虞や虞や若を奈何せん
起飮帳中、命虞美人起舞。悲歌慷慨泣數行下。其歌曰、力抜山兮氣蓋世。時不利兮騅不逝。騅不逝兮可奈何。虞兮虞兮奈若何。騅者羽平日所乘駿馬也。左右皆泣、莫敢仰視。
起って帳中に飲し、虞美人に命じて起って舞わしむ。悲歌慷慨、泣(なみだ)数行下る。その歌に曰く、
力山を抜き、気は世を蓋う。
時、利あらず 騅(すい)逝かず
騅逝かざるを奈何(いかん)せん
虞や虞や若(なんじ)を奈何せん
騅とは羽が平日乗るところの駿馬なり。左右皆泣き、敢えて仰ぎ視るもの莫(な)し。
やがて立ち上がって陣中のとばりの中で酒を酌み交わし、虞美人に舞わせた。歌は悲壮に、嘆きは増して、さすがの項羽も涙が幾筋も頬をつたわった。その歌は、
力は山をも引き抜き、気概は天下をも蓋う
天の時は味方せず、愛馬の騅も前に進まぬ
騅の進まぬをいかんせん ああそれよりも
虞よ虞よなんじをいかんせん
左右の臣は皆泣き、項羽の顔を仰ぎ視る者は誰一人居なかった。
兮 調子を整えるために置く助字 音はケイ
奈何 如何におなじ
虞美人 項羽の愛妾、ひなげしにその名をとどめる
起飮帳中、命虞美人起舞。悲歌慷慨泣數行下。其歌曰、力抜山兮氣蓋世。時不利兮騅不逝。騅不逝兮可奈何。虞兮虞兮奈若何。騅者羽平日所乘駿馬也。左右皆泣、莫敢仰視。
起って帳中に飲し、虞美人に命じて起って舞わしむ。悲歌慷慨、泣(なみだ)数行下る。その歌に曰く、
力山を抜き、気は世を蓋う。
時、利あらず 騅(すい)逝かず
騅逝かざるを奈何(いかん)せん
虞や虞や若(なんじ)を奈何せん
騅とは羽が平日乗るところの駿馬なり。左右皆泣き、敢えて仰ぎ視るもの莫(な)し。
やがて立ち上がって陣中のとばりの中で酒を酌み交わし、虞美人に舞わせた。歌は悲壮に、嘆きは増して、さすがの項羽も涙が幾筋も頬をつたわった。その歌は、
力は山をも引き抜き、気概は天下をも蓋う
天の時は味方せず、愛馬の騅も前に進まぬ
騅の進まぬをいかんせん ああそれよりも
虞よ虞よなんじをいかんせん
左右の臣は皆泣き、項羽の顔を仰ぎ視る者は誰一人居なかった。
兮 調子を整えるために置く助字 音はケイ
奈何 如何におなじ
虞美人 項羽の愛妾、ひなげしにその名をとどめる
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