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寡黙堂ひとりごと

詩吟と漢詩・漢文が趣味です。火曜日と木曜日が詩吟の日です花も酒も好きな無口な男です。

十八史略 司徒王允、呂布をして董卓を刺殺せしむ。

2011-10-01 08:30:08 | 自由律俳句

司徒王允等、密謀誅卓。中郎將呂布、膂力過人。卓信愛之。嘗小失卓意。卓手戟擲布。布避得免。允結布爲内應。卓入朝、伏勇士於北掖門刺之。卓堕車大呼呂布。布曰、有詔討賊臣。應聲持矛、刺卓趣斬之。先是卓築塢于郿、積穀爲三十年儲。金銀・綺錦・奇玩、積如丘山。自云、事成據天下。不成守此以老。至是暴屍於市。卓素肥。吏爲大炷、置臍中然之。光達曙者數日。卓黨與兵犯闕、殺王允。呂布走。

司徒王允(おういん)等、密かに謀って卓を誅す。中郎将呂布(りょふ)、膂力(りょりょく)人に過ぐ。卓之を信愛す。嘗て少しく卓の意を失う。卓、手づから戟(ほこ)もて布に擲(なげう)つ。布避けて免(まぬか)るるを得たり。允、布に結んで内応を為さしむ。卓の入朝するとき、勇士を北掖門(ほくえきもん)に伏せて之を刺す。卓、車より墜ちて、大いに呂布を呼ぶ。布曰く、「詔(みことのり)有り賊臣を討つ」と。声に応じて矛を持ち、卓を刺し趣(すみや)かに之を斬る。是より先、卓、塢(お)を郿(び)に築き、穀を積んで三十年の儲(ちょ)を為す。金銀・綺錦・奇玩、積むこと丘山の如し。自ら云う「事成らば天下に拠(よ)らん。成らずんば此(これ)を守って以って老いん」と。是(ここ)に至って屍(し)を市に暴(さら)す。卓、素(もと)より肥えたり。吏、大炷(だいしゅ)を為(つく)って、臍中(せいちゅう)に置いて之を然(や)く。光、曙に達する者(こと)数日なり。卓の党、兵を挙げて闕(けつ)を犯し、王允を殺す。呂布走る。

膂力 筋力、腕力。 北掖門 正門の脇にある小門。 趣 おもむきの他に速やか、取る、の意がある。 塢 堤、土塀。 郿 郿県。 儲 貯え。 大炷 大きい灯心。 闕 宮殿。

司徒王允らは、密かに共謀して董卓を誅殺した。
中郎将の呂布は、力が人並みはずれてすぐれ、董卓は呂布を信愛していた。
ある時、呂布は些細なことで董卓の怒りにふれ卓が手ずから戟を投げつけたが、辛うじて身を躱して事なきを得たことがあった。これを知った王允は呂布を引き入れて内応させ、董卓が参内する時をねらって勇士を北の小門に潜ませて、董卓を刺させた。卓は車から落ちながら、大声で呂布を呼んだ。呂布は「詔である。賊臣を討つ」と言うなり、卓を刺し、間髪いれずに斬り殺した。
以前、董卓は郿県の領地に土塀を築き、三十年分の穀物を蓄え、金銀、綾錦、珍品の類を山のように積み上げ、「事が成れば天下をわが住処としよう。成らねばここで老いを送ろう」と言っていたが、ここに至って屍を市中にさらす結果となった。卓は平素から太っていた。役人が大きな灯心をへそに付き立てて、脂肪をもやしたところ、朝まで燃え続けること数日に及んだ。その後董卓の残党が兵を起こして宮城に攻め入り、王允を殺した。呂布は逃れ去った。


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