治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

2023年末の振り返り&医療はなぜ発達障害を治さないのか完結編

2023-12-30 09:18:51 | 日記
さて、ブルーさんの連載にインスパイアされて「医療はなぜ発達障害を治さないのか」を連載してみようと思ったわけです。
当初は二回でした。
医療が発達障害を治さない理由。

その1 機序見えない障害の人が相当数入り込んでいる。彼らはガイドラインを覚えるのに必死。それ以外は「トンデモ」。
その2 医療従事者の間には友だち原理主義があり、他の医者・医療従事者そして他科を批判してはいけないがゆえに、発達障害の本当の原因とその治療にたどりつけない。

でした。

さて、その3、と思っていたのですが年末の大掃除やなんやかんややっているうちに日々はすぎ、今日は料理の日ですね、皆さん。野菜をいっぱいむく日です。

というわけで、一年の振り返りの記事も兼ねて、書くことにしました。

浅見的今年の一年の成果。

・新刊面
3月に『療育整体』
12月に『発達障害治療革命!』
どっちも売れ行きがよいだけではなく、エポックメーキングだとあとでわかる本になると思う。
それを何度も花風社はやってきたのは皆様ご存じの通り。


・健康面

還暦の一年だった。
今年もまた無事これ名馬の年だった。
ノー枠ノーマスク未感染を通した。
気を付けていたので、怪我なし
夏に8年ぶりに発熱したが一晩で治った

・自転車面

真夏、奥多摩から多摩川を下り横浜の自宅まで帰ってきた
海老名から平塚へ県央縦断
三浦半島何回も走る
相模湾あちこち走る
鶴見川行ったり来たり毎週
9月 さくいち(桜島一周)
10月 奄美大島北部ママチャリライド
11月 かすいち(霞ヶ浦一周)

来年は四国とか南西諸島とか沖縄に行きたい。

・奄美大島
3回行けた

改めてみると楽しい一年でしたね~。

2022年の2月初頭に小田原の大先生が出て行って、それ以降の出版の予定がなくなり、遊んでいたら9月初頭に松島さんと会いました。そして2023年3月に『療育整体』出版。ひそかに全国で根っこを張っていた松島さん、全国でひっぱりだこに。
そしてそれを読んで田中先生からメールが来て、6月に初めて会いに行って、夏中講義を受け、12月に『発達障害治療革命!』出版!

すごい巡りあわせ。

世の中占いとか引き寄せのなんとかとかパワスポ巡りとか御朱印とか色々開運に血道を上げている人多いけど、私からみるとそれは「さもしい」。私はどっちかというと、「開運のためになんかする」ってさもしいことだと思うので初詣もパス。こんでるし。まあイベントだし、別に初詣行ってもいいけど、あそこはたいてい気が悪いですよ。
平時に神社の前を通りかかってお声がかかるとお参りします。それだけ。

なのになぜこれほど出会いに恵まれているかはわかりませんが、まあ別に深く追求することもないかな、と思っています。ただ私は、わりと自分はどうでもいいと思っている。健康だけには気を付けるけど、それ以外はどうでもいい。それよりみんながどうなるかを気にしている。そのためには自分が犠牲になってもいいと思っている。

たとえばマスク警察を恐れてマスクをする、というのは、巷にいわれる公衆衛生を守っているように見えて逆効果だし勇気のないことです。健康な人のマスクが健康に悪いのは自明の理。だったらそのせいで自分が非難されようとしない姿勢を貫くのが社会正義。そこで保身のためにいやいやしてしまっていた人は結局自分がかわいかったわけです。

それと同じで、どうやら発達障害治るのに医療が治さないだろう、ということを吠え続けてきたわけですが、それで非難されてもそれは私が引き受ければよく、治る人が増えればそれでいい。

でもそれに耐えきれない人は著者でもいるんですよ。体制側に回った人が楽だと私に見切りをつけて出ていく人はいる。そんなに喧嘩したくない。自分はみんなと仲良くしたい。という人はいる。

それはもう、別々の道を行くしかないんです。

『NEURO』に書いたように「昔発達障害だったよ。でも治った」と言いながら自分の好きな仕事をして社会貢献している人が増えるのが私の願いだから。その願いを追及しているだけ。

そうするとその願いがなぜかかなってしまい、そのご褒美として私には楽しい生活がある、みたいな感じ。それが実感です。


さて、『発達障害治療革命!』の意義はさらに大きく

医療側から、しかも(珍しく)なんとか治そうとしている医療側から、「実は花風社がやっていることこそ世界的にみると標準医療だ」と教えてもらえたのが大きかったですね。それを皆さんは堂々と家でやればいい。一度習えば大してお金のかかることじゃないし。

そしてなぜそれが日本で保険適用にならないかは、コロナ禍の経験と田中先生から本の中で教えてもらったことでよくわかりましたね。

日本のアクセス良すぎる国民皆保険のもとでは、医者は外車を買うために数をこなさないといけない。そうすると4000円を3分で稼がないといけない。薬物中心になります。

だから田中先生が本の中で教えてくれたあの方法で必死にエビデンスを出しているのだけど、つまり多くの人は実は治らない薬を出され続けている。

うちの母が健康を保っている自費の民間療法は4000円らしいですけど、30分か40分みてもらえます。それはその代替療法家の人が欲深くないから、それだけ稼ぐのにそれくらい時間を使っていいと思っている。そして母は健康。

母があまりに健康なので友だち婆ズもたくさん行き始めたらしく、そうすると社保を食わないで健康婆が増えるのでいいことです。ヒマなんだしいくらでも資生堂パーラーに列作って3000円のパフェ食ってさらに経済回していればいいと思いますね。

自分はそういう老後は理想ではないけど。

えっと話がそれたけど、コロナでよくわかったように日本の国民皆保険にモラルハザード起こしている医者たちは「本当に治るものを探す」よりも「ラクで儲かるもの」を選ぶので、40分のセッションとかは絶対に保険診療にならないわけですよ。

それはコロナ禍の初期、日本がなぜかコロナに強かったのに誰もファクターXを探さなかったのと同じ。あのときつきとめていれば、子ども達にこんな負担をかけることはなかったのです。

そして発熱患者をみないで民には効果のはっきりしない自粛を強いたのも同じ。自分たちがラクするためならエビデンスは関係ないし、とにかく面倒なことになりたくないんです。

ごくまれにシアさんのようにきちんと権力側が薬害被害者として認め、賠償もした人だと、バイオフィードバックとかの手段をとってもらえる。っていうことは知っているわけですよ、少なくとも医療のトップは。世界では薬物療法以外にいい方法がたくさ~んあることを。それを日本でやると国民皆保険の中での縛りが多すぎるから持ってこないだけ。機序の見えないイクラ底辺はそれをわからずにガイドラインに外れたものをトンデモ呼ばわりしているだけ。

田中先生は医療法人のトップとしてそういうお勉強をしてみんなに伝えてくれたわけです。「諸外国ではもう抗うつ剤はあまり処方できない。なぜなら効かないから。効くというエビデンスが出ていないから」と。

そして「だからこそ、花風社がやっていることこそが標準医療なんだ」と。

残念なことに腐れ切った日本の医療の現状では、それでも身体アプローチが標準医療になる日は来ないでしょう。医療カーストの中でOTとかPTとかも力なさそうだし。

でも幸い、身体アプローチはちょっと習ってしまえばおうちで毎日やれるし。効果は抜群だし。

そして今や、それが標準医療なんだとわかったので、皆さん自信をもってやればいいんです。

今年も大変お世話になりました。
来年の出版の予定は全く立っておりませんが
来年も本を出すようでしたら、どうぞよろしくお願いいたします。
とりあえず1月14日と2月17日の講座でお目にかかりましょう。

浅見淳子@花風社




医療はなぜ発達障害を治さないのか? ブルーさんの連載に教えてもらったこと  その2

2023-12-26 10:02:41 | 日記
さて、ブルーさんの連載に触発されて連載する! と言った割には23日も経ってしまいました。

まあその間に本が出たわけです。そして皆さんすごいすごいとおっしゃっている。よかったよかったなのですが、何しろワタクシ、最近年に二冊がせいぜいなので、いちいち忘れちゃっているんですよね、新刊時のあれこれ。

で、それを思い出しながら、へまをしたりしながら、神経使うので、その前後はわりと疲れるかもしれない。

既刊は毎日毎日売っているんです。ありがたいことに、既刊が売れない日というのはないわけです。逆に、既刊が回ってくれているから新刊出さずにすむのです。

そして普段使わないものはどんどん忘れていくのも対応スキルの一つなので、いざ新刊出すとなると「あわわわ」になってしまうわけですね。

言い訳はこれくらいにしますが、間をあけたおかげでいいことがありました。それは「なぜ医療は発達障害を治さないか」の理由があと二つわかったからです。つまり連載は三回になります。

一つ目の理由は前回↓書いたように「医療従事者は機序がわからなくてもなれる仕事」「機序みえない障害の人がまぎれこんでいる」ということ。

そして二つ目を今日書くわけです。

そこで杉様の登場です。

杉様は失言癖があるとご自分でどこかに書いていました。30代だった浅見淳子への失言(その後のギョーカイトラウマの出発点)も今思うとその失言の一つだったのかもしれませんが

でもそういう局地的な影響をもつ発言だけではなく、「あれ、これ言っていいのかな」って私ですら思う発言を本に書いたりしていることがあります。

まあ脇が甘くていいのですが。褒めてません。褒めてませんが実は医者たちが何を考えているか垣間見えて便利な失言です。

一番すげえなと思ったのは不妊治療と発達障害の関係です。

「できないならできないだけの理由がある。それを無理やり作ると発達障害になる」みたいなことを堂々と書いていて「すげえな」と思ったのです。

「不妊治療の結果発達障害になるんですか」ってそのへんの凡医にきいたら凡医たちは揃って首をぶるんぶるん振って否定すると思います。

帝王切開とか、吸引分娩にしてもそうでしょう。発達障害と関係ない! というのが公式見解だと思います。医療の。

ところがお母さんたちの実感としては「うちもそうだったし、周囲も多い」みたいなことは肌身で知っていたりします。

「帝王切開で生んだ子と経腟で生まれた子は明らかに違う」と実感している人もいます。

一方で医療はそんなこと認めません。

その割に根掘り葉掘り訊くみたいですね、診断の時。
「関係ないと言いながらあれほどしつこく訊くんだからなんか関係あるんだろうと思った」というお母さんのお話もよく聞くところ。

これは医療ギョーカイの情報流通の特性が出ています。

あの人たちは「同ギョーカイに都合の悪いことには(それがたとえ真実だったり患者のためになるとしても)口をつぐむ」のです。

そのサークルから自由な民間の知恵方面の人は
「帝王切開ですか。ならば原始反射が」とか
「周産期の影響で頭蓋仙骨が」とか指摘して、そこを治し、発達障害が治っていくのです。
だから標準医療()がもたもたしている間に、民間療法が治しちゃうのですね。

小児科学会が子どもへのコロ枠を推奨したことで憤っていたお母さんたちいましたが

小児科学会がコロ枠を推奨するのは既定路線なのです。同ギョーカイの商売に差し支えあることは言わないのが医療ギョーカイなので。大事なことだからもう一度書きますと

・たとえ真実でも
・同ギョーカイの都合の悪いことは民草に知らせない


のが医療従事者たちのやり方です。
だからコロ枠を子どもにも推奨するのは当たり前で、「じゃあ本当に必要なの?」「効果あるの?」「副作用は?」「諸外国ではどうなっているの?」と順々に考えていって自分で結論を出せばいいだけです。いちいち小児科学会をあてにする必要はないのです。

医療者たちは自分たちの言動が同ギョーカイへの思いやり(笑)に縛られているのを知っていますから、だから心ある医療者ほど無理強いはしません。

「私は打ちません」と言えばそれで済みます。「打たないやつはかかっても病院に行くな~」とか言っているのは底辺だけです。

それに行政もよく知っていますから、一度も打たなかった人には二度と接種券を送ってきません。電話一本かかってきません。へんなしがらみに勝手に縛られなければ日本はまだまだ自由の国なのです。

公金チューチュー志望の医療従事者志望の人たちは、いくらでも打ってほしいですが。在庫処理は同業界内でやってもらいたいですからね。

不妊治療は医療ギョーカイにとってドル箱です。そしてイスラエルにとっては命綱。敵が一夫多妻なのですから。イスラエルでは無料みたいですね。

だから不妊治療はこの世から消えないし、どうしても子どもがほしい人たちも消えないのでしょう。日本の場合、一夫多妻の敵に囲まれてはいないけど「墓守」とかへんな縛りが残っており、不妊治療の需要は続くと思われます。

未だに医療はPCR陽性だと強制帝王切開とかやっているみたいですが、今後働き方改革とかも出てきて、おそらく医療側都合の分娩は増えるのかもしれませんね。

それでも発達障害児の増加がそこに由来するとは、医療は死んでも言わないでしょう。

『発達障害治療革命!』の中で、ドクター田中はエピジェネティクスに触れています。親由来と受け取って騒ぐ人がいるかな、と思ったのですが、「親も必死で生きてきた結果だ」と言ってくださいました。

私はそこで「医療も必死でしょうけど、医療の必死な努力の結果生じる障害もありますよ」と思い切ったことを言いました。こよりさんの体験談を話したのですね。お母さんとしてではなく、障害当事者としてのこよりさんの体験談。

そうしたらP162の表が出来上がってきました。こっちの意見も入れてくださったのだなあと思いました。

珍しく頭が柔軟なドクターなのかもしれません(今更)。

というわけで
『発達障害治療革命! 脳神経内科医からの提言』
絶賛発売中です!

続く

医療はなぜ発達障害を治さないのか? ブルーさんの連載に教えてもらったこと  その1

2023-12-03 08:21:46 | 日記
さて、『発達障害治療革命! 脳神経内科医からの提言』を出すにあたり、読者のブルーさんが「今回はハッタツ有事は起こるのかなあ?」という疑問を抱き、連載をしてくれました。
何しろアンチ(治せない医療とそれに洗脳されて治らないと思い込んでいる人たち)がトンデモトンデモと呼んでいた花風社のやっていることを
精神科医よりは解剖学的にみる習慣のある脳神経内科医の先生が
「花風社がやっていることこそ人を救う!」と賛同してくださり一緒にお仕事をすることになったからです。

これまで、治す力のあるおっさんず(花風社の著者)を「医者ではない」というつまらん理由でさげすんできた人々。なのに今はどうやら精神科医より格上らしい「脳神経内科医」の先生が「花風社こそ国際水準なのだ」と絶賛してくださっているからです。

これはハッタツ有事が起きそうだ、ということでブルーさんが連載してくださり、その最終回がこちら。



この連載自体がとても楽しかったし、私には気づいていないことをブルーさんがたくさん教えてくれてとっても勉強になったのですが、この最終回がもう、すごかったのですね。

どうすごいかというと、私が見逃していたことが多かった。
ので、数日考えて、お返事代わりに記事を書くことにしました。

まずなんといっても衝撃的だったのは、医クラが「機序を理解していない」という問題。
引用させていただきます。

=====ブルーさん引用

トンデモ=いわゆる標準医療以外のメソッドの中にも機序があります。

例えば、某コメディカルの悪評を買った「私の治った自慢」における頭蓋仙骨療法+自然療法の体験記です。

今だから言えますが、この放送をご覧になっている方々ばかりだけではなく、ズバリ某・コメディカルみたいな人に向けても私はあの体験記を書いたのです。

標準医療以外の世界に、つまり社会保険で守られておらず実力で生き抜かなくてはいけない民間の市場の中で、いかに多くの選択肢と優れた専門家がいるかを描写することを目的としていました。

それは私が仕掛けた、アンチの心理に対する透明な日本刀でした。でも、私はそれを自分で振る必要がありません。治った自慢のお部屋に置いておけばそれで良いのです。するとコメディカルは私の予想通り、自分から吸い寄せられてぶっ刺さりました。

この場合、やはりこのコメディカルも頭蓋仙骨療法というメソッドにばかり反応していました。なんとか否定したいので、頭蓋仙骨療法の死亡事例の論文まで持ってきました。

どんな言説であろうと、どんな論文を持ってこようと良いのですが、私がその時感じたのは「そっち(方法論)に反応するのか・・・」ということです。


=====

★1「硬膜を通じた神経系へのアプローチ」
⇒機序の「機」。人体の仕組み。

★2「周産期の物事はその後の発達に大きく影響を与える」
⇒機序の「序」。発達の順番に関する物事。

=====

いやあ、これはびっくりしました。

やけに単語に反応するなあ、とは思っていたのです。
ウコン、金魚体操、原始反射、恐怖麻痺反射、みたいに。
何か単語を並べてはトンデモトンデモという。

でもそれは「機序を理解していないからだ」とは気づきませんでした。

この機序は社会的な面にも及びます。
だから、「保険に守られていない民間療法で生き残っているということは、支持者がいるのであり、支持者は効果を確かめているからこそ支持しているのだ」ということも見えにくいわけです。

あらゆることを機序から考える習慣と脳みそでやってきた私などから見ると、こういう単語に反応して「なんとか療法はトンデモ!」とやっちゃう人たちって、一種の学習障害じゃないかと思います。

機序みえない障害 みたいな。

それでASDの人、これかなりかぶってますね。だから無駄な資格取得に血道を上げたり、それで受け入れてくれない社会を罵倒したりする。

「保険にカバーされていないのにそれなりに支持されているっていうことは、効き目があるはずだ」という判断ができない。それで「医者」という単語に反応し実は治すことなど考えていないギョーカイ凡医にしがみつく。

みたいなことが起きていたのはこの「機序みえない障害」のせいじゃないかと思います。

それと、資格試験においてはこの「機序みえない障害」の有無を判断するのはとても難しい。

そして医療は成長産業(笑)だったらしい。
そこに公金チューチューをよしとする田舎の価値観と親子そろって怖がり、という要素が重なると

相当数、「機序みえない障害」の人が医療職にまぎれこんでいると思われます。

これじゃあ治らないわ、と思います。

我々は機序で考えているから、たとえばぽっと療育整体が出てきたときには「あ、これは治るわ」ってわかるわけです。



それまでに色々知識を積み重ねてきて、定型の発達がどう起こり、定型ではない人の身体の中で何がそれを阻んでいるかもわかってきたので

ブルーさんのおっしゃるとおり「あらゆるメソッドを活かす」ことができるわけです。

最初に私が持ってた知識は「脳は身体をも司っている」。これだけです。まあ一般人の知識ですよね。

そこで

1 睡眠障害
2 感覚過敏
3 ボディイメージがつかめない
4 季節の変動に弱い

という人たちと生身で対峙して、これは不便そうだと思った。それでききこみを始めたところから花風社の身体アプローチは広がってきたわけです。



そして小田原のおっさんで内臓や関節について知り



メガネ売りの人に原始反射を教えてもらい



愛着障害とその身体に及ぼす影響について神田橋先生や愛甲さんに教えてもらい

松島さんに骨軸や血管について教えてもらい

今度は田中先生が内分泌方面を教えてくれて
謎が解けてしまったのです。
なぜ発達が遅れるのか。

機序が知りたい、と思って出会いがあり
それで知見を積み重ねていった。

それに比べ「機序がみえない障害」の人たちは
もともと私の敵ではなかったな、と思います。

医者は難易度が高いにしろ、リハ職、コメディカルはまあそんなに難易度が高くない。

なり方もわかりやすい。各種養成校も宣伝しているし、そこで学んで資格とって、みたいに。

そういう意味でも「機序みえない障害」の人につきやすい仕事かもしれないです。

私のキャリアパスは違います。

私はもともと翻訳家志望でした。
なんで翻訳家志望だったかっていうと、お日様が好きだからです。長時間労働はかまわないけど、一日中部屋の中にいる生活が続くのはいやだったので、自由業がいいと思ったのですね。
いつかは自由な時間に勤務、を夢見ながら正社員やってました。

本は大好きだったので書店に行き、翻訳物が並んでいるのをみて、「いったいこの本たちはどういう経路で外国からやってきてここに並ぶのだろう」とその機序に興味をもちました。そして著作権エージェントという仕事がこの世にあると知りました。

「どうやったらそこで働けるのだろう」とききこみを始め、そこの社長に会うことができ、採用してもらいました。

この仕事をしている人は当時、日本全国で30人くらいしかいませんでした。PTは世界に60万人、日本に30万人いるらしいですけど、それに比べればまあ、レアな仕事です。逆に言うと、機序のみえない人にはたどりつきようのない仕事ですね。

そしてエージェントとして海外のブックフェアとかに行くと、小さいけど独自の路線で本を出している出版社などをたくさん目にすることになり「出版社ってどうやったら創れるのだろう」とその機序に興味を持ちました。

同じギョーカイの中にいたから調べる方法はいくらでもあり、飲み会に顔を出しているだけで色々なことがわかり、出版社を作れました。

それにひきかえ「機序みえない障害」の医クラは、養成校→試験→実地研修
みたいに敷かれたレールで、ヒエラルキーの中で、ガイドライン(と今は口枷)に縛られて、

ある意味「機序みえない障害」があってもつける仕事だけど

やはり機序がみえないと治せないのです。

だから医療現場には「資格はとれたけど、治せない人」っていうのがあふれているはずであり

これも「病院に行っても治らない」理由の一つであろうし

そういう人はガイドラインを守るのに必死で

私が最初抱いたような志、あの四つの苦しさをなくす方法を見つけたい、みたいなのは思う余裕もないんだろうなと思いました。

やはり医療への過信は捨てた方がよさそうですね。
彼らが治せないものでも治るので。

続く