GOVAP便り

プノンペンからモンドルキリに、その前はTAY NINH省--AN GING省--HCM市GO VAP

緑色のメコン河

2010-05-13 23:01:11 | 天気
乾期のメコン河は上流から運ばれる土壌の流入が少ないため雨期とは違って澄んだ色を見せています。思えば埼玉を流れる入間川も台風の後では土の濁った色をして流れてました。
昨日の朝、と言っても10時近くでしたが、ロンスエンからBam Congのフェリーで後河を渡る時、5月の青空の中を巨大な雲がムクムクと昇り立ち、その下のメコン河の色を今までここで見たことのない緑色に染めてました。
(残念ながら画像では何故か緑色に見えませんが)

「これは凄い」と跨っていたバイクから降り、携帯電話のカメラに画像を納めようとしました。一人で興奮してデッキの後部に行ったところ、河の水の色に心を奪われた様子の人間は他には誰もなく、後方デッキの左右では一人づつ男が放尿してました。折角一人で盛り上がっていたのにガックリ。

M.デュラスがヴィンロンのフェリーを渡る時、もし同じように放尿してる男がいたら「ラ・マン」の小説は違ったものになっていたかも知れません。

『河を眺める。母からときどき聞かされてた通りだ、生涯をとおして、これほど美しい河、これほど原始のままの河を二度と見ることはないだろう、・・・』

誰かこの緑色に染まったメコン河を見て小説にしてくれないだろか、と思ってしまうのは、このこの景色を見てわが想像力の貧困-テンプターズの「エメラルドの伝説」の歌詞しか思い浮かばないためです。

ヴィンロンに続いて、カントーにも橋が架かり、フェリーが失われることによってこの地を訪れる外国人の想像力も間違いなく失われていくに違いありません。

しかし、そこで生活する人間にとっての問題はまた別なのでしょうけど。後10年もすれば、このBam Congにも橋が架かる予定のようです。

ロンスエンで後河を渡るにはもう一つ街中にAn Hoaのフェリーがあります。人間一人にバイク一台で4000ドンのチケットを買うわけですが、このチケット売り場の若い女性と何度怒鳴り合いを演じたことか。ロンスエン側の売り場は問題ないのですが、ドンタップ側の売り場の女性です。前回も5000ドン札を渡すとお釣りをくしゃくしゃにしたままの500ドン札2枚を乱暴に投げて来ました。誰に対しても不機嫌を爆発させているかのような仕事振りです。

きょう、帰りに乗ったフェリーでは、空は降り出しそうな雨雲に覆われ、河の水も色彩を欠いていました。隣に止めた車の運転手が車から降りてきて話し掛けて来ました。またまたバイクの話です。80年ほど前、デュラスが乗ったフェリーの上で当時のベトナムの人々はどんな会話を交わしていたのでしょうか。