<河内島 こうちじま>
河内神社の例大祭である「河内祭」は、
古座川流域の5つの地区の氏子が
担い手となって行われるこの地の伝統行事です。
紀州藩が編纂した「紀伊続風土記」の中に、
「日置浦より新宮迄の間に此祭に次ぐ祭なし」
と書かれるほど古くから有名なお祭りでした。
熊野速玉大社の御船祭や熊野市の二木島祭など、
熊野灘の沿岸には「船」を用いた祭りが多々存在します。
それぞれに独自の言い伝えが残されていますが、
「船のお祭り」の発端となったのは、
常世思想ともいうべき海へ憧憬と、
この地に「常世」を見た
渡来人の驚きや感動なのでしょう。
古来、黒潮に乗ってやってきた一般の人々はもちろん、
同じように黒潮に導かれたどり着いた神武一行もまた、
海の彼方を見つめながら懐かしい故郷を思う同時に、
故郷で抱き続けた「理想郷」の姿を、
熊野という土地の中に感じ取ったのかもしれません。