タカ長のタカの渡り観察

タカが好き、山が好き、花が好き、心はいつも旅もよう。日々移ろいゆく心もようを綴るナチュラリストのつぶやきです。

たった独りの山旅~6

2021年01月27日 | 山歩きから
このシリーズを書きながら考えていたことです。

たった独りの山旅には賛否両論あると思いますが、それとは別に、独りであるがゆえに人さまから好意を受けたことが少なからずあることが想いだされました。

その一つです。

甲斐駒ヶ岳を下山したあと余った時間を使って能登半島の最先端まで観光しました。宿泊は民宿。

民宿の玄関を開けて開口一番「安く泊めて、、、、」と言うと、対応に出た親父さんから

「お兄ちゃん、安く泊めてやりたいけど、うちも趣味でやっているのではないから、、、」と言われてしまいました。

あの時の親父さんの言葉は今も耳の底に残っています。

玄関を開けた、薄汚れた若者からいきなり「安く泊めてくれ」と言われた親父さんは、ただ同然で泊めてくれと言われている、と思われたのでしょう。

当然のことですが、料金を聞くとタカ長の想定内、気持ちよく泊めてもらいました。

「明朝早くナマコを採りに行くけど一緒に行くか?」と誘われました。もちろん異論はありません。翌朝早起きして、親父さんと小さな舟に乗ってナマコ採りを経験したのは言うまでもないことです。

翌朝親父さんと小舟で海に出たタカ長、教えられるまま体を小舟から乗り出しナマコをつき、少しだけ採ることが出来ました。

この民宿で記憶しているのはその程度のことですが、他にもいろいろな好意を受けているはずです。

    

生意気ざかりだった若いころには気づかなかったことが、この歳になると少しは見えてきます。自分で考える以上に多くの人の好意に支えられ、タカ長の「たった独りの山旅」が継続できていたように思います。

これがもしグループ登山だったら、おそらくこのような展開にはならなかったはずです。

淋しい独り歩きだったからこそ多くの人から手をさしのべられた、青春のころの貴重な記憶です。


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