まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

吹き来る風が私に云う

2017年02月21日 | 日記

ついこの間
強烈な春一番が吹いたばかりだと言うのに・・・
東京にはまたまた強風注意報が発令。
いろんなものが吹き飛んで大荒れの天気でした。

春一番は知っていますが
気象用語に「春二番」とか「春三番」はあるのでしょうか。
風の強さもさることながら
凍えるほど寒かったり、汗ばむほどの陽気だったり
コロコロ猫の目のように変わる最近の天気にオジサンはついて行けません。
どうやら花粉も大量に飛散しているようで
クシャミ連発、鼻水ズルズルで「悲惨」な状態になっています。
この風ではさすがに仕事にならずお掃除は中止。
控室で本を読んで過ごしました。
先日、バイト帰りに古本屋さんの100円コーナーで買った
古い中原中也の詩集をパラパラとめくっていると・・

  これが私の故里(ふるさと)だ
  さやかに風も吹いている
    心置(こころおき)なく泣かれよと
    年増婦(としま)の低い声もする

  ああ おまえはなにをして来たのだと……
  吹き来る風が私に云(い)う

有名な「帰郷」という詩の一節ですね。
高校時代は中也の詩をいくつもそらんじているのが自慢で
ずいぶんのぼせたものです。
中原中也は山口県・湯田温泉の出身ですが
詩人を夢見て都会に出たものの、なかなか思うにまかせず
逃げるように帰って来たふるさとで
五月の風に吹かれながら悔恨の念を噛みしめたのでしょうか。



風が少しおさまった公園の池では
カメがのんびりと「甲羅干し」の真っ最中でした。
見るからに長閑な光景ではありますが
これはミシシッピアカミミガメという獰猛な外来種で
生態系を破壊する困ったやつです。
もちろんカメが中原中也を知るはずもありませんが
この詩にピッタリの風景に思えました。

  ああ おまえはなにをして来たのだと……
  吹き来る風が私に云(い)う

そんな心境になったことが何度もあります。
心が故郷に向かう時は決まって弱気になっている時です。
ろくなことがありません。(笑)
春の嵐が吹き荒れる日は
心も激しく泡立つような日でした。