治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

マイノリティが働き始めるとき

2012-12-19 10:01:55 | 日記
さて、発達障害と一見関係なさそうな本を次々と読んでいます。
先日読んだのはこれ。
「女子のキャリア」〈男社会〉のしくみ、教えます。
海老原嗣生 著



著者は私と同年代で、労働市場を見つめてきたということ。
まずそこから興味を持ちました。

この本を読もうと思った個人的な理由は二つあります。
一つ目は、私の世代(均等法第一世代)は、なぜあれほど労働市場で生き残らなかったのかということ。これをずっと疑問に思っていました。優秀な人が高い倍率を勝ち抜き一流企業に入りましたが、ほとんどの人があっさりとやめて、主婦に収まっています。

もう一つの理由は「〈男社会〉のしくみ」ってやつを知りたかったから。
私は実を言うと〈男社会〉って何それ食べれるの? っていうのが実感。
「これが男社会だ」という障壁に出会った記憶がないんですよね。
どっちかというと、今の社会は同じ実力なら女性が得するようにできていると思ってきました。女性の方が多様な生き方を許されるのが現代だと思っています。女性に生まれてよかったと思っていました。
だから〈男社会〉のしくみの前に、その存在をまず確かめたかったのです。

そうやってきわめて個人的な興味から読み始めたんですけど
これが思いの外面白かった。ばりばりに発達障害の世界と重なる部分がありました。
労働市場における女性と発達障害者。考えてみればどっちもマイノリティです。

均等法第一世代がなぜ生き残らなかったの疑問にも
きっちり答えがありました。
で、これが発達障害者の就労の行く末を見るのに、とても参考になります。

法律ができたから、女子を総合職で雇ってみたけれど(これ、発達障害の世界ではイマココ、ですよね)

迎える体制が十分にはなく
どう育てていいかわからず、男性並みに叱ると泣くし
そうすると甘やかすかほったらかすかしかできなくて、結局定着しなかった。

雇うけど、長続きしない。
腫れ物扱いで、育てられない。

そして企業の採用意欲が萎えたところに不況が重なり
しばらく採用を手控え。

けれどもその後、もっと不況になり、結婚しても夫もいつリストラされるかわからず
結婚=生活の安定を意味しない時代が来て

女子も本腰を入れて働くことになり、企業も採用基準や育て方がわかってきて
あと五年、十年経てば大企業にも女性管理職が続々生まれてくるでしょう、とのことです。

そして最初の世代で生き残ったのは「超優秀」な人たちだけ。スーパーウーマンだけ。
まずはその人たちがロールモデルだったけど、それは過渡期であり
今後はもっと普通の人たちが成功していく時代が来るだろう、と。

読んでいて、発達障害者の労働もこういう風になっていくのかな、と思いました。
だからね、今ある成功例の足を引っ張るのってほんとにばからしいですよ、皆さん。

あ、それと、なぜ私に〈男社会〉の存在が実感できなかったのかも、よくわかりました。
別に意識していませんでしたが、私は上手に避けて歩いてきたらしい。

もしかしたら発達障害者の就労を考える際にも、この手が使えるのかもしれません。
ていうか、すでに使っていてハッピーに仕事をしている人は多いかもしれません。
どうやって避けてきたか?
それはここに書くようなことではないので
別の機会にします。

ご興味がある方は、お読みになってみてくださいませ。
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1 コメント

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Unknown (いぬこ)
2019-10-18 09:33:12
全く同じ事を考えながら働いてます!
女性と発達さんの雇用に通じるものありと。
御本は数年前に読んで、
とっても身になりました。

配慮一つとっても
(求められたことは無いけど)
60代の女性達、
発達さん、
身体にハンデがある方、
等しく活躍中で、何ら違わない。
互いの苦手はカバーし、いつのまにか克服する
場面をよくよく見ます。

発達さん達に
これは向かない、
できないと可能性を狭める人さえいなければ。
出てきてもらえば現場が育てます。
頑張り屋さん達が
充分に実力を発揮でき、
相当に稼げてもいます。
家族、友人達の会社もみんなそのようです。

女性も同じで、いくつでも、学歴も問わず、
頑張りと実力重視で上がれていて、
社会人になった25年前に比べ、
働き易いのが今。
女性だからと出鼻をくじかれること
がなくなりました。

確かに、会議で女性は自分一人。
怒号も飛びますし、以前は泣く女性もいて
(なぜその場で泣くのか…
いつのまにか居なくなりました)
業種的に男性色は強いけれど、
腫れ物扱いが無くて楽です。
仕事量と家庭との両立には悩む。
しかし、辞めても、何歳でも復帰できること。
もわかりました。

発達さん達も、腫れ物扱いが無いのは
本人にとっていいこと。成長しかない。
誰にだって調子の波はあり、苦手はある。
「本人が懸命に頑張る」以上、
互いがカバーし、できるようにし、
伸びていくのが組織ですから。

社会や企業を何も知らない
「近い周囲」が
怖がらせ、出鼻をくじくのはあまりに勿体無い。

女性にはそれがなく、何かのきっかけで
復帰し、業種問わず経験値を使って盛り上げ…
を築いて今があると思えば、諸先輩方に感謝です。

きっと、発達さんの就職事情も同じように
なっていくと思います。
実体の無い怖がらせを鵜呑みにせず、
過敏を敏感に、身体を整えて、どんどん
活躍してほしい。それが一番の雇用拡大に
繋がるから。
何度も書きますが、人手不足は深刻。
だからこそ、チャンスでもあるのですし。

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