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寡黙堂ひとりごと

詩吟と漢詩・漢文が趣味です。火曜日と木曜日が詩吟の日です花も酒も好きな無口な男です。

十八史略 周公の事を行わしめん

2012-10-13 12:41:47 | 十八史略
初唐之起晉陽、皆世民之謀。帝欲以世民爲儲嗣。世民固辭而止。太子建成、喜酒色遊畋、齊王元吉多過失。而世民功名日盛。建成乃與元吉、協謀傾世民曲意諂事諸妃嬪。世民獨不事之。由是左右皆譽建成・元吉、而短世民。
武九年六月、太白經天、見秦分、建成・元吉欲殺世民。秦府僚屬、勸王行周公之事、力請乃決。

初め唐の晋陽に起こりしは、皆、世民の謀なり。帝、世民を以って儲嗣と為さんと欲す。世民固辞して止む。太子建成は、酒色遊畋(ゆうでん)を喜(この)み、斉王元吉は過失多し。而して世民は功名日に盛んなり。建成乃(すなわ)ち、元吉と、謀を協(あわ)せて世民を傾けんとし、意を曲げて諸妃嬪(ひひん)に諂事(てんじ)す。世民、独り之を事とせず。是に由(よ)って、左右皆建成・元吉を誉めて、世民を短(そし)る。
武九年六月、太白天を経(わた)り、秦の分に見(あらわ)る。建成・元吉、世民を殺さんと欲す。秦府の僚属、王に勧めて周公の事を行わしめんとし、力め請うて乃ち決す。


儲嗣 世継ぎ、世子。 遊畋 狩猟。 諂事 へつらい仕える。 妃嬪 帝の宮女、女官。 太白 金星。 天を経る 日中に現れた、凶事とされる。 周公の事 周の武王發が崩じ、成王誦が継いだが、幼いため武王の弟周公が政を摂った。このとき兄弟の管叔と蔡叔が中傷したので、周公が二人を誅した故事。

初め唐が晋陽から興ったのは、すべて世民の知略によったものである。それで帝は世民を世継ぎに考えていたが、世民が固辞したために沙汰やみになった。高祖の長男、建成は酒色と遊猟を好み、三男の斉王元吉は過失が多かった。世民の声望は日に日に高まっていった。そこで建成と元吉は結託して世民を陥れようと謀って、まず帝のお気に入りの女官たちに取り入った。世民はもちろんそんなことには無関心であったから、帝の側近たちは建成と元吉を褒めそやし、世民をけなした。
武徳九年六月、太白星が日中天空をよぎり、秦の地に対応する南方に現れた。これを秦王が天子となる前兆だとする噂が立った。建成と元吉はいよいよ世民を亡き者にしようとした。それに気づいた秦王の幕僚たちは、昔周公が兄の管叔と弟の蔡叔を、周室の安泰のために誅した故事に倣うように口を極めて説いた。世民はここでようやく意を決した。


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