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寡黙堂ひとりごと

詩吟と漢詩・漢文が趣味です。火曜日と木曜日が詩吟の日です花も酒も好きな無口な男です。

十八史略 鍛錬羅織 

2012-12-25 12:07:07 | 十八史略
初寵僧懷義。後寵張易之・張昌宗。兄弟居中用事。易之五郎、昌宗六郎。佞者曰、人言六郎似蓮花。吾謂、蓮花似六郎耳。曌知人心不服、且内行不正、畏人議己、盛開告密之門。用酷吏侯思止・索元禮・周興・來俊臣・吉頊等、鍛錬羅織、率以反逆誣人。誅殺不可勝紀。用此拑制天下。然有權數善用人、賢才亦樂爲之用。徐有功仁恕執法。曌毎屈意從之。

初め僧懐義を寵す。後、張易之・張昌宗を寵す。兄弟(けいてい)中に居て事を用う。易之は五郎、昌宗は六郎。佞者(ねいしゃ)曰く「人は言う、六郎、蓮花に似たり、と。吾謂(おも)えらく、蓮花、六郎に似たるのみ」と。曌(しょう)、人心の服せざるを知り、且つ内行の正しからずして、人の己を議せんことを畏れ、盛んに告密の門を開く。酷吏、侯思止・索元禮・周興・來俊臣・吉頊(きつぎょく)等を用い、鍛錬羅織(たんれんらしょく)して、率(おおむ)ね反逆を以って人を誣(し)う。誅殺すること勝(あ)げて紀(き)す可からず。此れを用いて天下を拑制(かんせい)す。然れども権数有って善く人を用い、賢才も亦之が用をなすことを楽しむ。徐有功(じょゆうこう) 仁恕(じんじょ)にして法を執(と)る。曌、毎(つね)に意を屈して之に従う。

五郎・六郎 一族の輩行。 内行 私生活。 鍛錬羅織 鍛錬は酷吏がむりやり罪名を造りあげること、羅織は網で捕え、でっちあげること。 紀 記。 拑制 拑ははさむ、厳しく締め付けること。権数 かけひき、権謀術数。 仁恕 あわれみ深く、思いやりの厚いこと。

武后は初め僧の懐義を寵愛していたが、次第に張易之・張昌宗の兄弟に移った。張兄弟は朝廷にあって思いのままに振舞った。兄の易之を五郎と呼び、昌宗を六郎と呼んだ。あるへつらい者が「人は六郎さまは蓮の花に似ていると言うが、私が思うには蓮の花が六郎様に似ているのでございます」と言った。武后は人々が自分を信服していないことを知っていて、なお且つ不品行が口の端にのぼることを畏れて密告が盛んになるように仕向けた。また侯思止・索元禮・周興・來俊臣・吉頊といった酷吏を重用し、むりやり罪名をでっちあげて反逆の罪をきせた。このため殺された者は一々数えきれないほどであった。武后はこういった恐怖政治で天下を治めたが一方、かけひきも巧みで、人材の登用も的確であったから、賢才も武后のために働くことを楽しむという風であった。その中で徐有功は思いやりがあり、慈悲深く、寛大に法を用いた。さすがの武后も有功に対しては意を枉げてその裁定に従った。

前回に書き忘れたことがありました。武后の曌の文字について、特に武后が使用を強制したもので照に相当し、則天文字と呼ばれるものです。他に国に相当する圀などがあります。

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