<自然に>出られるように、いつかはなりたいです。

子役ちゃんの化粧などあり、1日中楽屋におりました5月でしたが、6月は博多座!
 稽古は29日からですので、3日間の休暇ができました。床屋、マッサージ、買い物、食べ歩きと、リフレッシュに勤めて気持ちを切り替え中です…。

夜の部『忠臣蔵 七段目』の<仲居>を勤めさせて頂きます。
また<見立て>を勤めさせて頂くことになりそうです。
博多らしいネタを考えられたらよいのですが。

…29日に博多へ向いますが、台風が接近中とのこと。飛行機は大丈夫ですかね…。

四国こんぴら歌舞伎へ参ります

2011年04月04日 | 芝居
大震災から3週間余が過ぎました。

被災地では、救援物資や避難所の環境、亡くなられた多くの方々のご遺体の埋葬場所、膨大な瓦礫の処分等、多くの課題があるようですが、復旧、復興に向けての歩みが徐々にではあれ確実に進んでいることを、頼もしく思っております。
多くの芸能人、アーティストの方々が、炊出しや物資の援助、義援金の寄付等の取組みをみせておりますが、私たち歌舞伎俳優も、先般<社団法人 日本俳優協会>のホームページで発表がございましたように、協会から、日本赤十字社を通じての義援金の寄付を決定いたしました。この後も、様々なかたちで支援を行うことになると思うのですが、私といたしましても、できる限りのことをさせていただく所存でおります。

まず、一市民としてできること(節電・ボランティアなど)をきちんとやる。それから、役者としてできることを考える。
そういう姿勢でいたいと思います。

いまだ余震も続く東京を離れるのは少なからず不安でございますが、4月は四国こんぴら歌舞伎大芝居へ参ります。
古き良き時代の趣きを今に伝える芝居小屋<金丸座>での年に1度の恒例の公演。お陰様で2週間の興行はすでに完売とのこと。
この度は高麗屋(幸四郎・染五郎)さんご父子、師匠梅玉、加賀屋(東蔵・松江)さんご父子、京屋(芝雀)さんをはじめとする一座でございます。
昼に『熊谷陣屋』『河内山』、夜に『鈴ガ森』『藤娘』『鯉つかみ』という狂言立てで、師匠は『河内山』の松江出雲守と『鈴ガ森』の白井権八をお勤めになります。
私は『河内山』『鯉つかみ』それぞれで腰元を勤めさせて頂きます。どちらも初めてですので、先輩方によく教わって勤めます。

『鯉つかみ』は大変珍しい芝居で、河内屋(延若)さんがNHKのスタジオでなさった映像を拝見しただけでしたが、今回この狂言に携わることができて大変嬉しく思っております。金丸座の古い舞台機構をいかした古風な演出になるとのことですので、大変楽しみでございます。

東北関東大震災

2011年03月29日 | 芝居
3月11日に発生いたしました<東北関東大震災>では、2週間以上たった今も、刻々と新たな被害が報告されております。
福島第1原子力発電所での事故も、片時も目が離せない深刻な状況でございます。

人の命、土地、資源、産業…。一瞬のうちに失われたもののあまりの多さに、言葉を失います。
復興を祈ることは簡単なこと。ではどうしたら、復興に携わることができるか? 遠い場所から力になるためにできることとは?
本当に難しいです。

          ◯

地震発生時は新橋演舞場の楽屋。当日の公演は中止、交通機関がマヒしているとのことで、自宅まで徒歩。1時間半かけて歩いた町々にあふれる人、人、人。
携帯はつながらず、家内や実家の両親への安否の連絡はメールのみ。時間差がもどかしい。
自宅マンションはエレベーターが停止。エントランスの一部壁面が崩落。我が家は資料部屋の本棚と、リビングの飾り棚が倒壊。散々な有様だったが、それだけで済んだことが不思議。

たびたびおこる余震とともに夜を明かし、翌12日の公演も休演。11日晩には、帰宅できなくなった俳優、スタッフが多数演舞場に泊まったとのこと。
片付けに明け暮れ。

13日から16日まで通常通り公演。当然ながら観客は極端に少ない。こういう状況で芝居を上演することに、いろいろ意見があったとのこと。けれども、大変な中でも足を運んで下さる方がいらっしゃったことには、ただただ感謝するのみ! 
電力不足の報道を受け、名題下楽屋では、自主的に、極力電気をつけないで過ごす。普段舞台モニターを映すテレビで、1日中ニュースを見る。たびたびの余震はかわらず。原発の事故深刻化。

計画停電に伴う鉄道ダイヤの混乱で、劇場に、定時に来られない俳優、スタッフが何人か。
近所のコンビニから、食料品がほとんどなくなる。
<緊急地震速報>の警告音に、たびたびゾッとする。

15日夜の静岡の震度6をはじめ、関東近辺での大きい余震が相次いだことを受け、劇場内設備の再点検が必要となり、17日、18日も休演に。
17日夕刻、「大規模停電のおそれあり」とて、再びダイヤ乱れ。余震も度々。

19日より26日千穐楽まで、通常通り公演。お客様は次第に増えてくる。客席やロビーでも節電始まる。我々もあいかわらず暗い楽屋(さすがに夜は点けましたが)。
原発問題がますます深刻となる報が相次ぐ。水の買い占め騒動にはほとほと情けなくなる。

          ◯

募金ですとか、物資の寄付とか、被災地のために今ここからできることは全てやるつもりです。
そして電力、資源の節約も!
これは国民全員の問題です。被災された方々に、心よりお見舞い申し上げますとともに、復興のために“自ら動く”ことを誓わせて頂きます。










六世中村歌右衛門 十年祭でございます

2011年02月27日 | 芝居
26日、無事御園座公演の千穐楽を勤め上げ、その日のうちに帰京。
本日27日から、新橋演舞場3月興行『三月大歌舞伎』の稽古が始まっております。

本年は、6世中村歌右衛門の大旦那の没後10年でございます。昼の部『伽羅先代萩』、夜の部『吉原雀』という由縁の2演目が、十年祭の追善狂言として上演されますが、その両方に、師匠がご出演なさいます。『先代萩』の八汐、『吉原雀』鳥売りの男。陰謀に加担する悪女と、江戸の匂いがさらりと香る、粋な二枚目という、全く違った役どころというのも、歌舞伎の面白いところですね。

私は、『先代萩』で“八汐付き腰元”、『吉原雀』で“着付後見”、そして夜の部序幕の『源氏物語 浮舟』では“侍女”を勤めさせて頂きます。追善の2狂言に携わることができ、本当に有難く、嬉しく思います。

『恩讐の彼方に』『浮舟』という新歌舞伎の面白さ、『御所五郎蔵』『筆屋幸兵衛』の黙阿彌の魅力。追善狂言のみならず、昼夜にバラエティ豊かな演目が揃いました。どうぞ皆様も、見どころ満載の弥生興行に、賑々しくご来場のほどを!

名古屋へ参ります

2011年01月30日 | 芝居
新橋演舞場の初春興行も無事に勤め上げまして、2月は名古屋御園座『二月大歌舞伎』に出演いたします。

師匠にとりましては、<中村魁春襲名披露興行>以来の名古屋。実に8年ぶりとなります(私は単身で3年前に出演させて頂きました)。
昼夜で『勧進帳』の富樫、『与話情浮名横櫛』切られ与三郎、『義経千本桜 鮓屋』弥助実は平維盛と、<イイ男>ばかり。弟子としても嬉しい3役です。
私は、『勧進帳』の富樫の裃後見(200回が目前に…)と、『鮓屋』の鮓買いの町人(女)の2役を勤めさせて頂きます。

5日初日ということで稽古の始まりも常より遅く、5日間のお休みとなりました。
地元の町会の会議、マンションの総会に参加したり、浅草で着物屋めぐり、鎌倉の骨董店めぐりをしたりと、有意義に過ごせました。
残り1日となる明日は、一足早く名古屋入りして、大須界隈を探訪する予定です。

               ◯

3月の新橋演舞場公演の狂言立てが発表されましたが、大旦那、六世中村歌右衛門の十年祭の追善狂言として、昼の部に『伽羅先代萩 御殿・床下』、夜の部には長唄の『吉原雀』が上演されます。
師匠は『先代萩』で3演目の八汐を、『吉原雀』で鳥売りの男をお勤めになりますが、『先代萩』では、加賀屋(魁春)さんが初役で、大旦那の当たり役、乳人政岡をお勤めになります。一門が揃いまして故人を偲ぶ一幕となりますので、是非是非大勢様のご来場を賜りまして、盛り上げて頂きたく存じます。
何卒よろしくお願い申し上げます。

1年間ありがとうございました

2010年12月31日 | 芝居
26日に京都南座の千穐楽を勤め上げ、翌朝から早速新橋演舞場<寿初春大歌舞伎>の稽古。おかげさまで29日の舞台稽古を持ってめでたく仕事納めができました。
平成23年最初の興行では、昼の部『妹背山婦女庭訓』の<官女>と『寿曽我対面』<十郎の裃後見>、夜の部『寿式三番叟』<翁の裃後見>の3役を勤めさせて頂きます。

…今年もあと5時間弱ですが、2010年はいつも以上に濃い1年だったような気がいたします。

 1月歌舞伎座  『勧進帳』富樫の裃後見/『春の寿』春の君の着付後見/『娘道成寺』所化(歌舞伎座で“舞尽くし”をさせて頂きました)/『浮名横櫛』貝拾いの女
 2月歌舞伎座  『じいさんばあさん』るんの侍女/『籠釣瓶』八ッ橋付き振袖新造(「縁切り」の緊迫感を体験できました)
 3月歌舞伎座  『女暫』腰元
 4月歌舞伎座  『助六』三浦屋新造
 5月お休み    沖縄に<新婚>旅行できました!
 6月博多座   『紅葉狩』侍女/『大川の隠居』嶋やの女中/『毛剃』奥田屋仲居
 7月東コース巡業『重の井子別れ』腰元/『勧進帳』富樫の裃後見/『忠臣蔵 七段目』仲居
   一心会   『子守』(梅丸)『文売り』『奴道成寺』後見
 8月趣向の花  『真田小僧』金坊の母
   合同公演  『忠臣蔵 五・六段目』母おかや
 9月新橋演舞場 『紅葉繍』着付後見/『荒川の佐吉』町人の女
10月新橋演舞場 『頼朝の死』申次ぎの侍女
11月国立劇場  『通し狂言 国性爺合戦』花いくさの官女
12月京都南座  『阿国歌舞伎夢華』女歌舞伎/『忠臣蔵 七段目』仲居(“見立て”をさせて頂きました)

歌舞伎座とのしばしのお別れ、若手中心になって2年目の合同公演で、皆と手を携えて義太夫狂言の大曲に挑んだことは深く記憶に残っておりますし、プライベートでの沖縄旅行でも、いろいろと考えることがございました。

来年はどんなことがあるでしょうか?
楽しく元気に過ごせればと思っております。
皆様も、どうぞよいお年を。

南座顔見世興行です

2010年11月26日 | 芝居
本日、国立劇場11月公演の千穐楽を無事迎え、同時に京都南座<當る卯年 吉例顔見世興行>の稽古が始まりました。
師匠は昼の部『菅原伝授手習鑑 寺子屋』の武部源蔵と、夜の部『鳥辺山心中』菊地半九郎の2役をお勤めになります。半九郎は平成12年6月博多座以来、実に10年ぶりとなります。時代物と新歌舞伎、異なる趣きの2役で、京都の顔見世を飾ります。

私は、昼の部『阿国歌舞伎夢華』の<女歌舞伎>と、夜の部『仮名手本忠臣蔵 七段目』の<仲居>の2役を勉強させて頂きます。『阿国歌舞伎』では、出雲阿国の女弟子というお役で、かぶき踊りのシヌキもございます。短い場面ながら、南座の顔見世で踊らせて頂けるという有難さに、今から大変緊張しております。
あと4日で初日が開くわけでございます。気持ちを切り替えて、本年最後の舞台に臨みますので、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

               ◯

先日ご縁があってお邪魔しました浅草の老舗、ふぐ・季節料理の『割烹 魚昇』さんが、お店もお味もご主人も、とっても素敵でしたので是非ご紹介したいと思います。

ふぐ 季節料理 魚昇(うおしょう)
台東区浅草5丁目10の2 (浅草4丁目交差点、「浅草4丁目」バス停のすぐ脇です)
月曜 定休

ホームページ http://uoshou.net/

ご主人自ら毎日築地に足を運んで選んだ旬の素材の、そのままの美味しさが楽しめます。ふぐ鍋、湯豆腐などがますます嬉しい季節です。浅草に店を構えて4代目となるご主人から、雑誌やテレビでは知ることができない町の歴史を聞けるかも?
どうぞお出まし下さいませ!

国立劇場11月公演『国性爺合戦』です

2010年11月01日 | 芝居
秋を通り越して、冬のような肌寒さが続きますが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。

国立劇場10月公演で『天保遊侠録』に勝驎太郎役で出演いたしました部屋子の梅丸が、国立劇場から奨励賞を頂戴しました。一門といたしまして大変嬉しゅうございます。私は27日の千穐楽の舞台を拝見いたしましたが、親をも論破してしまうような“神童”役を、イヤミな子にもならずに可愛く勤めておりました。兄弟子の梅蔵さんとのやり取りも、一門でこそのイキといいましょうか、ほのぼのとして楽しい一場面でした。

さて、11月の国立劇場は通し狂言『国性爺合戦』。師匠が初役で五常軍甘輝をお勤めになります。
山城屋(坂田藤十郎)さんの錦祥女、成田屋(團十郎)さんの和藤内という顔合わせで、日本と明国を股にかけたスケールの大きな近松作品をたっぷりと御覧頂きますが、この度は発端として、明国が韃靼国に滅ぼされる様を描く「大明御殿」の場を復活いたしますのも、見どころとなっております。
私は、その「大明御殿」に、官女役で出演させて頂きます。中国の女役は初めてです。衣裳の着方や仕草など、常と少し違うところがございますので、先輩方に教わって稽古しております。

異国情緒と華やかな場面、演出で繰り広げる名作、どうぞ大勢様のご来場を賜りますよう、お願い申し上げます。


演舞場十月大歌舞伎

2010年10月01日 | 芝居
ふた月めの演舞場公演です。
師匠は昼の部に、当たり役『頼朝の死』源頼家を、夜の部では舞踊『どんつく』に門礼者をお勤めになります。
私は『頼朝の死』で申し次ぎの侍女を勤めさせて頂きます。2度目でございますが、前回よりも少しでもよくなりたいです。

梅丸が国立劇場公演『天保遊侠録』で勝驎太郎を勤めさせて頂きます(『将軍江戸を去る』にも、将軍慶喜を見送る若侍で出るそうです)。
兄弟子の梅蔵さんも国立となりましたので、師匠の用事は弟弟子の梅秋と二人でいたします。その梅秋は、『盛綱陣屋』で、返り落ちのトンボを見せる榛谷十郎を勤めます。大事な役どころですので、怪我には気をつけてもらいたいですが、身内のことながら、彼のトンボはとても綺麗です。無事に乗りきってくれるはずです。

なにとぞ、演舞場へも、国立へもお出まし下さいますよう!

というわけで

2010年09月01日 | 芝居
毎月々の公演情報はこれからもお伝え申し上げますので、よろしくお願い申し上げます。

歌舞伎座で恒例になりました<秀山祭>が、引き続き演舞場でも賑々しく開催されます。
演舞場への出演は、成田屋(海老蔵)さんの『宮本武蔵』以来ですから、じつに7年ぶりでございます。

師匠は昼の部序幕『月宴紅葉繍』の<在原業平>、夜の部序幕『猩々』の<猩々>の2役をお勤めになります。『紅葉繍』は、いくつかの既存曲をアレンジいたしまして、藤間の御宗家が今回新たに構成、振付をなさった作品です。紅葉色増す秋の夜半、業平と小町が御殿で優雅に舞う、趣き豊な作品でございます。
『猩々』は長唄地の、いわゆる二人猩々でございます。師匠2回目の上演で、このたびも松羽目の舞台です。

私は『紅葉繍』の着付後見と、『荒川の佐吉』序幕の町人の女に出演いたします(前回は立役での出演でした)。
やや勉強会の疲れが残っておりますのが情けないのですが、いよいよ初日を迎えますので、ご来場下さる皆様から良い“気”を頂戴しまして、早く本調子に戻したいと思っております。

大変な大一座でございますので、楽屋も大変賑やかです。
客席も熱気溢れるものになりますよう!

有り難うございました

2010年08月25日 | 芝居
第16回『合同公演』は、お陰様をもちまして、4日間8回の公演を無事に終えることができました。
土日の公演では<満員御礼>の看板を出す回もございました。平日も、平均で約85パーセントの入場率となり、本当に有難く思っております。

<より若手のための>勉強会となった2回目の公演で、『仮名手本忠臣蔵』に挑戦させて頂き、出演者一同、得るものは大変多うございました。
稽古の間、音羽屋(菊五郎)さん、加賀屋(東蔵)さん、三河屋(團蔵)さん、そして藤間勘祖師、勘十郎師より頂いたお教えは、大切な宝物です。

…この度は、おかやというお役を勉強させて頂きました。
今の私にできる全てを尽くすことだけを思って勤めさせて頂きました。
娘が売られ、夫が殺され、その犯人が聟ではないかと疑い、責めあげ、それが間違いだったことを知ったときは、聟は命を失おうとしている。
そんな老婆の<ありえないような1時間>を生きることは、肉体的にも、精神的にも、辛かったです。

教わったことを守って、仲間と気持ちを合わせて、4日間の公演に挑みました。
どこまでおかやらしくなれたかは、はなはだ心もとないのですが、少しでもご覧頂いた皆様の心に届くなにかがあったなら、幸いでございます。

協賛下さいました、松竹株式会社様、社団法人伝統歌舞伎保存会様をはじめ、大道具様小道具様、衣裳様床山様スタッフの皆様、忙しいなか舞台稽古や本番を観にきて下さり、ご助言を賜りました先輩方。本当に多くの方々のお力添えとお励ましのおかげで、無事に千穐楽を迎えることができましたこと、厚く御礼申し上げます。

昨日の反省会をもって、第16回公演の全ての日程を終了いたしました。
思えば、1月末から準備がはじまったわけですが、あっという間の日々でした。
思うこと、感じること多々ございました。我々若手に託された責任の重さ、学ぶ、教わる者としての意識。
これからも、試行錯誤は続くのだと思います。皆でしっかり手を携えて、取り組んでいけたらと思います。


                  ◯


この更新をもちまして、『梅之芝居日記』は、しばらくお休みを頂きたく存じます。

このブログは、2005年の3月に開設いたしましたから、5年の月日が経ったわけですね。
その間、このページを通じて沢山のご縁が生まれ、よい思い出がいっぱいできました。
励まされ、助けられ、あたたかく見守られながら、日々のお芝居のこと、お役のことをお話しさせて頂く毎日は、とても楽しゅうございました。

私は、先月30歳になりました。
ひとつの節目を迎えるにあたり、公私にわたり、これからのことを色々と考えるなかで、青臭い言い方になりますが、自分の中身をもっともっと豊かにしたいという思いを抱きました。
お稽古ごとですとか、趣味ですとか、あるいは生活スタイルですとか、これまでの自分が体験できなかった(しようと思わなかった)ことを、これからチャレンジしてみたいなァ…と、そう思うのです。
自分を変えようとか、そういうオーバーなことではなく、幅広く、楽しく、のんびりと遊ぶ気持ちで、これまでと違う時間を過ごしたいな、という感じでしょうか。

ひとまず、ブログを通じてなにかを<発信>することをお休みさせて頂き、自分の中に<貯める>ことに集中したい。そういう思いでございます。
これまでの<発信>の仕方も、十分に省みる所存でおります。
その上で、どのくらい先になるかはわかりませんけれど、再びなにかをお伝えしたい気持ちが高まれば、再開させて頂くことになるかと存じます。

とは申せ、師匠が出演する毎月々の本興行や、仲間が挑戦する企画公演などの情報、ご案内は、掲示板がわりにお知らせしたいと思っております。


これまで、拙い文章にお付き合い下さいました、延べ255,310人のお客様へ、心からの御礼を申し上げますとともに、
突然のお休みとなることを、深くお詫び申し上げます。

本当に、本当に有り難うございました。
またいつか、この場でお会いいたしましょう。


8月25日

中村梅之








正念場です

2010年08月17日 | 芝居
本日『合同公演』は<顔寄せ><附立>。
ついに本稽古を迎えました。

『五・六段目』は、竹本も下座も、いわば“生音”となりまして、これまでの、録音を使っていた稽古とは、かなり雰囲気が変わりました。
より本番に近い環境(あとは衣裳と鬘、舞台装置となりますね)になり、大変やりやすくなりました。太棹に乗せて、気持ちもより入ります!

今日に至るまでも、そして今日からも、怒濤の日々でございます。
例年以上に慌ただしく、アツい毎日。
体力気力も限界ギリギリです。

とにかく、全力で挑みます。

           ◯

『合同公演』はおかげさまで21日(土)ヒルB・ヨルA、22日ヒルAは<残席僅少>となりました。有り難うございます。
まだまだ残席のある公演もございますので、どうぞお気軽にお問い合わせを!
国立劇場チケットセンターはこちらから!

稚魚の会友の会 夏のパーティー

2010年08月08日 | 芝居
午後6時から、<稚魚の会友の会>の皆様をお招きいたしましての親睦パーティーを開催させて頂きました。
ご同伴者も含めて、50人以上の方々がお暑い中お越し下さいました。心より御礼申し上げます。

『合同公演』に出演する同人からは、お役への意気込みなどを申し述べさせて頂き、恒例の余興、福引きも。私も、性懲りもなく一席伺ってしまいましたが…。
私どもをご後援下さる皆様と、短い時間ではございましたが一緒の時間を過ごすことができまして、嬉しく有難く思っております。

これからも、末長く<稚魚の会>一同をお見守り下さいますよう、改めてお願い申し上げる次第でございます。

稽古稽古の日々です

2010年08月06日 | 芝居
『五・六段目』は、約2時間のお芝居です。
A、Bダブルキャストでの上演ですから、お稽古は2回分。講師の方々からのダメ出しや、出演者同士での打ち合わせも入れれば、1日のお稽古は5時間くらいになります。
稽古場の独特の緊張感の中に長時間いることは、それだけでも体にこたえるものですが、懇切丁寧に2班分のご指導をして下さる講師の方々のご負担を思えば、弱音は吐けません! 自分の出ない班を拝見することで得るものも沢山ございます。一刻一秒も無駄にできない初日までの日々、16人の出演者は気力と体力を振り絞って臨んでおります。

今日は<趣向の華>『真田小僧』の稽古もございまして、夕方から作・演出の尾上青楓師のお稽古場へ。初めての<立ち稽古>でございました。
台本を読むだけでは見えてこなかった動き、間が、青楓師の細やかなご指導で組み立てられてまいります。私の<母>役も、なるほどこういう段取りになるのかと、目から鱗の思い。旦那様の國矢さん、我が子の梅丸と、イキイキと、そしてホンワカとした落語の世界の住人になれそうな手応えがございました。
<合同公演>に先立っての“3人芝居”。難しいですが素敵なお役を勉強させて頂きます。こちらもどうぞご覧頂きたく存じます。
公演詳細はこちらを御覧下さいませ。

        ◯

<合同公演>残席状況も、徐々に徐々にではございますが、良い方向へと向っております。
この流れが途絶えないようにしたいもの。よろしくご喧伝下さいませ!


『合同公演』本格始動です

2010年08月04日 | 芝居
8月1日に巡業千穐楽、翌2日から『合同公演』「五・六段目」稽古。
休んでいる場合ではないのですが、ちょっぴり疲れております。(しかしなんという暑さなのでしょう!)

最初の2日間は出演者のみで<自主稽古>をし、段取りを固めました。
本日は、監修・指導の音羽屋(菊五郎)さん、加賀屋(東蔵)さん、三河屋(團蔵)さんの三師が、お忙しい中お出まし下さり、A、B両班をたっぷり5時間かけてご指導下さいました! ただただ感謝申し上げるのみです。

個々の演技のことよりも、皆とのイキとか、相手がやりやすい芝居の仕方とか、個人稽古ではわからなかったことを、沢山ご指導いただきました。
皆様のご指導により、自分のカラをちょっとずつでも破っていけそうです。それがとても有難く、嬉しいのです。
固まらぬよう、硬くならぬよう、気持ちを通わせ合うチームワークを大切に!

        ◯

『合同公演』は、残念ながら平日公演(とくにヨル公演)に、大いにお席の余裕がございます。
出演者一同、最後の最後まで宣伝活動をしてまいりますが、どうか皆様のお力を賜りまして、熱い熱い公演を作り上げたく存じます。
何卒よろしくお願い申し上げます!!

国立劇場チケットセンターへはこちらから!