たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

異境の入り口

2015-11-23 11:21:53 | 奈良・京都の神社

<貴船神社 きふねじんじゃ>

 

もともと貴船神社にご奉仕していたのは、

「舌(ぜつ)」と呼ばれる土着の一族でした。

しかし、平安時代に上賀茂神社の摂社となってからは、

賀茂一族が貴船神社の神官の任命権を握り、

舌一族はその下で雑役をさせられていたのだとか。

江戸時代に「舌」の一族が上賀茂神社と論争し、

その後貴船神社の独立を果たした経緯は、

言いかえるなら「天皇系一族」と「鬼系一族」

とのせめぎ合いでもあったのですね。

 

今でこそ貴船という土地は、

雅な空気が漂う都の避暑地的な場所ですが、

本来は奈良の吉野などと同じように、

「鬼」の支配する異境の入口でした。

神武天皇一行がヤマトに向かう途中、

熊野から吉野にかけての鬼の聖域を、

次々と支配下に置いたように、

同じ渡来の血を引く賀茂氏も自らの勢力を、

京都の「鬼」の拠点へと広げていったのでしょう。

 

* 参考文献 貴船神社ホームページ *