<鞍馬山 くらまやま>
古来より鬼の力を抑えるためには、
同じ鬼の力が必要だといわれてきました。
貴船大神に仕えていたのは、
「童子」を名乗る鬼の首領ですが、
童子(子ども)は神に近い存在とされ、
日本に古くから伝わる民話の中でも、
鬼退治をするのはほとんどが童子です。
貴船川を挟んで対岸にある鞍馬山は、
悪しき人間や魑魅魍魎を寄せ集める
異種の鬼・魔王尊が鎮まるといわれる場所。
貴船の鬼(童子)を「陽の鬼」とするなら、
鞍馬の魔王尊はさしずめ「陰の鬼」です。
天皇とのせめぎ合いが始まる以前から、
この地では貴船の陽鬼(童子)と、
鞍馬の陰鬼(魔王尊)との
せめぎ合いが続いているのでしょう。