道路の案内標識の英語表記を書く事は公務員の仕事らしいが、担当者には、笑いの達人なのか天然なのかはともかく、ユーモア溢れる表記をする人が多い。
案内標識以外にでも奇妙な看板・標識をネタにしているお笑い芸人もいるくらいだ。
沖縄の恩名村の国道沿いにある「おんな売店」は観光客にも有名な売店だ。
白昼堂々と「女を売る」衝撃の店ではない。
◆おんなの駅http://onna.or.tv/
(男女差別の駅ではありません)
今朝の琉球新報「声」の欄で南城市にお住まいの松村憲男(71歳)さんがお「役所仕事」の英文案内表記について怒りを顕わになさっていた。
松村さんによると、「名護市の屋我地島には、病で倒れたフランス海軍の水兵が埋葬されていて、オランダ墓として標識が設定されている。」と言う。
その案内標識やガイドブックの英語表記に「ORANDA BAKA」とあるのが怪しからんと言うのだ。
墓の英語表記は「HAKA」とすべきであり、「馬鹿(BAKA)呼ばわりするとは相手国民を侮辱するに等しく失礼千万と言え、不謹慎極まりない」といたってご立腹のご様子である。
さらには八重山石垣市にあると言う「唐人墓」(TOJIN BAKA)にも触れて、「役所仕事」に対する怒りはエスカレートし、公僕たちの「無知無能」、「職務怠慢」そして「税金浪費」と留まるところを知らない。
松村さんの意見には総じて賛成なのだが、投稿文に一つだけ説明不足があった。
沖縄には「トゥー(唐)ぬユー(世)からヤマトゥ(大和)の世」
「ヤマトゥぬユーからウランダ(オランダ)ユー」(アメリカユー)
「ウランダユーから又ヤマトゥのゆー」・・・と言った言葉がある。
日中両属のような琉球王国時代を「唐の世」。
明治期の沖縄県設置以降を「大和の世」。
敗戦後の米占領期を「ウランダ世(アメリカ世)」。
そして再び日本復帰で「大和の世」の現在。
・・・と目まぐるしく移り変わる時代の変化を風刺した言葉である。
で、何が言いたいのかと言うと、沖縄で昔は青い目の白人は全てひっくるめて「ウランダー」(語尾を延ばして~人)と表現した。
米軍占領当時、アメリカ人のことを「アメリカー」と呼ぶ人が多かったが「ウランダー」と呼ぶお年よりもいた。
そんな訳で沖縄人なら「フランス水兵の墓」に「オランダ墓」と表記しても違和感は感じないと言いたかった訳。
だからウチナンチュなら、無知無能なお役所仕事を職務怠慢で税金浪費だと立腹しても、
はたまた(馬鹿呼ばわりは)外国に対して失礼千万で不謹慎極まりないと立腹はしても、
「このフランス水兵の国籍はオランダだったのか」
なんて野暮なことはウチナンチュはけして言わない。
◆オランダ墓http://www.cosmos.ne.jp/~michiko/oranndabaka.html