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寡黙堂ひとりごと

詩吟と漢詩・漢文が趣味です。火曜日と木曜日が詩吟の日です花も酒も好きな無口な男です。

十八史略 季布髠鉗(こんけん)して奴と為り朱家に売る

2010-02-16 17:58:57 | 十八史略
初季布爲項羽將、數窘帝。羽滅、帝購求布。敢匿者罪三族。布乃髠鉗爲奴、自賣於魯朱家。朱家心知其布也、之洛陽見滕公曰、季布何罪。臣各爲其主耳。以布之賢、漢求之急、不北走胡、南走越耳。此棄壯士資敵國也。 滕公言於上。乃赦布、召拝郎中。

初め季布、項羽の将と為り、数々(しばしば)帝を窘(くる)しむ。羽滅んで、帝、布を購求す。敢えて匿(かく)す者は三族を罪せんと。布乃ち髠鉗(こんけん)して奴(ど)と為り、自ら魯の朱家に売る。朱家、心に其の布なるを知るや、洛陽に之(ゆ)き滕公(とうこう)に見(まみ)えて曰く、季布、何の罪かある。臣は各々其の主の為にするのみ。布の賢を以て、漢之を求むること急なるときは、北のかた胡に走らずんば、南のかた越に走らんのみ。此れ壮士を棄てて敵国を資(たす)くるなり、と。滕公、上(しょう)に言う。乃ち布を赦し、召して郎中に拝す。

以前季布は項羽の将軍として度々高祖を苦しめた。そこで項羽が滅びると、賞金を懸けて捜し求め、もしかくまう者があったら、本人はもとより父母、妻の一族までも罰するぞと布告した。季布は髪を剃り首枷(かせ)をはめて自ら奴隷に身を落として魯の朱家に売った。朱は季布の正体を感づくと、洛陽に赴き、滕公(夏公嬰)に会見してこう言った。「季布に何の罪がありましょう、臣下はそれぞれの主君のために力を尽くすのがつとめ、ここで季布ほどの賢人を厳しく探索したなら、北の匈奴か南の越に逃げるだけでしょう。これこそ壮士を見捨てて敵国を利することになりましょう」と。滕公はそれを高祖に申し上げた。高祖は早速季布を赦し、召して郎中に任じた。

窘(くる)しむ 閉じ込める、苦しめる。  購求 懸賞金をかけて捜し求める。
髠鉗(こんけん) 頭髪を剃り、鉄枷を首に施すこと。
郎中 宮中の宿直の役。

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