「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

幹事を必要としない飲み会?に思う

2010-11-01 23:09:25 | 国際防災協力
早いもので、今日から11月。

当地エルサルバドルでは、
今日から中米防災対策研修のプレクルソ(派遣前研修)が
2泊3日の予定で始まる。

兵庫県とJICA兵庫の協働で2000年にスタートしたこの研修も、
もう10年を数えた。

研修を手伝うようになったのはいつからだったか、
はっきりとは覚えていないが、
日本の研修で出会った仲間と当地で再会する、
当地で短期派遣期間中に出会った仲間と日本で再会する、
いずれもよいものだった。

何年前の研修だったか、
みんなで持ち寄りのパーティーを開き、
「森のくまさん」のダンスで盛り上がったことを思い出す。

さて。

初日のプログラムは、
1年先輩となる昨年度の研修員からの
「日本から帰ってからの1年で何をやったか」の報告や、
今年度の研修員による
「我が国の防災体制はどうなっているか」の報告、
といったもの。

それはそれで納得できるのだが、
どこか違和感が否めない。

スペイン語がわからない、
ということが大きな原因とは思うが……。

日本に行って何を学んでもらいたいのか、
日本とのギャップをしっかりと見据えた上で、
なおかつ何を持ちかえってもらいたいのか。
その辺りについてのエールなり、
オリエンテーションなりが見えなかったから、
ということではないか、と、
「旅の坊主」なりに分析する。

黙っているのもしゃくだったので、
かつ、うまい具合に10分弱の時間があったので、
先日のコスタリカ・コバノ訪問の時の写真を数枚用意し、
「研修員OB・OG+地域の人+JOCVなど日本の支援」で、
どういう具体的なBOSAI活動が展開されたのかについて、
即席のプレゼンをさせてもらう。

ただ、あまり反応はなかった……。

「みんな、関心がない」
「日本旅行で、向こうへ行って何をしようかばかり考えている」
とは、思いたくはないのだが、
実のところ、よくわからなかった。

会場は、当地到着早々にお世話になったクラウンプラザ。
会場、食事、セレモニー、修了書等々に凝るのが
当地の流儀らしい。
当然のように、昼食と2回のコーヒーブレイク。
最終日にはちょっとしたバンケットも予定されている。

まぁ、かりかりしたところで始まるものでもあるまい。
「郷に入れば郷に従え」を忘れ、
自分一人が粋がったところで、
結局浮いてしまい、
モノを出せず仕舞となるのは愚かなこと。
短期的な違和感の元を追求するのではなく、
長い目での結果を出すことにこそ、
知恵を使うべきであろう……。

一つ勉強になったことがあった。

日当などは出ているものの、
食費を浮かしたいのは研修員共通の願い。
一人二人なら日本人専門家がごちそうするよ、という話もあろうが、
さすがに人数が……。
ともかく、「安くて済むププサを食べに行こう」
という話になった、らしい。

ここから先が面白い。

言い出しっぺは、言うだけ言って、あとは知らんぷり。
集合時間・場所には現れず。
誰一人、どこに行くか、どうやって行くか、段取りをしない。
結局、日本人専門家3人が、行き場所を決め、
タクシーなどの手配をする。

さらにさらに。
17人という、テーブルの1つ2つでは埒の明かない人数。
日本ならば、幹事役が店側と交渉して、
まとまって座れる場所を確保する、と思っていたのだが……。
店についたはいいが、場所の確保には誰一人動かず、
注文の行列に並ぶのみ。

なるほどなぁ、と、妙に感心してしまった。
宴会なのに幹事役を必要としない文化があるというのは、
なかなか衝撃的な「発見」であった。

大人数用に確保されてある部屋を空けてもらい、
皆がわかるよう案内をしたのが「旅の坊主」自身。
海外に出ればJICA専門家のステイタスはそれなりに高いのだが、
どうも、単なる「変わった人」扱いだったようだ。

「せっかくの機会だから、みんな一緒に」という発想は、
当地には存在しないようだ。
さらに言えば、
一人二人いなくなったところで、誰も気にしない、と。
ふーん、そういうものなのか……。

宴会幹事が務まるかどうかは、
日本では、人物を評価する一つの物差しであるが、
当地では、良い意味でも悪い意味でも個人主義、
ということらしい。

初めて、まともに感じた「文化の違い」であった。
その意味で、大いに勉強になった飲み会?であった。


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