治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

自伝の出版をやめたわけ

2011-07-01 10:16:38 | 日記
自閉症者の手記、っていうのは花風社のラインナップなわけだが

いつしか私はやる気をなくしていった。
経緯は「自閉っ子と未来への希望」にもちょこっと書いたけど。

私たちにとっては「本を出してもえらくない」のは当たり前だし
うちの著者の方たちにはそれを了解してもらっているけど

外から見えるとそうは見えない。
なんかすごいことのように見える、らしい。

で、そういう機会が自分に回ってこないことを恨みに思う人も出てくる。
それに対して支援者っていうのは「もっと色々な人に機会をあげてほしい」という方向に向く。

私にしてみればそれは不思議な反応。
SSTとして正しくない。
世の中の姿をまっとうに伝えていない。

本を出すのに向いている人もいる。

違う仕事に向いている人もいる。

それぞれ合う仕事を見つけて本分を尽くすのが自己実現。
本を出すことだけが自己実現じゃない。

本を出すのも啓発なら

地域社会で、職場で成長し
「おお、ASDの人もなかなかやるな」と世の中に思ってもらうのも啓発だ。

本を仕事にしている人間としては
どうして「本」にこだわるのかさっぱりわからなかった。
それよりも「あなたはあなたの本分を尽くせばそれは本を出すことと同じように尊い」と教えてあげるのが支援じゃないのかね。

わからん。

わからんけどわかったのは一つ。

本を出した当事者にカンチガイや嫉妬がぶつけられたとき、
それが社会的に許されないレベルになったとき
支援者にはそれを解決する力がないってことだ。

ていうかそのつもりもない。
「本を出してくれればいいのに」という方向に走る。
別に自分がリスクを取る気もないのに。

ていうことで面倒になって、自伝は一切お断りしていた時期があった。

でも今はまた、自伝も検討しようかなと思っている。

そのきっかけは・・・

続きはまた。