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狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

沖縄タイムスVS元文科相

2007-09-28 14:35:04 | 教科書

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辿り着く先が間違いだと皆知っている。

だが、誰もそれを止められない。

動き出した大きな流れに身を任せ考えることなく突き進むだけ。

まるで断崖に向かって疾走するヌーの群れのように。

小さな悪意と人間なら誰しもが持つ自己保身、そしてささやかな名誉欲やプライドが、この「政治運動」を先へ先へと進めて行く原動力になる。

そこでは理性的な説得など何も役に立たない。

「運動」に疑問を持つ少数の意見又議論・検証を求める地味な運動は、単純でわかりやすい結論を求める人々の声や、利口ぶった学者やマスコミの前に押しつぶされてしまう。

                    *

沖縄タイムス 2007年9月27日(木) 朝刊 2面  
 
殉国死でなく犠牲者だ/中山元文科相に聞く

政治家では撤回不可能
 沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した高校歴史教科書の検定問題は、与党の自民党内にも文部科学省の対応を疑問視する声が上がる。自民党の「教育再生に関する特命委員会」の委員長を務め、同委で沖縄の教科書問題を取り上げた中山成彬元文部科学相に聞いた。(聞き手=東京支社・吉田央)
 ―委員会で沖縄の教科書検定問題を取り上げた理由は。

 「沖縄戦や南京大虐殺、従軍慰安婦問題を話し合うために私が二回、主宰して開いた。特に沖縄については私は何度も足を運んでいる場所で、このまま放っておけない思いがあった。沖縄戦をよく知っている仲村正治、嘉数知賢の両衆院議員らに声を掛け、文科省に検定の経緯を説明させた」

 ―「集団自決」に関する検定後の記述をどう受け止めるか。

 「日本の検定制度は中国や韓国など外に弱く、沖縄など内に強い。私は委員会で文科省の担当官に『沖縄県民という国内の人への思いやりがないじゃないか』と相当、怒った。なぜ今どき記述を直すのかと聞くと、向こうは『(大阪で)裁判中だから』という説明だった。裁判が終結していないときに、なぜ書き直すのか。沖縄の心情が分からないのかという憤りがあった」

 「自民党でも若い人が増えているし、そういう人たちに教えるためにも開きたかった。会合には四十人ほどの国会議員が参加していたが、沖縄の議員の戦争体験を聞いて涙ぐんでいた人もいた。参加者全員が同じ気持ちだったはずだ」

 ―あなたと同様に南京や慰安婦の教科書記述を追及している自由主義史観研究会は、「集団自決」を自発的な美しい殉国死と位置付けている。

 「確かに私は彼らと付き合いがあるし、南京や慰安婦問題で戦後、米国に一方的に刷り込まれた自虐史観を排除するべきだと思っている。人口二十万人の南京で、三十万人の虐殺なんてあるわけがない。しかし、それ(集団自決)は全く違う。何が美しいか。(自決した県民は)犠牲者だ。そこは間違っちゃいかん

 ―県民が求める検定の撤回は可能か。

 「検定に文句は言うが、われわれ(政治家)では直せない。日本の検定制度はそういうものだ。執筆者と検定官が、小さな島で追い詰められて逃げ回った沖縄県民の気持ちをよく理解し、執筆に当たり、検定に当たることが必要だ

 ―検定制度を見直す必要性は。

 「検定がないと誰でも教科書を作れてしまう。ある程度、調査する人(教科書調査官)がいないとえらいことになる。日本は国定教科書ではない」

 ―福田内閣の発足で政府の対応は変わるか。

 「変わらないのではないか。今の政権は参院選の結果を受け、歴史や国家より、政治とカネ、年金、格差是正など内向きの政治を志している

                                              ◇

 

沖縄タイムスは新任の渡海文科省に二日も続けて「集団自決」にからむ教科書検定問題で質問し、何か言質を取ろうとしたが、必ずしも意図する言質をとることが出来なかった。

前任の伊吹大臣からは「教科書検定撤回」を拒否されているので、二年前の元文科大臣を引っ張り出して言質取りを計ったが、「県民感情」は理解しながらも検定意見書撤回に関しては明確に拒否された。

■沖縄タイムスVS中山元文科相⇒バトル1■

沖縄の左翼学者やメディアの論調とは立場を異にする中山元大臣が沖縄タイムスのインタビューに応じたのには訳があった。

今年の6月、沖縄タイムスは中山元文科相から言質を取っていたのだ。

その経緯は國民新聞の次の引用記事に詳しい。

≪ 沖縄タイムスが誤報か
中山元文科相の「軍命」容認発言

沖 縄 戦「集団自決

自民党の教育再生に関する特命委員会(委員長・中山成彬元文科相)が六月十二日、党本部で開かれ、文科省が昨年度教科用図書の検定結果を説明した。沖縄県選出の仲村正治、嘉数知賢両議員は沖縄戦「集団自決」への日本軍関与を高校歴史教科書から削除したことを批判した。

沖縄タイムス六月十三日付によると、中山委員長は記者会見で

「沖縄の二人からの身につまされる話があった。教科書は(中国など)外に弱くて内に強く、私に言わせればおかしい。沖縄戦での軍命による殺し合いを否定するなんておかしい」

と同調したと報じた。中山事務所では

「そんな話し方はしていない」

として沖縄タイムスに抗議することを検討中だが、沖縄タイムスはテープに残っているという。
≫(國民新聞 平成19年6月25日)

 

■沖縄タイムスVS中山元文科相⇒バトル2■

沖縄タイムスは中山元文科相からどんな言質を引き出したか。

①「検定に文句は言うが、われわれ(政治家)では直せない。日本の検定制度はそういうものだ。・・・」

検定がないと誰でも教科書を作れてしまう。ある程度、調査する人(教科書調査官)がいないとえらいことになる。日本は国定教科書ではない」

③「福田内閣の発足で政府の対応は変わるか」と問われ、
変わらないのではないか。今の政権は参院選の結果を受け、歴史や国家より、政治とカネ、年金、格差是正など内向きの政治を志している

中山元文科大臣は、今回は沖縄タイムスに言質を取られないように「県民感情」には充分配慮しながらも、事実は事実として淡々とコメントしたようだ。

これを藪蛇という。

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コメント (3)

ミャンマー軍事政権の行方は中国の思惑の内

2007-09-28 06:45:35 | 外交・安全保障

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官房長官が邦人死亡で抗議「極めて遺憾だ」

 町村信孝官房長官は27日夜、ミャンマーで日本人の死亡が確認されたのを受け、都内で記者団に「日本政府は弾圧的な実力行使をしないよう求めてきたが、邦人が巻き込まれて犠牲になったことは極めて遺憾だ。ミャンマー政府に抗議し、真相解明を求める。邦人の安全のために適切な対処を講じてほしい」と述べた。

 町村氏は「ミャンマー政府が速やかに強圧的な態度を改め、国民との対話を通じて事態を解決することを改めて強く求める」と強調。ミャンマーへの制裁に関しては「国連安全保障理事会での議論を見守りたい」と述べるにとどまった。

 これに先立ち、福田康夫首相は27日夕、首相官邸で記者団に「遺憾なことが起こっている。解決するには何をするのがいいか、考えていかなければならない」と述べた。

 外務省は26日、反政府デモをめぐる事態の緊迫化を受け、ミャンマーに関する渡航情報の危険度を4段階のうち最も低い「十分に注意」から「渡航の是非を検討すべきだ」に引き上げていた。

(2007/09/28 00:20)

日本人カメラマン死亡 ミャンマー軍政が無差別発砲

2007年9月28日 朝刊◆長井健司さんと確認、取材中撃たれる

 【バンコク=大場司】軍事政権による反政府デモの武力弾圧が続くミャンマーの旧首都ヤンゴンで二十七日、僧侶への弾圧に抗議して集まった市民に治安部隊が無差別発砲し、多数の死傷者が出た。軍政当局は死者は九人としているが、うち一人が東京・赤坂の映像制作会社「APF通信社」の契約カメラマン、長井健司さん(50)とわかった。軍政の武力弾圧で外国人が死亡したのは初めて。軍政は武力弾圧を一段と強めており今後も死傷者が続出する恐れもある。(略)

                                                  ◇

>「日本政府は弾圧的な実力行使をしないよう求めてきたが、邦人が巻き込まれて犠牲になったことは極めて遺憾だ。ミャンマー政府に抗議し、真相解明を求める。邦人の安全のために適切な対処を講じてほしい」

いち早く抗議声明を出したことはとりあえずGJ!

素早い行動は官房長官だけではなかった。

今朝のNHKニュースによると、日本人ジャーナリスト長井健司さんが死亡したことを受けて外務省は迅速にミャンマー日本大使館を通じてミャンマー政府に抗議の意を伝え、それだけではなく藪中外務審議官が現地に飛ぶという。

■日本とミャンマー■

日本とミャンマーとの関係は第二次大戦を機に緊密になった。

現軍事政権の中心ビルマ国軍は、戦時中日本軍の指導により設立されている。

話は脱線するが今朝のテレビ朝日「スーパーモーニング」で朝日新聞出身のコメンテーター(名前は失念)が長井さんが軍が発砲した「流れ弾」に当たって死亡したというニュースに「ミャンマーの軍隊は日本軍が指導したので、わざと狙い撃ちした可能性もある」(必ずしも正確ではないが大意はこの意味)という発言をしていた。

軍が発砲した弾が「流れ弾」か「狙い撃ち」かはさて置いて、「日本軍が指導したから云々」とは、この男の思考能力は一体どうなっているのだ。

話を戻す。

戦後、日本はビルマ連邦(当時)と1954年11月に平和条約と賠償協定を締結、1955年から総額2億ドルの戦争賠償が支払われ、以来日本とミャンマーは友好的な関係を築いている。

1960年代後半から20年ほどの間、ミャンマーは社会主義政策を採り民間の貿易取引は禁じられるという一種の鎖国状態にあった。

日本はその間賠償貿易で「ビルマ・テンダー(tender)と称する国家入札によってのみ商品を販売していた。

軍事クーデター以後何度も民主化運動はあったが日本は常に傍観者の立場にあった。

これまで何度もくすぶっていたミャンマーの民主化運動は今回の日本人の死ということで、大きな曲がり角に立つことになる。

■ミャンマーと中国の関係■

問題の解決のキー国は中国だと言われている。

冷戦時代には社会主義のドミノ現象を恐れたアメリカはベトナム戦争にはまり込み高い代償を支払うことになった。

今中国が恐れるのは、ミャンマーの民主化によって、中国周辺国の間に冷戦時とは逆の「民主化のドミノ現象」が起きることである。

明治期のロシアは太平洋への出口として朝鮮半島へ南下し、不凍港獲得の野望を持ったが日露戦争により日本に阻止された。

日本の政局は、インド洋での日本へのオイルレーン確保の国際協力として「海自の給油の可否」で国内世論は揺れているが、

中国は自国のオイルレーンをミャンマーを柵封国することにより確保しているのだ。

インド洋への出口を求める中国はミャンマーに、中国海軍が使う軍港提供する代償として経済援助はもちろん、兵器、弾薬などの提供も行っている。

また中国は中東方面からのオイルレーンとして、海幅の狭いマラッカ海峡通過を避けて、中東の石油をミャンマーで陸揚げし、パイプラインで
中国に送る建設工事を行っている。

自国の生命線であるオイルレーンの安全確保を他国に委ねている脳天気な日本とは大きな違いだ。

国連の声明によると、潘事務総長は軍政指導者らに対し、ガンバリ特使と全面的に連携するよう呼びかけ、対話を通じた国民和解プロセス仲介を目指す国連の強い意向を明らかにした。(CNN)

中国の柵封国・韓国出身の事務総長の下でガンバリ顧問がいくらガンバッテもうまくいくかどうか。

問題解決のキーとなる中国は自国の安全保障の確保のためにはミャンマーの民主化は望んでいない。

しかも中国は、国連安保理の常任理事国であり拒否権を持っている。

そもそも1988年、軍事クーデターで軍事政権ができる前のミャンマーは社会主義政党の一党独裁による、社会主義国であった。

現在の中国はミャンマーに己の姿を映し見て、ミャンマーの民主化は結局自国へブーメランとなって帰ってくることを恐れている。

■日本の出る幕?■

これまでにミャンマーの人権問題や民主化問題に対し、日本政府は軍事政権と民主化勢力の双方に、対話による解決を何度も働きかけを行ってきた。

対話のみを優先する日本外交は、友好国ミャンマーに厳しい態度を取れないと侮られていた面もあった。

ところが、今回の騒動では日本人の犠牲者が出た。

長井さんの死を無駄にしないためにはこれを機に日本政府は対話のみの外交ではなく、これに圧力も加えるべきであろう。

中国にひれ伏す福田新内閣が毅然とした態度で、ミャンマーに軍事援助を続ける中国に批判の発言ができるとは思えない。

だが、中国には北京オリンピック主催国という大義名分(弱点)が有る。 

この辺の中国の弱点を突けば日本の存在感を世界に知らしめる千載一遇のチャンスだったのだが・・・。

麻生内閣でなくて残念!

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