「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

日本は「公共財としての地図を廉価で入手できる環境を作ろう!」と国連世界防災会議で提唱しよう!

2015-03-01 23:57:42 | 国際防災協力
昨日夕方のこと。

10年後には、日本の国際防災協力を背負って立つであろう御夫妻に、
新宿駅南口のベルギービールをご馳走になっていた時の話。

なぜか地図の話になり、かの寺田寅彦の「地図を眺めて」というエッセイが、
青空文庫で(=タダで!)読めるという話になった。

「旅の坊主」の書架には、岩波新書旧赤版『天災と国防』の旧仮名旧漢字版があり、
それを必死になって読んでいたのだが、もちろん今は新字新仮名で読める!

寺田寅彦曰く、

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「当世物は尽くし」で「安いもの」を列挙するとしたら、
その筆頭にあげられるべきものの一つは陸地測量部の地図、中でも五万分一地形図などであろう。


一枚の代価十三銭であるが、その一枚からわれわれが学べば学び得らるる有用な知識は
到底金銭に換算することのできないほど貴重なものである。


 この一枚の地形図を作るための実地作業におよそどれだけの手数がかかるかと聞いてみると、……(中略)……、
一枚分約一万円ぐらいを使わなければならない、……。
(小村注:当時の1万円は、ドル換算すれば幾らになる???)


それだけの手数のかかったものがわずかにコーヒー一杯の代価で買えるのである。


もっとも物の価値は使う人次第でどうにもなる。
地図を読む事を知らない人にはせっかくのこの地形図も反古ほご同様でなければ何かの包み紙になるくらいである。


しかし「地図の言葉」に習熟した人にとっては、一枚の図葉は実にありとあらゆる有用な知識の宝庫であり、
もっとも忠実な助言者であり相談相手である。

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で、「旅の坊主」は考えた。

昭和13年当時の1万円が現代のいくらになるのかはさておき、
地図を作る作業は(ゼンリンさんはともかく)税金で賄われているであろうから、
出来上がった地図は、間違いなく公共財である!

したがって、イニシアルコストはすでに支払われた訳であるからして、
その地図を活用したいという人には、ランニングコスト分だけを負担してもらえばよいはず。
つまりは、印刷代・コピー代の実費でで提供してしかるべき!

コンビニでコピーしても、コーヒー一杯の額で10枚はA3版のコピーができる!
(A版と地図の版は異なるのだが、そこは目をつぶってもらおう。)

人口44億余のアジアだが、10人に1枚地図があれば事足りるだろうから4億枚で済む。

ということは、たかだか!40億円あれば、全アジアの住民10人に1枚、
モノクロだろうが、地図を配布することができる!

地図を読むには多少の教育は必要だが、日本では小5の子供が習う中身!
で、10才の子供でも地図を読めるようになるのだから、
「谷筋に家を建てる!」ようなことを、多分、なくなっていくと思う。

教育は将来への投資。

アジア地域の人々に「自然の摂理と共に生きる(=災害リスクの少ない場所に住む)」という、
防災教育のそもそも論を伝えるのに、日本政府は40億円を投資で済む!

日本は「公共財としての地図を廉価で入手できる環境を作ろう!」と国連世界防災会議で提唱すればよい!

ホスト国として「隗より始めよ」を言うのにたかだか40億円!

さて、このような「旅の坊主」のアイディア、誰か受け止めてくれるかな???


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