<貴船神社 きふねじんじゃ>
もともと貴船神社にご奉仕していたのは、
「舌(ぜつ)」と呼ばれる土着の一族でした。
しかし、平安時代に上賀茂神社の摂社となってからは、
賀茂一族が貴船神社の神官の任命権を握り、
舌一族はその下で雑役をさせられていたのだとか。
江戸時代に「舌」の一族が上賀茂神社と論争し、
その後貴船神社の独立を果たした経緯は、
言いかえるなら「天皇系一族」と「鬼系一族」
とのせめぎ合いでもあったのですね。
今でこそ貴船という土地は、
雅な空気が漂う都の避暑地的な場所ですが、
本来は奈良の吉野などと同じように、
「鬼」の支配する異境の入口でした。
神武天皇一行がヤマトに向かう途中、
熊野から吉野にかけての鬼の聖域を、
次々と支配下に置いたように、
同じ渡来の血を引く賀茂氏も自らの勢力を、
京都の「鬼」の拠点へと広げていったのでしょう。
* 参考文献 貴船神社ホームページ *