僕の名前は ラブ
女の子みたいな名前だけれどオスのワンコだ。
それも大型犬のゴールデン・レトリバーと云う種類だそうで自分ではよく分からないのだけれど頭は良いらしい。
ある日、急に「でん」と云う名前で呼ばれる同じようなワンコがやってきて家族に加わった。
僕の為に御主人様が女の子を連れてきてくれたのだと思って大喜びしたのだけれど、クンクンしてみたら自分と同じような匂いがして、念のために覗いてみたら同じようなタマタマが付いていて思いっきりガッカリした。
御主人様のお父さん、タブタブ爺ちゃんが家へ来る度に「まだ童貞なのか?」とヤラシイことを言うのが嫌だ。
デンは、昨年の12月にリンパ腫とかで亡くなり、急に一人ぼっちになってしまった。今 デンは仏壇の中にいるのだけれど、やっぱり寂しい。
同じ匂いのタマタマが付いていても良いから戻ってきて欲しいといつも思っている。
実は、そのボクにも病気がある。
後ろ足の趾にずーっと痛みがあって詳しくは知らないが壊死性のものらしい。
それが腫れて来たのでついに手術することになった。趾の切除をするのだ。
それでデンが通っていた帯広の病院まで連れていかれ、ついに手術。
詳しくは知らないけれど将来発症するかも知れない病気の予防と云うことで、大切なタマタマも切除された。
無事に手術は終わったけれどタマタマが無いので、今日からオネエだ。
片足をヒョイと上げてオチッコすることはもう無い。オネエだもの。
今日タブタブ爺ちゃんとルンバ婆ちゃんが心配して来てくれたけれど、尻尾を3回しかパタパタできなかった。
早速爺ちゃんは僕の股を覗いて……ラブからラブ子に名前を変えて呼んだ。
「ゴールデンのタマが無くなったから、これからはただのレトリバーだなぁ」と呟いたのがしっかり聞こえた。
オネエだからツケマとかしなければならないのだろうか。
ボクじゃなかった、ワタチに出来るかしら…………
でもこれからは、オスを手玉にとって貢がせて生きていくんだ。
私ならできるワン、ウッフン。