TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

Stem Cell Therapy

2009-01-27 17:26:03 | インポート
救世主なのか、それとも。

関節炎で歩行が困難となった犬への幹細胞治療である。
この場合、胎児から作る胚性幹細胞ではなく、犬自身の脂肪組織を外科的に
とって培養したものを使う。それを患部に直接注入する。競走馬では以前
から行ってきたらしいが、ペット犬にやり始めたのは最近らしい。

実際に経験した人によれば、治療の数日後には犬はベッドに飛び上がること
ができたそうだ。もちろん、これはうまくいったケースだが。

倫理面でいろいろ問題があり、人間への応用は疑問視されてきた幹細胞治療。
とりあえず動物でやってみて、どんなもんか見ようか、ってことなのか。

新しいやり方にケチつけると、「古い」とか言われそうだが、でも幹細胞って
特殊な細胞で、分裂増殖をして別の機能を持つ細胞になれるやつでしょ?
ってことは、癌細胞にもなれるわけだ。実際に実験段階で腫瘍になっちゃった
やつがあったというし。安全なのか?

それと犬の場合、気になるのが人間の都合ってやつだ。
件の飼い主は、「歩けるようになったどころか、アジリティ競技にも復活でき
そうなのよ」と言う。

う?ん…
愛犬が痛みで苦しんでいたら、なにをしても楽にしてやりたいのは親心。
だけど、犬への幹細胞治療はまだ良く知られてない。治療費も高額だが、
それをやるということは余程切羽詰っていたはず。私だったら、犬が痛みなく
歩けるようになった時点で良しとし、迷わず競技生活は引退させるだろう。
しかし彼女は明らかに、競技に復活することを前提で治療を決めたのだ。

私にはちょっとできない。犬が可哀想だ。
活発なTABIはこれまで生傷が絶えなかったし、怪我もした。しかし、手術
が必要なほど重い状態には、幸運にも一度もあったことがない。だから、競技
を続けてきた。

メスが入れば、必ずそこを庇うために体にゆがみが生じ、また早いうちから
関節炎が出る。年々マニアックになるアジリティの、しかもチャンピオン
シップのレベルで競技させるのは、あまりにも過酷だ。競技者の中には犬に
強い鎮痛剤を飲ませて走っているのがいるが、私には理解できない。リボン
やトロフィーより、愛犬には元気で長生きしてもらいたい。

そんなわけで、この治療が歩行困難な犬への福音に必ずしもならないのでは
ないかと、危惧しているのである。


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