TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

犬の瞳

2005-09-11 15:43:18 | インポート
その子は、冷たいコンクリの上でだるそうに横たわっていた。

「TABIに良く似た子がいるよ」
と夫が言うので見に行った。よくPetsmartとかでやってる、レスキューグループ
の捨て犬救済活動だ。店の入り口に近い駐車場の空き地に、ズラリとクレート
が並び、犬たちが悲しそうな顔で通行人をながめている。

子犬や比較的若い犬、小型から中型の犬ばかり。
大型犬や5歳以上の犬はまず引き取り手がないから、ほとんどのシェルターでは
一週間以内に致死処分となるのが普通だ。そうでもしないと不用犬であふれ
かえってしまう。

その子は、一頭だけぽつんと離されてクレートの中で目をつぶっていた。
人あたりして疲れたのかな、と思ったが、どうやら熱があるようだ。鼻水が
出ているし、息苦しそう。ケネルコフかもしれない。レスキューの話では、
シェルターで他の犬に顔をかまれ、傷が化膿したので抗生物質を飲ませている
とのこと。「ケネルコフのワクチンは打ったらしいんだけどね」というが、
まあ効くとは限らないからね。

この子はプードルとボーダーコリーの雑種と書かれているが、どうも純血の
ポーチュギーズ・ウォータードッグのようだ。プーとBCならマズルがもっと
スナイピーになってもよさそうなのに、この子は違う。三ヶ月もレスキューにいて
汚れてるし毛が伸び放題でぼっさぼさ!尻尾と足のウェブの有無を見て
確かめたかったが具合悪そうなので外に出すのはかわいそうだ。

首輪についた狂犬病接種タグが擦り切れている。この子はきっと、飼い主が
自ら収容所に捨てに来た、事情のある子なのだろう。純血PWDは高価な犬だ。
裕福な飼い主に違いない。飼い主の離婚、赤ん坊が生まれて犬は不用になった、
捨てる理由は様々。私たちが本当の理由を知る由もないのと同様、この子自身も
なんで自分がここにいるのか永遠にわからない。

「病気の犬を渡すわけにいかないから、獣医に連れて行くよ」とレスキューは
言っていたが、その場で安楽死になってしまうかもしれない。夫は、TABIの
弟にもらおう、と言うが、そんなこといって世話をするのは私じゃないか。
一時の感情で軽薄な決断はできない。

悲しい瞳が忘れられないけれども。


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