TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

花の色はうつりにけりな

2002-09-25 12:50:45 | インポート
日本のお友達から、小包で源氏物語の本が送られてきた。

彼女は、女子高で古典の先生をしている。
私が古典好きなのを知っていて、よく古典文学の本をカナダまで送ってくれる。
日本の本はなかなか手に入らないから、毎回箱を開けるときワクワクだ!

今は知らないが、昔は源氏は受験必出だった。だから高校の時は点を稼ぐために
ひたすら読み、鑑賞しているヒマはなかった。文学として味わいようになったのは
大人になってからだ。源氏の登場人物に対する想いも、年とともにかわっていく。

私の好きな能の名曲「葵上」を初めて観たのは、OL時代だ。
源氏の正妻を呪い殺そうとする六条御息所の生霊。私は当時、御息所を中年女性の
イメージで見ていた。「オバさんの恨みって恐い」と(笑)

だが、実際には御息所は26歳くらいの若さだ。
故皇太子との間に娘をもうけたシングルマザーであったが、昔は12、3で嫁に行ったから、
彼女が源氏の愛人となったとき、まだ20代の半ばであった。
年上OLと男子高校生の恋愛みたいなものだ。そう考えると、「葵上」の観方が全く
違ってくる。

後年結婚してカナダに渡り、日本へ里帰りした際に機会があり再び「葵上」を観た。
今度は薪能であったから、鬼女の面をつけたシテが暗闇に浮かび上がり、怨念が
炎となっておそいかかるおどろな様子が実に迫力だった。
そして、立派なオバさんとなった私は(笑)すっかり御息所に感情移入してしまった。

高貴な身分で高い教養があり美貌の御息所は、年若い愛人への想いを理性で押さえ
ようとする。でも押さえようとすればするほど、愛憎はふくれあがっていく。
そしてついに、魂が肉体を離れ愛人の妻に襲いかかるまでに至る。
だが法力に負け、消え去る魂… なんとあわれな。

悲しい女の性ってやつか。
こういうキャラクターを描いた紫式部って、どういう女性だったのか…

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