治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

100人学級

2014-10-30 07:35:20 | 日記
財政引き締めのために一学級の人数を増やすという財務省案にはぽかんとしますが
じゃあ40人を35人にしていじめや不登校が減ったかというと
教育現場が「結果を出していない」のは確かなのです。

そして東大話法というものがあるらしいように(本は読んでいません。書評を読んだだけです)
公務員話法というのもあるようで
なぜか一番現場に近いはずの先生たちが、国や社会のせいにしてるんですよね。いじめや不登校が減らないのを。

いじめも不登校も複合的な問題で
原因が学校だけにあるとは思いませんが
一番の当事者である先生たちが自分たちの責任ではなく国や社会を罵れるのはなぜなのか不思議だったんですけど
先日教えてくださった方がいました。
政治家を罵るのはカンタンだ。同僚を批判するのは胆力がいる、と。

そうかあれは茶飲み話だったんだ。
自分たちの当事者性を棚にあげてそこにいない権力者のせいにしてその場を保つ。
これが「公務員話法」なんでしょう。それを私は外から見てるから不思議だったんであり、その一員だったらきっと不思議でもなんでもないんでしょうね。

と与太話はここまでにして

以前から「特別支援教育」と「ユニバーサルデザイン」の関係がわからなかったわけです。
たとえばTEACCHなんて、皆さんはどうか知りませんけど、私は最初、本買ってやってみましたよ。
籠用意して。ついたて立てて。

その結果わかったのは
自分にはこれでは非効率だということですが
逆に自閉脳の人は安定させるだろうなあ、ということでした。

世の中の、ありものの進め方でOKな人はいると思うんですよ。

自閉っ子関係を見ていると、給食とか運動会をはじめとする学校の行事とかが大問題だけど
私自身は学校給食にも行事にも苦労しなかったんだと思う。だって覚えていないし。そういう行事が「いやだった」記憶も「楽しかった」記憶もありません。小学生のつとめとして淡々とこなしていたんだと思う。

そういう子には特別な支援なんていらないんですよ。

100人学級だっていいと思います。
っていうか、本当はダメなんだろうけど、そうだったらうれしかっただろうと思います。
だって先生とその分つきあわなくてすむじゃん。
定型児は学校において、先生なぞはどうでもよく、友だちが大事なので
友だちが多くて先生が少ないとうれしいのは当たり前でしょ?

特別支援教育を推進する立場の人たちが、なぜ「障害のある子にいい教育はみんなにもいい」というのか不思議だったんですけど

もしかして罪滅ぼしなのかな?
自分たちだけずるいと思われないか? とか。

そこまでせこくないと思いますよ。

100人学級でいい子は100人学級で。
数人の支援級は支援級で
加配が必要な子はつけてもらって

が公平なんじゃないの?

というわけで私は特別な支援を否定する者ではありません。ただ

特別な支援が入っているはずなのに他害する子が「ありのまま」にされていて他の子が傷ついていても親も教師も「仕方ないんです」として被害児に我慢させるとか

そもそも能力より低い課題しか与えず消化試合コースを歩ませるとか

そんな特別支援なら血税の無駄遣い、とは思います。

intensiveな教育が必要な子には、公教育でもそれを提供すればいい。

ただしだったら、伸ばしてほしいですね。
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「頑張る」ってどういうこと?

2014-10-28 09:19:03 | 日記
頑張るのが、あるいは頑張れと言われるのがキライな人の多いギョーカイ。
「頑張らせてはいけない」という主張自体がもう、世間から浮くんですけど、そこはまあ自己責任でどうぞ。

でもねえ、自閉っ子にはやっぱり不利な点がある。
それは身体的な認知に遅れがあって
「頑張るってどういうことか」を肌身で感じられないことね。
やっぱりそれ、最初は身体で覚えるのよ普通の子はね。
遊びの中で。

でも社会性の遅れとか、そういうことで遊びの機会にも恵まれないから
だからチットチャットの実践とかがとても貴重なわけですね。



さて、

コンディショニング講座の二回分、録音を聞いているうちに、「ああ、これだと『頑張る』っていうことが一発で身体でわかるなあ」という実践を栗本さんがしているのに気づきました。

必要なのはタオル一本ですよ。

10月13日の講座に出てくださった方の体験談。
小田原にもいらしてるんですね。
そして熱海にまで足を伸ばしているとか。そういうのもいいなあ。

お子さんも喜んでいるのがすごくよくわかる。

コンディショニングで身体がラクになったうえに
おさかな釣って、食べて
こういう体験って、いいですよね。
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力を持っているのは、誰?

2014-10-27 08:59:15 | 日記
土曜日の朝食はお蕎麦でした。休日の朝にはしばしばこれやります。
大葉とか大根おろしとか、薬味いっぱいでさっぱりとした朝食。
その席で夫が「アスペルガー症候群の難題」(井出草平著 光文社新書)を読み始めたのを知りました。

うちは一家で二冊買いましたよ。

「意義のある本だ」というのは意見が一致したところ。
誤解しないでほしいんですけど、私は本当に、皆さんこれ読むべきだと思っているんですよ。
ただどうやってこの問題を解決するかについて、著者と私は意見が食い違っているだけで
問題意識は共有しているんです。

そういうことつぶやいていたら井出さん本人から@が飛んできました。
それを読んで思ったのは、ああ井出さんはハト派なんだな、と。
私はタカ派。
対ギョーカイ論調においてね。

井出さんは、ギョーカイが潔く障害特性と犯罪の関連性を認め、そこに介入すればリスクは減るだろうと思っているようです。
かたや私はある意味ギョーカイに徹底的に絶望しているので、そんな能力と胆力と人権意識がギョーカイにあるとは思っていない。
そこの違いだろうなと思いました。

ってところまでお蕎麦を食べながら話し、そのあと一人で考えたこと。

むしろ私はさらに進んで、現在の療育そのものに犯罪者養成ギブスみたいな要素を感じているのかもしれません。

だってさ

二次障害恐れて、教えるべきこと教えないでしょ。
行動を世間にとがめられると「社会の理解ガー」でしょ。
そして「いい行動はほめる。問題行動は無視」っていう療育がまかり通っているじゃないですか。
昨日の賢ママさんの出した例で言えば、20円のお菓子を子どもが勝手に持って来ちゃったら無視なんですかね? エビデンスガーの皆さんは。

悪いことはその場で教えなきゃいけない、っていうのが服巻先生なんかも方針にしてらしたけど
それにも「厳しすぎる」とかいう批判があるようだし。
悪いことはその場で教えてほしい、という当事者の声も高いのに
それも現場は無視してなあなあで済まそうとするし。

つまりありきたりな療育にのっかっていたら、むしろ「犯罪やっていいよ障害者なんだから」になってる、っていうのが
自分がずーっと抱いていた問題意識なんだなと思ったんです。
だから井出さんほど、ギョーカイの介入に期待は持っていない。

でも実は私の方が楽観的だと思う面もある。
私はだって、保護者の力とかご本人たちの力を、高く見積もっているから。
それはきちんと認知特性に合わせて育ててきたお母さんたちにもいっぱい会ったし(もちろん賢ママさんもそのひとり)
きちんと地道に社会人できる自閉っ子にもいっぱいあったし。

そしてこの人たちが持っていないものは社会へのルサンチマン。
その点ギョーカイ活動は、むしろルサンチマンを育ててしまう面があるんですよね。

ルサンチマンという蓋を取れば
自閉っ子が持っている「幸せになる力」が表に出てきます。
そしてどうやってルサンチマンを取るかは、自閉っ子の場合
やはりわりと理屈で勝負っていう面はあるんですよね。
身体を楽にして、理屈を入れる、っていう感じ。
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とっても大事なお話

2014-10-26 10:55:42 | 日記
日曜日なので、ゆったりした気分で読んでいただけるかな、と
賢ママさんに先日いただいたメールを転載させていただきます。

本当はコメント欄に書こうと思われたようですが、長いのでメールでくださいました。
浅見判断で一部省略していますが、とても大事なことが書かれています。
どうぞお読みください。

=====

1 自閉っ子の犯罪について
「自閉っ子は心がキレイなのです」という言葉に「????」と思ってました。自閉っ子だって人間だし雑念わくし欲もあるし、おかしなことおっしゃるなあと思いながら聞いてました。定型の人の中からだって犯罪者は出るし、自閉っ子だけ例外ってことはないだろうというのが私の当事者兼保護者としての考えです。

うちの自閉っ子は特別支援教育を受けてきたので、よそのお子さんに会う機会もたくさんありました。その中で器物損壊とか先生やクラスメートに他害を繰り返すお子さんが何人かいて、先生も打つ手なしという状態でした。物を壊したり人に危害を加えたときに即介入すれば学習の機会もあったのでしょうけど、先生も学校も「物を壊したら保険で」「人を怪我させたら治療費は保険で」という対応で、これではだめだなあと思いました。
親御さんも放任主義というか自閉っ子に物を教えるという考えがない方ばかりだったのでお子さんは誤学習を続け、ますます。手が付けられなくなっていきました。

もちろんそのお子さんたちは診断受けてたわけですから病院行ったり療育通ったりしてたのですが、病院に毎日いくわけじゃないし療育行ったって役に立つことなにも覚えてこないわけですよね。少なくとも私にはそう見えました。

自他の区別できてないところに何を積み上げたってだめじゃないかと思います。積み上げようとしない人もたくさんいますしね。

2 親の態度

自閉っ子の親御さんに会う機会が多くお話もするのですけど先日万引きの話になりました。小さい自閉っ子が、買い物の時に小さなお菓子を握りしめてたのですが、お母さんそれにきづかずレジを通っておうちに帰って、そこでお子さんがお菓子を黙って持ってきてしまったことがわかったのですが「20円くらいの駄菓子だしまあいいだろう」とそのままにしてしまったそうです。

その場に居合わせた人みんな「安いお菓子はよくて、高いものはだめだ」なんておかしい。お店に謝りに行ってお金払って子どもに絶対同じことさせないようにしないと、という考えだったのですが、そのお母さん悪いことだと思ってない様子でした。スーパーに行ったらお菓子持ってきてもいいという誤学習させて修正しなかったしするつもりもないということで、その自閉っ子がこの先どうなるのか、心配してますが親御さんが考え変えない限りどうにもならないので暗い気持ちになりました。

3 人には意志があるということ

うちの自閉っ子に自他の区別教えるのには時間がかかりましたが人にも意志があってそれは自分とは違うこともあるということを納得できるようになって変な恨みを持つこともなくなったし被害者意識も消えました。小さいうちに消しておいてよかったと思います。
ほしいものが売り切れで買えないと納得できない時がありました。スーパーの人が悪いとか、先に買った人が悪いとかごねた時があったのですが
お店は来た人に物を売るのが仕事だし、よその人だってそこにおいてあるものは自由に買っていくんだということがわかって無いときはほかのお店に行くことやあきらめてほかのものを選ぶことができるようになりました。
自分が手に入れられないものをほかの人が持ってるという状況を「ずるい」と思わないようにするのが大切だと思ってます。
 
4 分相応の暮らし

高校に入ってから友達の携帯をうらやましがったり「OOくんは親に@@を買ってもらってる」と言い出しましたが家庭それぞれ収入や状況が違うこと、親の考えも違うことを改めて教えました。使えるお金の中で生活することが大事だし、人と同じことばかり求めてはいけないし、逆に自分のほうが恵まれてる部分もあるのだからとその都度教えました。

自分の能力や収入に合った暮らしをすることが大切だと話すうちに納得していきました。

ニキさんのお話にあったように自分の手札で勝負するというのがわかっていけば、大分暮らしやすくなるのではと思います。

自閉っ子に限らずみんなに言えることではないかと思います。

=====

賢ママさんの子育てについて知りたい方、「自閉っ子のための道徳入門」を読んでみてください。
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幸せな人が増えれば

2014-10-25 10:47:26 | 日記
さて、今日も治っていった人のご報告。
お友だちのyakoさんのついーと

yakoさんのおうちは、二次障害、身体的症状、そこに医療による三次障害が重なって大変な思いをされていました。
愛甲さんの「十本指遊び」をやってみたら、お子さんが全然できなかったっていう話を聞いて、やはりあれができない凸凹の人はいるんだ~と思ったり。
十本指遊びできないような身体感覚だとね、そりゃ社会に出るのは怖いですよ。

それでも神田橋先生の本からうちにつながってくださり
ちょっとずつちょっとずつよくなって、ついにお子さんが就労されご自分の社会保険の手続きをされたときには、感動のメールをうちに送ってくださいました。
そりゃ感動すると思います。一生独り立ちできないかと思っていたお子さんが勤務先を得て自分の保険証を持ったわけですからね。

井出氏の本で騒いでいる猿烏賊山を観察に行きましたが



結局犯罪なんていうのはね、幸せなら起こさない。
だからいかに幸せにするかっていうことじゃないの、一人一人の自閉っ子を。

そこに「標準化された介入」はあんまり役に立たないでしょう。
だって最近ここにコメントくれているタラちゃんとか、ちゅん平さんとか大地君とか
そういうもともと前向きに努力する力を持っている人はいるんだし。


そして別に前向きな性格じゃなくても
脳みそラクにする方法を覚えれば
あとは自分で自分の道を見つけていくんだし。

治りかけで社会に出ると、ぐっと治るんです。

癒やすのは結局、社会なんですよ。





それが「芋づる式」の本質ですよ。

猿烏賊山は誤解しているようですけど

犯罪を減らす=幸せな人を増やす

っていうことなんですよ。

花風社はそれに成功しているんです。


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治っていく人たちのことを知らせる

2014-10-24 11:49:35 | 日記
一日ブログさぼってたらネタがいっぱい。
しかも治っていくネタばかり。
本当に芋づる式に治るんだなあと、実感。

そして「一生治らない」と考えて安心している人たちはいいけど
治したい、と思って

1 治さない医療
2 伸ばさない療育
3 就労させない就労支援

に絶望している人に、このブログを通じてきちんと治っていく姿をお知らせするのも私のミッションかなと思います。

昨日はクドヲ。さんのこのツイートに感動。



特性を理解せず配慮せずの幼稚園でひどい扱いを受け、荒れていた息子さん。
医者は「フラッシュバックは一生治らない」と言ったそうです。

それを変えたのは、「自閉っ子の心身をラクにしよう!」に載っている身体アプローチです。
私は栗本さんの本は、こういうことが起きるだろうという確信を持って出しました。

その前、「脳みそラクラクセラピー」の中で、愛甲さんが他害のある重い行動障害のある人を治されていったとき

「感情の蓋を取ると発達が起きる」
「感情の蓋を取るのは身体アプローチ」

って言ってたときには「どういうことだろう?」と思っていたんですけど

今息子さんの中では神田橋先生のおっしゃったこのプロセスが起きているみたいで



しかもそれをツイートしたら他にも同じような現象が起きているご家族があるみたいで

本当にうれしくなりますね。

愛甲さんが、フラッシュバックによって発達が止まっていたお子さんを癒やしていくときに使う身体アプローチ。
私はそれ、効果を確かめたから

「自閉っ子の心身をラクにしよう!」を出すときにはためらわなかったわけで

でも本当にこんなカンタンなことで変わっていくんだと思います。
芋づるの端っこね。

=====

業務連絡です。
12月6日の会、現在午前午後ともお申し込みは100名くらいです。
ペースは速いと思います。

ここのコメント欄で書いておいたように、花風社の集まりは


「この子たちできる子たちだよ」「当事者が持っている力」を引き出そうという志向をお持ちの方が集まるので
とても雰囲気がいいのです、毎回。

今回初めてお申し込みの方が、こんな素敵な「自閉っ子のための道徳入門」のレビューを書いてくださいました。
お会いするのが楽しみです。


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ギョーカイはとっくにわかっていたんだね

2014-10-23 10:07:38 | 日記
「アスペルガー症候群の難題」井出草平著 読み終わりました。
最初の予感が当たっていて、私にとっては意義深いけど結論尻すぼみの本でした。
でも読む意義はじゅうぶんありました。犯罪と障害特性との関連性もはっきり数字で示してあったし、ギョーカイの隠蔽ぶりが逆に自閉症者のためになっていないだろうという持論を共有していることも確かめられたし。
どこがどう最後にがっかりしたかというと、一つは犯罪の要因となる自閉症者の特性がほぼ「粗暴性」しか分析されていないこと。違うでしょそれは。問題は粗暴性じゃなくてモンダイな想像力じゃないの? って私は思っています。
もう一つはこの事態を解決する方法をギョーカイ内に求めていること。私ほどギョーカイに絶望していないんだと思います。見切りをつけていないのね。

それにしてもねえ、たいした狸だ、ギョーカイメジャーたちは。
事件が起きると「報道するなあ! 自分たちが傷つく!」と理由にもならない理由を並べて規制に走っていた一方で(著者の井出氏はきちんと、この態度を批判しています)、厚生労働省にはきちんと「アスペルガーの特性は犯罪と強い相関性があります。そしてそれに対して医療はなすすべがありません。以上」って報告していたんですね。国のお金を使ってきちんと研究して。
JDDの会長にして自閉症スペクトラム学会会長の泣く子も黙るギョーカイ大大大メジャーであらせられるところの市川宏伸先生の研究結果についての部分、ちょっと長めですが引用させていただきます。

=====

 精神科医の市川宏伸らも、アスペルガー症候群である者の犯罪種別の報告をしている。都立梅ヶ丘病院に通院歴のある自閉症スペクトラム障害(広汎性発達障害)の者のうち、触法行為とみなされる行動の履歴がある13のケースを検討している。

 13の症例で計18件の触法行為が認められ、その内訳は傷害(強盗傷害を含む)が4件、卑猥行為が3件、放火が3件、窃盗が3件、ストーカー行為が3件、恐喝、脅迫行為が各々1件であった。(中略)7件の触法行為が梅ヶ丘病院に初診する前に為され、11件の触法行為が梅ヶ丘病院に初診した後に為されていた。

 傷害・性犯罪・放火・窃盗・ストーカーといった犯罪が起こりやすい傾向が見られる。このデータは病院経由でとられたものである。
 医療が関わっていれば、犯罪は防げると期待するかもしれない。しかし、この研究からは医療が関わっていても犯罪行為は起こることがわかる。
 市川らは次のように分析する。

 今回の実態調査で重要な結果だと考えられたのは、18件の触法行為のうち11件が医療機関の受診後に為されているということと、触法行為後の処遇として入院が選択された5件の触法行為の後に4件で再犯が認められているということである。いずれの結果も、医療機関での治療が自閉症スペクトラム障害(広汎性発達障害)患者の触法行為の抑止のため充分ではないことを示唆している。その原因の1つには、精神科医療の技術的な問題が挙げられる。早期にはじめる、一貫したルールをつくる、社会性を伸ばす訓練をするという、一般的な対応策は提示されているが、根拠を持って自閉症スペクトラム障害者(広汎性発達障害者)の触法行為に対して有効であるという治療法の報告はなく、医師それぞれの試行錯誤によって治療方針が決められているというのが現状である。

 病院に行って医療による支援を得られたとしても、犯罪は起こる可能性がある。医療につながることは必要だが、医療だけで犯罪の再発を防止することは難しいようだ。市川らが言うように、触法行為や再犯を防ぐ手立てはいまだ試行錯誤の途上にある。

=====

 ギョーカイが事件のたびに報道規制することを、私はギョーカイの「健常者に人権なし」の思想の表れだと受け取ってきました。一方で「社会の理解を!」と訴えているのなら、実像を知ってもらう必要があるでしょう。なのにどうして負の面は隠すのか。負の面だって実像じゃないですか。そこをきちんと訴えて必要な資源を勝ち取るのも支援者の仕事じゃないですか。第一一般人の知る権利をまったく考えていない。
 井出氏はわりあいこの点で、私と同じベクトルの考え方です。途中まで。だから花風社の本が好きな人はこの本は好きだと思います。途中まで。

 ま、ともかくここに引用されているギョーカイによる研究をカンタンにまとめると

・犯罪を犯した自閉っ子を13人見ました。13人で18件の犯行。つまり再犯があります。
・そのうち11件が医療的介入の後のこと。つまり入院させても効果はありませんでした。
・今のところ悪いことする自閉っ子に医療は無力です。おわり。

 っていう報告であり、これこそ「早く言えよ専門家!」って世界です。以前ギョーカイがついていたウソは

・自閉症者は心のきれいな人たちなのです。
・悪いことをすればそれは支援者のせいです。
・犯罪を犯してしまう自閉症者がいたとしたらそれは支援につながっていない人たちが事件後に診断がついたのです。

ということでした。けれども私が被害にあった犯罪の加害者はどこに出しても恥ずかしくない立派なよこはま発達クリニックで診断治療を受けていたひとなので

・悪いことをすればそれは支援者のせいです。

 とおっしゃっている佐々木正美先生にご報告したわけです。
 ところがギョーカイの別の一角で国のお金で市川大先生が

・今のところ悪いことする自閉っ子に医療は無力です。おわり。

 という報告を国にしているんですからね。

 じゃあどうすんのよ。

それに対して井出氏は「家族が防波堤」と書いてます。今は家族が殴られても傷つけられても必死に身体を張っていると。
でも家族にだって人権があるはず。家族だから被害にあっていいわけではない、と。
この辺の問題意識も私は共有している。ギョーカイはどうなんだろ。

それと特別支援教育の問題。
より問題のある子がより問題の少ない子に被害を及ぼしても現場が無力だということですね。
これはぜひ「自閉っ子のための友だち入門」の栗林先生のところを読んでいただきたいもんですが。



栗林先生くらい胆力のある先生じゃないと、この問題に立ち向かえないわけです。
それを私は死んだふりと呼んでいるわけですが。

なんでこんな事態が起きたんだろう。
どうやったら解決するんだろう。

皆さんは、どう思いますか?
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12月6日の会について

2014-10-21 09:23:15 | 日記
昨夜ブログで情報アップし↑
本日朝よりMLをお送りしています。
数が多いので、いっぺんに行かず、時間差になっているかもしれません。
またとくに携帯の方、不達になっている方も多いようです。

これまで花風社のセミナー、50人~100人規模のものだと
地元で瀧澤さんに情報を回していただく前にいっぱいになることが多く
そんなわけで今回は瀧澤さんが講師のお一人ということで
瀧澤さんが地元で会の告知を始める昨日に合わせて、このブログでも情報をアップいたしました。

けれども第一部は10月13日の会にお申し込みの方には全員券をお配りしていますし
(関西方面の方には全部お送りしました。関東方面の方で当日来られなかった方で12月6日の午前の部の券がご入り用の方、mail@kafusha.comにご連絡ください)
10月13日に午後の部もお申し込みになった方も多く

ざっと今のところ、私の方で販売済みの券が

午前の部 80枚くらい
午後の部 50枚くらい

というところです。私の他に瀧澤さんも券を持っていらっしゃいます。これはきっと午後の部が多いと思います。

一応定員は150名ですが、理論的には300名入れる会場であり
行政絡みではない有料の会で300名はさすがに多いと思うので
直前になっても一応おたずねいただければと存じます。

けれども11月5日までのお申し込み+お振り込みだと半額ですよ、というお知らせです。

今年の花風社のテーマは
「幸せになる力の発見」でした。

その締めくくりになる会です。
ちゅん平さんも駆けつけてくれます。

どうぞ皆様、お誘い合わせの上お越しください。


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関西方面でコンディショニングにご興味のある方へ

2014-10-20 09:55:21 | 日記
先日のコンディショニング講座、ご参加の方からのメールを一部引用させていただきます。
ご兄弟お二人お子さんお連れで参加された方。
個人情報伏せてあります。

=====

実は一緒に持ち上げた私も、力を抜く、ということがいままではうまくできなかった
○○(息子さんのお名前)が、
ふっと力をうまく抜いていたことに、とてもびっくりしましたし、
他の参加者のかたに声をかけていただいたときの○○の顔が、ほんとうに嬉しそうでしたので、私も、とてもうれしかったです。
今日の小暮画伯のブログにもありましたが、花風社さんのセミナーはほんとうに和やかで、参加後も良い気持ちになれます。
次回12月6日も(所用があり午前中のみになってしまい残念ですが)伺いたいと思います。

そういえば、森嶋さんのご本にある「饗宴」のイラストですが、うちの子どもたちは
好きなようで、気が付くと、どちらかが「饗宴」のページを開けてニコニコして見ています。
昨日、森嶋さんのご本を購入したときも、2人が取り合って「饗宴」のイラストを見ていました。

=====

「饗宴」のイラストがお好き、ってうれしいですね。
あれはね「世の中怖くないよ」って伝えたくて描いてもらったイラストです。

翻って、考えてみたら

「棲み分けはまかりならん!」なんていう世界観を持っている支援者が
「社会とは饗宴である」なんていう結論を導き出すわけがないですね。
そうすると「治す」っていうことが残酷に思えるのでしょうね。

でも私は棲み分けを信じる者です。

そしておんなじように身体アプローチが早道じゃないか、と思っているお友だちの狸穴猫さんが、面白い企画を大阪で立てられました。
こちらです。
フェルデンクライスのコンディショニング+自閉っ子子育てチップの講座。
少人数ですからアットホームな雰囲気でしょうね。

フェルデンクライス、って言ってもピンとこないかもしれませんが
このブログでもご紹介して方々ではやっているだるま転がり、
あれフェルデンクライスのボディワークです。

あんな難しいワークではなくても
黄色い本の中の風船人間のワーク
あれはフェルデンクライス由来です。栗本さんはフェルデンクライスにもたくさん学ばれていますから。

それに加えて猫さんの自閉っ子育てチップ。
猫さんの話聞いてると「あああやっぱり異文化だなあ」と思う反面、ルサンチマンのない方なので
きっと前向きなヒントがいっぱいもらえると思います。

関西方面の方、ご興味があったらどうぞお出かけくださいませ。
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佐々木正美vs杉山登志郎(敬称略)という構図

2014-10-19 10:55:46 | 日記
さて、二ヶ月発達障害の本を読まず、復帰は奥田先生の本あたりかなと思っていたのですが
ちょうど出た新刊を読み始めました。

「アスペルガー症候群の難題」井出草平著 (光文社新書)

です。
まだ「はじめに」と一章しか読んでいません。これは実況しながら読もうかな、と思って。
一章では、アスペルガー症候群の人の犯罪親和性が高いかどうか
つまり、アスペルガーじゃない人と比べて犯罪を犯す確率が高いかどうかを追求しているんですが

「はじめに」と第一章で、私がたびたび指摘しているあのことに著者も言及しています。
「専門家たちの変化」です。

引用しましょう。

=====
 ただ、専門家と呼ばれる人たちは、両者(浅見注:犯罪と障害)の関連には否定的だった。世間の注目を浴びた事件の加害者がたまたまアスペルガー症候群だったと主張したのである。アスペルガー症候群の入門書の中には、犯罪との関連性に言及しているものおあるが、決まって関係性は否定されている。たとえば次のような記述だ。

 アスペルガー症候群は非行の原因ではない。
 過去の事件報道などをもとに、アスペルガー症候群を非行、犯罪にむすびつけて考える人がいます。これは大きな間違いです。

 これは精神科医の佐々木正美が書いた文章である。

(前掲書 P9)

=====

ご存じ佐々木先生の論です。佐々木先生はこれをさらに発展させ、アスペルガーの人たちは心がきれいな人たちなのだから、何か問題行動を起こすのならそれは支援者が悪いとまでおっしゃっていました。ちなみに、よこはま発達クリニックの顧問なので、私はよこはま発達クリニックが診断治療していた加害者が起こした自分の事件の詳細は全部ご報告してあります。献本したときとかはていねいなお返事をくださるマメな先生が、事件の経過報告については一向にレスポンスがないのが不思議なところです。

 さて、では杉山先生に対し、著者の井出氏はどういう観察をしているでしょうか。(この本の中では、専門家の態度の変化は観察の対象になっています。)

=====

 ここが本書の出発地点である。アスペルガー症候群の特性と犯罪との関係性を偏見の一言で退けずに、今一度、考えてみたいのだ。
 なぜなら、アスペルガー症候群と犯罪を扱った論文や専門書を丁寧に読み込むと、その関連性を示唆するものが少なからず存在するからだ。専門書や論文の記述と、一般・入門書の記述は大きく違う。
 例えば早い時期からアスペルガー症候群の臨床に携わってきた精神科医の杉山登志郎は、次のように述べている。

 著者らはこれまで、先に述べたように、これらの重大事件は偶発的なものであり、アスペルガー症候群が犯罪と結びつきやすいわけではないと主張してきたが、これだけ連続して起きると説得力がない。このグループへのきちんとした医療的、教育的な対応がなされない場合には、極端な事件に結びつく場合があることを認めざるを得ない。

 杉山がいう「極端な事件」とは、殺人などの凶悪犯罪のことである。杉山は、アスペルガー症候群が凶悪犯罪に発展する可能性があることを指摘している。

(前掲書 P10~11)

=====

 始まりは佐々木先生も杉山先生も、「犯罪と障害は関係ない」だったのですよね。それは私も目撃してきたこと。私が杉山先生を医療者として素晴らしい方だと本を読みまくりながら人間的に尊敬してこなかったのは、YTの「偽アスペルガー論争」で専門家として卑怯な責任逃れをした(と私の目には映った)あの経験があるからです。私はあの事件、被害者でしたからね。一般人よりよけい腹が立ったわけです。
 このあたりの時代の、専門家の欺瞞的な態度について、私は自著「自閉っ子と未来への希望」にこう書いています。



=====
 もう一つ、今だから言えること。
 それは当時、触法事件の加害者となった少年や青年に、捜査段階で「アスペルガー」「広汎性発達障害」「高機能自閉症」などの診断名がつき、報道されていたことでした。
 元々藤家さんが花風社にアプローチしてきたのも、長崎のアスペルガーの少年が起こした事件がきっかけでしたが、この頃ますます報道される事件が増えていたのでした。
 それに対して支援者の人たちは「報道しないでほしい」という呼びかけをしていました。事件と障害名を結びつけることによって、地域で生きる自閉っ子たちが偏見の目で見られるというのです。
 私自身は、たとえある障害の人が事件を起こしても、だからといって同じ障害の人が全部事件を起こすとは思えません。ですから、率直に言って支援者の人たちの動きは過剰反応に思えました。
「自閉症について知ってもらいたい」というのなら、いいところも悪いところも含めて情報開示して支援を訴えるべきであり、ネガティブな情報だけを隠すのはフェアではない。そもそも自閉症支援の名のもとに「国民の知る権利」を侵害しているように思えました。本当に健常者と共存を望むのなら、一般人の権利を侵害してはいけないのではないか、という疑問を抱きました。
 それに、加害側に回ったケースもきちんと報道しないと、本当に役立つ支援策は出てこないのではないでしょうか。
 ただこれだけは理解しました。どうやら支援者の人たちは、事件について報道されたくないようです。どうしても。どうしても。

(「自閉っ子と未来への希望」 浅見淳子著 119~120)
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 でもどうやらその後、佐々木先生と杉山先生は分岐していったように私の目には映ります。そして井出氏の目にもそう移っているようです。
 井出氏は杉山先生の態度の変化にこう説明をつけています。

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 杉山は発達障害に早くから取り組み、2000年代初頭には、アスペルガー症候群に犯罪との関連性はないという啓蒙を続けていた。この時期、杉山らはアスペ・エルデの会という親の会に継続的に関わっていた。親の会に参加している親というのは、子育てに非常に熱心であり、我が子の教育に対しても積極的である。このような積極的な関わり合いをしている家庭では、それほど犯罪には遭遇しなかったのだろう。杉山らは「アスペルガー症候群が犯罪と結びつきやすいわけではない」と主張していた。
 しかし、あいち小児保健医療総合センターの開院によって、親の会だけではなく、様々なバックグラウンドを持つ多くの事例と関わるうちに、犯罪リスクを認識したという。
 そのような変化を見せたのは杉山だけではない。当初、アスペルガー症候群と犯罪は関係がないと言っていたが、2000年代半ばに立場を変更した専門家は少なくない。
 このように、専門家たちの立場の変更を迫ったものは何だったのか。

(井出氏著書 P51~52)

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 昨今、親の会の衰退、組織率の低下等が言われますが、特別支援教育がこれだけ行き渡った前と後とではニーズが違って当たり前。佐々木先生的な原理主義で運営している比較的高齢化した幹部がやっているところに、若いお母さんたちが魅力を感じないのは自然なことなんじゃないでしょうかね。
 時代は杉山先生の方にあるんじゃないの?
 一部親の会がその変化についていっていないだけじゃないの?

 でも井出氏と私は、「なぜ杉山先生が態度を変えたか」の意見は若干違いますけど。

 杉山先生は元々公的な機関で診察されてきたわけだから、機能不全家庭のケースや、一番難しい触法のケースとかもご存じだったのではないでしょうか。ご存じだったけど、隠してきた。「障害と犯罪は関係ない」という「啓蒙」を続けてきた。それは私の目から見ると、一種の「ごまかし」です。その一つがYTが暴れたときの「偽アスペルガー論争」であり、私は被害者としてないがしろにされたという経験を持っているわけです。「自閉っ子と未来への希望」に書いた違和感の元もそのあたり。ずいぶんやさしい書き方をしているなあ、と今では自分で読み返して思います。実際には、はらわた煮えくりかえっていた。

 そして寡聞にして、アスペ・エルデの会に品行方正な当事者と保護者のみが集まっているという話も聞かない。

 井出氏の著作はほんの読みかけですけど、私がたぶんこの本に満足しないであろう予感がするのは、小さい頃からの問題行動と犯罪の関連性についての言及が薄そうなところ。まだわかりませんよ、あとから出てくるかもしれない。でもそういう細かい人権侵害行動の「配慮という名の見逃し」を、私は支援者がむしろ積極的にやってきたと思っています。今もやっているでしょう。そこに被害者がいるという視点は一切なく。

 杉山先生が態度を変更された理由として、先生ご自身の記述

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 著者らはこれまで、先に述べたように、これらの重大事件は偶発的なものであり、アスペルガー症候群が犯罪と結びつきやすいわけではないと主張してきたが、これだけ連続して起きると説得力がない。

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 これは私の目には「もうごまかせないよ」という告白に見えます。

 なんらかの理由で、関連を隠してきた。おそらくそれは、ゆがんだ当事者保護でしょう。この国の宿痾ともいえる「身内だけよければいい」という態度。当事者の都合を優先させ、利権を発生させ、それを守るために社会に負担を強いるという日本人のお家芸を、ギョーカイもまたやっていただけでしょう。

 それでも事件がばんばん明るみに出たからこそ、第一線の医師が

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このグループへのきちんとした医療的、教育的な対応がなされない場合には、極端な事件に結びつく場合があることを認めざるを得ない。

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と社会的使命を果たすことを誓われているのは、一般人としてとても心強いことだと思います。

当事者が事件を起こすのなら悪いのは支援者だ、という佐々木先生の主張に従い、YTの件をつまびらかにご報告した私に佐々木先生はだんまりなわけですが、それは別に佐々木先生になんらかの悪意があると、私は受け取っていません。

このギョーカイのメジャーたちの悪口を私はいっぱい言いますが、彼らが悪い人間だと思っているのではありません。例外はありますが。吉川(敬称略してない)とか。

ただ彼らが決定的に欠いているものがあると思います。
ギョーカイメジャーにないもの。

それは

男気です。
受けて立つ強さ、と言い換えてもいい。
ごまかせるところまでごまかそうと思ってきた。それがギョーカイ。

「社会のために」という男気のある人はいない。
だからそういう人が説く「自閉症に優しい社会」なんてのはやってこないよ、それを前提に発達援助していこうよ、と私は呼びかけている。

そして「もうごまかしきれない」という動機であれ、問題行動に医療的な介入をするというギョーカイの先生方を私は一般市民として支持する者です。
それが本当の「共存」だと思うから。
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