<板谷・矢倉神社 いたややぐらじんじゃ>
熊野地方の無社殿神社の多くが、
いつそのような形になったのかは不明ですが、
「矢倉」という呼び名からもわかるように、
その特徴的な形態は、お祭りなどで使われる
「櫓(やぐら)」との関連が深いと思われます。
周囲を監視する目的で造られた物見櫓や、
相撲の土俵を取り囲む屋根つきの櫓、
お祭りの際に設置される太鼓櫓など、
木材や鉄骨を組み立てた塔のような建物は、
矢倉神社の外観と非常によく似ています。
ちなみに、もともと相撲という文化は、
古代イスラエルから持ち込まれたいう話があり、
土俵の上部にある千木の乗せられた吊り屋根は、
伊勢神宮のお社とまったく同じ造りです。
矢倉神社の形式が先にあったのか、
もしくはもっと簡素だった古神道の形式に、
南方の風習が加えられたのかはわかりませんが、
もしかすると、この地でよく見られる櫓型の神社が、
のちにお祭りの櫓や、相撲の土俵を囲む櫓などの
原型となった可能性もあるのでしょう。