TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

Pecking Order

2013-10-26 16:34:23 | ふしぎの国、ニッポン
茶道の実演を夫婦で見に行ったときのこと。

外国人にもわかりやすいようにということか、立礼でのお点前。
それはそれで興味深かったのだが、夫が一番おもしろいと思ったのは日本式年功序列の実際を垣間見るチャンスがあったことだ。

実演の前に若いお弟子さんたちがいろいろ準備していた。
きれいな紅葉の葉をあちこちに散らしたり、花を活けたり、なかなか忙しそうだった。時間がきてやっと実演が始まりそうになったころ、大先生とおぼしき和服姿の女性があらわれた。そして彼女は、お弟子さんたちがこしらえた飾りを一瞥するや、せっかく散らした紅葉の葉を一枚残らず拾って袋におさめたのである!

もちろん、活けた花も全て彼女の手によりアレンジが加えられた。
「センセイにとっては気に入らない、ってことかね?」と、夫が私の耳元で囁く。ま、おおざっぱに言えばそういうことなんだけど、これは一言では説明できない。

その後も、大先生はお弟子さん達にいろいろ細かく注意を与えていた。誰もセンセイにたてつく者はいない。彼女は指導者としての立場に、最年配であることが加わり、序列の頂点に君臨するのである。もちろん、責任も重い。こういう光景は日本人にはごく普通にうつるが、カナダ人の夫にはかなり新鮮というかビックリだったようだ。実演の主催者側は、お点前の実演を通して日本の伝統を伝えたかったのだろうが、こちらからすると準備中のヒューマン・ウォッチングが最もおもしろく、また日本社会の縮図を明らかに映し出していた。

ま、私が若い頃日本でお茶を習った先生は、ここまで厳しくなかったけどね。

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