太田進研究室

太田進研究室の日々の出来事やその時に感じたことを記録していきます。また家庭での生活もつれづれに書いていきます.

うれしいこと、そして感謝

2010-06-29 | 研究室
 今日は、朝からうれしいことがありました。

 朝、起きてメールチェックをすると、英語論文の編集者から返事がありました。投稿した論文がaccept(採択)とのことでした。この論文は、初めての投稿から2年半かかっています。尚更うれしいacceptです。最初に投稿したのは、Physical therapyというジャーナルでした。1回目のrevision(編集者、査読者から質問や指摘を受けること)では、内容をほめられ、よしいけると思いました。その中で統計に関する指摘があり、統計に詳しい先生と相談した結果、相手の指摘を反論するような返事を書きました。見事に次の返事はreject(不採択)でした。

 次は、医師が中心のKneeというジャーナルに投稿しました。人工膝関節に関する研究であり、内容もオペの内容に触れざるを得ません。その結果、私の本来言いたい内容よりもオペの説明に編集者は意見が傾きrejectとなりました。

 その後、今回採択されたManual Therapyに投稿しました。こちらも最初のrevisionは、not badと言う感じでしたが、次のsecond revisionでは、英語のミスが多いと言うことでrejectになりました。英語校正はちゃんと業者に出しているのに。さすがにぐったりです。

 ただ、そこのコメントで英語のミスをなくすようにということ以外にも修正のコメントがあり、他の論文に出しなおす時はタイトルもこのようにした方が良いと書かれていました。その後、組み立てを修正して再度、rejectされた時のコメントのタイトルに変更して出し直しました。そして、今回の採択に至りました。

 教訓としては、査読者には逆らわないということと、医師が編集するジャーナルには、オペの内容記載が多く必要なものは、その指摘が多くなることです。また、rejectされても、また出しなおせば諦める必要はないということです。そう思うと、最初にrejectされたPhysical Therapyに統計を反論してごめんなさいと言うことで、編集者の指示に従い統計の方法を変えて出し直していればもっと早く採択されたような気もしています。しかし、この様な経過があったから実感したことでもあります。この経験は、自分が指導した学生が投稿論文からrejectされても同じジャーナルに出し直しをさせるかもしれません。いづれにしても、このような論文掲載までの苦渋の経過を見て、現在論文投稿で苦しんでいる人たちに勇気?(これなら私の方が良いかもと)を与えられればと思います。

 本論文のデータ取りは、私が豊橋市民病院と豊橋市役所を兼務していた時に行ったもので、その時の献身的な協力者の豊橋市民病院の神谷猛先生と森坂文子先生に深謝します。もちろん共著者です。

 さて、夕方自宅で家事をしているとJOSKAS(日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会)事務局より電話がありました。すぐに思い当たることは、3ページまでの論文を6ページ書いてしまったので、超過分のお金を払わないといけないことと今年度の会費未納です。すみませんと謝って電話に出たところ、その件ではありませんとのことでした。

 よく聞いてみると、昨年度発表した内容(論文)が膝関節部門で学会賞を取ったのでおめでとうございますとのことでした。全く予期せぬうれしいことでした。今週金曜日から土曜日まで沖縄でJOSKAS学会がありそこで表彰するので総会に出席してくださいとのことでした。参加者(著者)の殆どは、関節を専門とした整形外科医師ですので、私のようなPTがと信じられない気持ちです。

 内容は、太田研究室初めての学部学生との研究で、そのため何から何まで初めてであり、苦労したことを思い出します。その時の学生であった上田君、相本君には教えるどころか、随分助けられた感じがしています。彼らなくしてこの受賞はありません。ありがとう。事務局からの電話を置いた後は、すぐに通常の家事の戻りました。今日は、発泡酒ではなく、スーパードライで乾杯です。

 また今日は、先日とは別の海外の方で私の研究室に興味がある方と午後から話をしました。工学を専門としている方で、私のいつものアイデア一発モノ作りの説明をしました。英語での話しですが、最近は英語を使うことがなぜか増えています。ただ、私のwebsiteは、未に一部しか英語にしていませんが、皆さんwebsiteを見て問合せをしてくれます。不思議なものです。

20106.21-25

2010-06-25 | 大学
 4年生の臨床実習III(5週間)も残り半分を切りました。どんどん学生として、人として成長をしていることでしょう。次回会うのが楽しみです。

 21日は、夕方から豊橋市内の老人保健施設で介護・福祉機器の開発を目的にした集い(東三河リハビリテーション工学懇談会)を行いました。今回は、企業に参加してもらい形状記憶合金を利用した介護支援製品を体験させてもらいました。現場の介護の方と意見交換もできました。今後この会も一つもしくは二つくらいに開発目標を絞り、実際の開発、研究費の申請に持って行きたいものです。

 22日。4月以降、初めて休みを取りました。午前中はゆっくりし、昼に家内と豊橋カレーうどんをまた食べに行きました。別の店でないとスタンプラリーにならないため、よその店に行きました。すっかりラリーにはまっています。午後からは、家内の仕事の送り迎いと久しぶりに友人のイギリス人と会って話をしました。と言っても、形はレッスンを受ける形にして、先日の英語論文の修正の校正と7月上旬の学会でスライドは英語というものの校正もしてもらいました。結局、仕事をしていたような感じでした。

 23日。16時から博士後期課程中間発表がありました。さすがに後期課程ですので、発表者も慣れているし、内容も修士から継続しているものもあり、方向性は分かりました。しかし、中間発表はいつものことですが厳しい質問が飛び交いました。私もそこそこ厳しい質問をと思っていましたが、教授陣の質問が続き私が質問をする時間はありませんでした。発表者の3名。お疲れ様。

 24日。豊橋市民病院で午後から事前にお願いされた外来の方を治療をしました。他院でリハをしていて終了になった方でした。他院で担当していたPTは、太田研究室OBでもちろん患者さん、主治医の了解の下、事前に調整をして一緒に患者さんを診ました。大学での講義では難しいですが、実際の臨床を一緒に経験するととても伝えやすいと感じました。

 25日。海外の方で私の研究室に興味を持ってくれた方と午後から話をしました。自分がアメリカで留学をお願いに言った時のことを思い出しました。

 ところで、今日は朝4時に起きて、日本・デンマーク戦を見ました。3点目はしっかり見ていましたが、あと30秒早く起きていれば2点目もliveで見れたのでした。サムライジャパンのキーワード「チーム力」。太田研究室のキーワードと一緒です。

スポーツ傷害予防研究会と豊橋カレーうどん

2010-06-22 | 臨床
 6/20。東三河地区のスポーツをキーワードにした傷害予防の研究会が朝10時からあった。これで第41回目となる。現在は年に2回のペースで行っている。私は後脛骨筋機能不全を調べ発表した。後脛骨筋の機能低下は扁平足の原因の一つで、後脛骨筋は足の裏のアーチを上げる中心的は筋肉でスポーツの世界でもその言葉は良く耳にする。いろいろな研究の最後に後脛骨筋機能不全があるのではないかと結論付けられることも良くある。しかし、それをどのように評価して定義しているかは、私は知らなかったため、今回の機会をそれを調べる良い機会として使った。しかし、文献検索を始めると全く定義や分類を見つけることができなく苦慮した。やっと英語論文と2つの日本語論文(橋本,慶応医学,2004)(野口,靴の医学,2004)を見つけてまとめる事にした。英語論文も足部のセグメント定義をして3次元解析しているものが最近多くある。結果は、特に普通であり歩行時にアーチが下がる、踵骨が回内する、第1趾MP関節の伸展(背側への動き)が大きくなると言うものが主流であった。ただ、私も足関節の背屈制限に関する研究をしているが、後脛骨筋機能不全者の方が背屈制限(アキレス腱を含むふくらはぎの筋肉が硬い)が大きいことは興味深い知見でだった。

 その他、足趾の屈曲筋力について、投球傷害の股関節可動域について、結滞動作(腰のところで紐を結ぶような姿勢:肩が悪くなると取れない姿勢)は、肩関節の内旋であるが棘上筋(肩関節外転)が影響しているのではないかという話でした。どれも興味深いものでした。

 さて、研究会にはPTのみでなく、柔道整復師や鍼灸マッサージでスポーツの現場で活躍してみえる方々が参加してくれた。私の研究室のOBも発表をしてくれ、会を盛上げ、早くも恩返しをしてもらっているように感じた。

 さて、その後一部のメンバーと昼食を取った。私の行きつけの蕎麦屋さんに行き、豊橋カレーうどんを食べた。現在豊橋では豊橋カレーうどんを広めようとスタンプラリーをやっている。豊橋カレーうどんには5つの定義があるそうな。
1.自家製麺を使用する
2.器の底から、ご飯、とろろ、カレーうどんの順に入れる
3.豊橋産ウズラを使用する
4.福神漬又は壷漬を添える
5.愛情を持って作る

食べ方は、先に混ぜずにカレーうどんを食べてから、その後ご飯と絡めてカレーライスにして食べるそうな。でも大変美味しかった。







 

地域での研究と学術大会

2010-06-18 | 研究室
 6/14-6/18は、夜が遅くなる日が多くあった。
 6/16。夕方から豊橋創造大学で、研究セミナーがあり参加した。地域のPTの方も参加していた。私は、もともと月に1回ぐらいのペースで膝関節装具の研究打ち合わせをしていたので、その延長線で参加した。3題の発表があり、2題は私に関連していた。多くの学会が秋に開催され今はその締め切りが目白押しである。私の関連した発表もどの学会にエントリーするかなども話し合った。膝装具の研究も今後は情報発信する時となった。結果を「なぜ」と考えるとそこから議論が起こり、またそれらの意見を裏付ける他の結果を解析できると正にディスカッションをする価値が生まれる。そんなディスカッションは楽しく気がつけば、11:15になっていた。名古屋で行っていたら終電ギリギリ。

 6/17は、名古屋大学保健学科で行われた講演会「地域で行う研究と保健活動への応用」
講 師:岩佐 一 先生(東京大学大学院医学系研究科老年社会科学講師)に参加した。心理の先生で地域での自宅に訪問しての介入研究をしてみえた。私もデイサービスでの研究を実施しているため、参考になればと思い、眠らずに聴講した。私の感じた所感はこんな感じです。
1.地域高齢者への介入研究は、マンパワーが必要。
2.地域高齢者への介入研究は、negative dataも多くある。しかしそれはそれとしてしっかりまとめられている。
3.参加型の研究(ある研究をするので希望する方は集まってくださいと言うような研究)は、参加する人が既に健康意識が高く、良い結果が出やすい。「真のリスクを持った人」を対象にできていない。
4.認知症とその対象者の同意の取り方(認知機能と本人から同意を取って良いかの基準)に関しては、基準がはっきりしていない。評価表も大切だが複数の評定者がいると良い。
5.我々の実施しているデイサービスの研究は、「真のリスクを持った人」に近いかもしれないと感じた。

 ちょうど、6/17の中日新聞で介護予防事業の効果検証が8月から10万人規模で開始されると書かれていた。事業仕分けでも地域の差異を問われたとのことである。

 6/18。夕方から愛知県理学療法士会の学術大会部の集まりがあり参加した。本年度は、3月6日に学会があり、来年度の準備も始まっている。いろいろな学会に参加するが、運営の方々の尽力には頭が下がる。少しでも運営に係わる人間として、読めないのが発表者数。是非とも多くの人に発表をしてもらいたい。

 6/18。10:30頃帰宅しメールチェックをすると、以前Revisionで投稿した英語論文が戻ってきた。Minor revison(もうちょっと直しなさい)であった。もう一息。うれしい知らせだった。

基礎医科学実習と名古屋リウマチネットワーク

2010-06-13 | 大学
 6/7(月)からの週は、月曜日のキャンパスクリーンから始まりました。例年同様に、草刈機を使用して草を苅りました。1年に1回ですが、草の匂いの中で汗はかきますがとてもリラックスもできます。小さい頃から、安城市の田んぼの真ん中で育ったからでしょうか。春は、一面レンゲ畑で、そこで良く寝そべっていました。草取りをするとその時の匂いを良く思い出します。月曜日は、河村先生と私で草苅り機を使用し、2・3年生がその草を集め、また鎌で草刈もしてくれました。水曜日は、1年生が中心に草刈を行いました。お疲れ様でした。

 さて、6/11は、大学院生を対象に、基礎医科学実習を終日行いました。2次元および3次元動作解析の基礎の話とビデオカメラを使用しての2次元動作解析の実習です。昨年は、1日で行ったため、自分たちで画像を取り、PCに取り組むことはしませんでしたが、本年は2日に分け、そのような実習に修正しました。デジカメやビデオカメラの画像の圧縮方式が異なり、苦慮しました。ただ、参加した院生さんたちはそのような圧縮形があることやその変換などとそれを1枚1枚の画像に落とすとこまでは、理解できたのではないかと思います。無料でできる解析ですが、参加した放射線科(医用)の院生さんからの意見もあり、使用する無料のImageJの用途はもっとありそうだと感じました。

 6/13。今日は、午後から名古屋市中区区役所で行われた名古屋リウマチネットワークの市民公開講座に講師として参加してきました。名大整形外科の石黒教授、愛知医大の坂野教授のあとに30分のリハビリテーションの話をさせて頂きました。講演の話を頂いた時から、悩んでいたのは紹介した運動で症状が悪くなる事です。臨床で担当した患者さんであれば、次回運動内容を変更するなどできるのですが、1回の講演ですので、そこが一番悩みました。結果的には、肩関節の外旋を維持(予防)する話と肩甲骨の動き、姿勢、お風呂の中の運動である入浴運動を紹介しました。「知って得するリハビリテーションの話」と題しましたので、通常のパンフレットなどに載っていないもので、皆さんが一つでも得したと思えるように工夫したつもりですが、まだまだ不十分と感じています。また、運動の紹介の前にお話した現在実施している私の研究もまだ途中ですので、リウマチの方に安心して利用していただけるようなもの(装具など)になるようにまだまだ研究が必要と感じました。繰り返しになりますが、参加者の皆さんに少しでもお役に立てばと切に願います。