まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

いのちの初夜

2017年02月10日 | 日記

先日、図書館の本棚で
たまたま見つけて反射的に手に取った。
中学生の頃に読んでずっと心に突き刺さったままの本だった。
まだ15歳の私には衝撃的すぎる本だった。

北條民雄の名作「いのちの初夜」である。
さほど読書好きでもなかったボンクラ中学生が
この本を手に取ったのは多分に性的興味からだったと思う。(笑)
ところがそこに書かれている内容は
人間の凄まじいばかりの「醜さ」であり「悲しみ」であり
世の中にはこれほど絶望的な「業の病」があるのかという驚きであった。
この短編小説を読んで感動した作家・川端康成が
自ら「いのちの初夜」のタイトルを贈ったという話はずっと後になって知った。

北條民雄の体験に基づく私小説である。
主人公の尾田高雄はハンセン病の宣告を受けた23歳の青年である。
この小説が書かれた当時(昭和11年)は
ハンセン病は「癩(らい病」と呼ばれる慢性の伝染病で
有効な治療方法のない不治の病であった。
末梢神経や皮膚が冒され、知覚麻痺や神経痛、手足の変形など
さまざまな症状に苦しみながら死に至る。
郊外の療養所に強制的に収容された尾田は恐怖と絶望の中で
何度も自殺を試みるが死にきれない。
政府によるこの誤った「隔離政策」が後にさまざまな偏見と差別を生み出し
ハンセン病患者の迫害を招いたのはご存じの通りである。
治療法が確立し新規患者がゼロになった今も
その差別は連綿として続いている。

ハンセン病と言えば・・・
どうしても映画「砂の器」を思い出してしまう。
癩(らい)病に冒された父親とともに世間から身を隠すように
お遍路姿で放浪生活を続ける少年。
この忌まわしい過去を知られたくない一心から
世界的な名声を得た音楽家・和賀英良は殺人に手を染めてしまう。
そんな彼が逮捕を前に発表した新曲が
美しくも哀しい旋律で謳いあげる交響曲「宿命」だった。
日本映画を代表する名作だが
その背景にあるハンセン病者たちの苦難をあらためて思ってしまう。
人間はどんなことがあっても生き続ける「宿命」にある。
そんなメツセージがこめられた小説も映画も
ぜひ今の若い人たちにも触れて欲しいと思うのである。



言うべきことを言う

2017年02月10日 | 日記

雪こそ積もらなかったが
朝から雪まじりの雨が降る冷たい日だった。
茨城県の水戸では12センチの積雪でまるで雪国だった。



昨日は久しぶりのバイト休みで
美術館と映画館のハシゴをしようと計画していたのにアッサリ断念。
一日中、ひきこもって無為に時を過ごしてしまった。
こんな湿り気タップリの雨の日にも花粉は飛散するのだろうか
朝からクシャミ連発で鼻水がとまらない。
まあ、クシャミの連発ぐらいなら他人に迷惑はかけないが
就任以来、迷惑な「大統領令」連発のかの人は
世界中から批判を浴びている。



みぞれが降りしきる悪天候の中
安倍総理はかの人が待つアメリカヘ嬉々として旅立って行った。
まるでシッポでも振るように・・・
などと表現したらさすがに一国の首相に失礼だろうか。
アベノミクスの失敗を誤魔化すためか
最近はとにかく外交で点数を稼ぎたいと必死の形相である。
大統領選の当選が決まった直後に
真っ先にトランプタワーにはせ参じた時も呆れたが
余りにも強引な「移民政策」に世界中の首脳が批判の声を高め
トランプ政権との距離を計っているこの時期に
早々と日米首脳会談とは、外交センスそのものを疑ってしまう。
なんでも早ければいいという問題ではない!



今回の首脳会談ではゴルフを一緒に楽しむと言う。
確かにゴルフは良くも悪くも「人間性」が出るメンタルスポーツで
豪華なメシを食うよりはるかに相互理解に役立つが
それも時と場合、相手にもよるのである。
相手はディール(取引)を得意とする百戦錬磨の不動産屋だけに
ボンボン育ちの安倍首相を丸めこむなど
赤子の手をひねるよりた易いことではなかろうか。
ゴルフ好きの二人が一緒に仲良くプレーする姿は世界中に配信され
日本の「対米従属外交」をよりより強く印象付けるだろう。
世界の失笑を買うのではなかろうか。
安倍首相は「言うべきことは言う」と力んでいるが
先日の衆院予算委員会でトランプの移民政策について聞かれた時も
平気な顔で「コメントする立場にない」と突っぱねた。
そんな人間が本当に言いたいことを言えるのか?
全く期待が出来ないのである。