范廷召撃契丹。求援於高陽關都部署康保裔。亟赴之。廷召潛遁。保裔爲所圍、力戰死之。
李繼遷、先朝奪所賜姓名。冦邊不已。攻陥靈州。西涼六合酋長潘羅支、乞會王師討之。繼僊攻陥西涼府。潘羅支要而撃之。繼僊中流矢、死於靈州之境。其子明請降。復賜姓趙。後封爲西平王。
楊嗣・楊延朗、智勇善戰。加團錬使。虜憚之、目曰楊六郎。
范廷召(はんていしょう)契丹を撃つ。援(すくい)を高陽関の都部署康保裔(こうほえい)に求む。亟(すみや)かに之に赴く。廷召、潜(ひそ)かに遁(のが)る。保裔、囲む所と為り、力戦して之に死す。
李継僊(りけいせん)、先朝、賜う所の姓名を奪わる。辺に冦(あだ)して已(や)まず。霊州を攻陥す。西涼六合の酋長潘羅支(はんらし)、王の師に会して之を討たんと乞う。継僊、西涼府を攻陥す。潘羅支、要して之を撃つ。継僊、流矢に中り、霊州の境に死す。其の子徳明、降を請う。復た姓を趙と賜う。後、封じて西平王と為す。
楊嗣・楊延朗、智勇にして善く戦う。団錬使(だんれんし)を加う。虜(りょ)之を憚って、目(もく)して楊六郎と曰う。
高陽関 今の河北省の地。 都部署 兵事を掌る部署。 先朝 先帝太宗の朝。 西涼六合 西涼は涼州甘粛省、六合は六谷とも。 要 待ち伏せする。 団錬使 義兵を募って団結して防衛にあたる。 六郎 排行、一族中の六番目。
范廷召が契丹を撃ち、高陽関の都部署、康保裔に救援をに求めた。康保裔はすぐさま救援に赴いたが、范廷召は、到着前に密かに逃げ出した。康保裔は契丹の兵に囲まれて力戦したが戦死してしまった。
西涼の李継僊は、先帝太宗のとき、張保吉の姓名を賜ったが宋にそむいて取り上げられていたが、以来度々辺境に侵攻して、遂に霊州を攻め陥した。西涼六合の酋長潘羅支が、官軍と合力して之を討ちたいと願い出た。李継僊が西涼府を陥落させると、潘羅支は待ち伏せてこれを攻撃し、継僊は流矢に中って、霊州の国境で死んだ。子の徳明は降服を願い出て許され、復た姓を趙と賜った。後に西平王に封ぜられた。
楊嗣と楊延朗はともに、智慧と勇気に富み善戦したので、功を賞して地方武官の団錬使に任じた。契丹は延朗を畏れ憚って、楊六郎と呼んだ。
李繼遷、先朝奪所賜姓名。冦邊不已。攻陥靈州。西涼六合酋長潘羅支、乞會王師討之。繼僊攻陥西涼府。潘羅支要而撃之。繼僊中流矢、死於靈州之境。其子明請降。復賜姓趙。後封爲西平王。
楊嗣・楊延朗、智勇善戰。加團錬使。虜憚之、目曰楊六郎。
范廷召(はんていしょう)契丹を撃つ。援(すくい)を高陽関の都部署康保裔(こうほえい)に求む。亟(すみや)かに之に赴く。廷召、潜(ひそ)かに遁(のが)る。保裔、囲む所と為り、力戦して之に死す。
李継僊(りけいせん)、先朝、賜う所の姓名を奪わる。辺に冦(あだ)して已(や)まず。霊州を攻陥す。西涼六合の酋長潘羅支(はんらし)、王の師に会して之を討たんと乞う。継僊、西涼府を攻陥す。潘羅支、要して之を撃つ。継僊、流矢に中り、霊州の境に死す。其の子徳明、降を請う。復た姓を趙と賜う。後、封じて西平王と為す。
楊嗣・楊延朗、智勇にして善く戦う。団錬使(だんれんし)を加う。虜(りょ)之を憚って、目(もく)して楊六郎と曰う。
高陽関 今の河北省の地。 都部署 兵事を掌る部署。 先朝 先帝太宗の朝。 西涼六合 西涼は涼州甘粛省、六合は六谷とも。 要 待ち伏せする。 団錬使 義兵を募って団結して防衛にあたる。 六郎 排行、一族中の六番目。
范廷召が契丹を撃ち、高陽関の都部署、康保裔に救援をに求めた。康保裔はすぐさま救援に赴いたが、范廷召は、到着前に密かに逃げ出した。康保裔は契丹の兵に囲まれて力戦したが戦死してしまった。
西涼の李継僊は、先帝太宗のとき、張保吉の姓名を賜ったが宋にそむいて取り上げられていたが、以来度々辺境に侵攻して、遂に霊州を攻め陥した。西涼六合の酋長潘羅支が、官軍と合力して之を討ちたいと願い出た。李継僊が西涼府を陥落させると、潘羅支は待ち伏せてこれを攻撃し、継僊は流矢に中って、霊州の国境で死んだ。子の徳明は降服を願い出て許され、復た姓を趙と賜った。後に西平王に封ぜられた。
楊嗣と楊延朗はともに、智慧と勇気に富み善戦したので、功を賞して地方武官の団錬使に任じた。契丹は延朗を畏れ憚って、楊六郎と呼んだ。