Vi Thanhに着いた日は特に暑く感じられ、直ぐに砂糖黍畑を探しに出掛ける気力も失われて、ホテルの部屋でシャワーを浴び、水をたら腹飲んでエアコンと扇風機の風に当たっているうちに眠ってしまいました。夕方涼しくなってから外出し、国道沿いに位置するカントー製糖工場は直ぐにわかりましたが、砂糖黍畑はまるで見当がつきません。
地図には製糖工場の近くで国道61号線のバイパスの分岐があることになってしますが、実際にはそんな道路はなく、予定道路のようです。だいぶ薄暗くなって来たので、この当てにならない地図に頼るよりは、翌日一日時間もあることだからゆっくり省内を気ままに回ってみよう、ということにしました。
砂糖黍を作るより米を作った方が収入になるらしく、したがって米作に適さない場所に砂糖黍畑はある筈だから、カントー市の近くよりはバクリュウ省に近い南方向ではないか、と思って、翌日は南方向へ走ってみることにしました。
しかし、夥しい水路の数に比べ道路は悲しいほど限られた本数しかありません。南に向かう省道らしき道路は地図では3本だけ。しかも2本は途中で途切れてます。Nang Mauの町を右折する道路を行ってみることにしました。
道は次第に閑散とした地域に入って行きましたが、木立の向こう側に見えるのは主に水田で、ニッパヤシに覆われた薄暗い林の中を進んでも砂糖黍は見えません。細い道が幾つか分岐するようになり、折れてみようかとも思いましたが、帰りに迷うだけなのでひたすら水路沿いに直進しました。
しかし景色は変わらず、諦めて鳥の鳴声を聞き澄ましたり、蓮の葉の上に乗ったアヒル(?)の雛を眺めたり、その場を楽しむことにしました。橋の上からビデオを撮っていると、近くの家から「こっち来て水でも飲んで行けや」ってな声を掛けてもらったので、お邪魔して来ました。
木の柱はしっかりしてましたが、壁や屋根はニッパヤシで葺かれていて、床は土間。家の中には大きな籾摺り機が設置してありました。この機械は現役ですか?と聞きたくなるような風情がありました。「人に頼まれた時だけ動かすんだ」そうで、この日は稼動してませんでした。籾米がビッシリとはち切れんばかりに詰まった袋が何個も積み重ねて置いてありましたが。
6歳ぐらいの男の子と年頃の娘さんとご夫婦の4人家族でしたが、その上にもう1人子供があり、町で働いてるそうです。お嬢さんはとてもチャーミングでしたが、カメラを向けると逃げ出してしまい折角の器量を収めることはできませんでした。
その代わりに帰り際、猫がトカゲを捕まえてきて楽しませてくれました。工場の庭にいるトカゲと同じ種類のものでした。このトカゲ、走る姿が、かつて80年代だったかTVコマーシャルで見たエリマキトカゲに似ています。それだけに猫に食べられてしまうのは可愛そう、と思ってしまったわけですが、猫には猫の立場もあるだろうし。
子供の頃は素手で何度もトカゲを捕まえたことがあるので、猫にしてみればトカゲを捕まえることなど簡単であるに違いありません。食べるために捕まえたのか、それとも自慢するために家に持ち帰ったのかは知りませんが、全員が注目する中、突然トカゲが逃げ出しました。そして再度捕獲し、すると仔犬が寄ってきてパフォーマンスに参加しました。
向かいの家では二人の子供のお母さんがニッパヤシの葉を編んでいました。編むというより、ビニール紐を細く裂いた糸で葉を縫う作業です。この近所では何軒もが同じ作業をしていました。この葉は何年位持つものなのか尋ねてみたのですが、話はかみ合わず、一方的にペラペラ喋り捲られました。日本人なのでベトナム語は良く聞き取れないんですが・・・と言うと、「でも良いわよ、妹の亭主が台湾人なんだけと全然ベトナム語が分からないからって何時も母がこぼしてるんだから・・・」てな具合。
同じメコンデルタの省の中でもこのニッパヤシの家の生活と町の暮らしとではまるで別世界です。この落差は一体何なのでしょうか。農村の美徳が失われ、それとは断絶したところに成立しているベトナムの都市って感じもします。
この家は、ここに越して来て10年だそうで、籾摺り屋一家はまだ2年だそうです。農村への人口流入がメコンデルタでは今でも可能な社会ということかも知れません。
地図には製糖工場の近くで国道61号線のバイパスの分岐があることになってしますが、実際にはそんな道路はなく、予定道路のようです。だいぶ薄暗くなって来たので、この当てにならない地図に頼るよりは、翌日一日時間もあることだからゆっくり省内を気ままに回ってみよう、ということにしました。
砂糖黍を作るより米を作った方が収入になるらしく、したがって米作に適さない場所に砂糖黍畑はある筈だから、カントー市の近くよりはバクリュウ省に近い南方向ではないか、と思って、翌日は南方向へ走ってみることにしました。
しかし、夥しい水路の数に比べ道路は悲しいほど限られた本数しかありません。南に向かう省道らしき道路は地図では3本だけ。しかも2本は途中で途切れてます。Nang Mauの町を右折する道路を行ってみることにしました。
道は次第に閑散とした地域に入って行きましたが、木立の向こう側に見えるのは主に水田で、ニッパヤシに覆われた薄暗い林の中を進んでも砂糖黍は見えません。細い道が幾つか分岐するようになり、折れてみようかとも思いましたが、帰りに迷うだけなのでひたすら水路沿いに直進しました。
しかし景色は変わらず、諦めて鳥の鳴声を聞き澄ましたり、蓮の葉の上に乗ったアヒル(?)の雛を眺めたり、その場を楽しむことにしました。橋の上からビデオを撮っていると、近くの家から「こっち来て水でも飲んで行けや」ってな声を掛けてもらったので、お邪魔して来ました。
木の柱はしっかりしてましたが、壁や屋根はニッパヤシで葺かれていて、床は土間。家の中には大きな籾摺り機が設置してありました。この機械は現役ですか?と聞きたくなるような風情がありました。「人に頼まれた時だけ動かすんだ」そうで、この日は稼動してませんでした。籾米がビッシリとはち切れんばかりに詰まった袋が何個も積み重ねて置いてありましたが。
6歳ぐらいの男の子と年頃の娘さんとご夫婦の4人家族でしたが、その上にもう1人子供があり、町で働いてるそうです。お嬢さんはとてもチャーミングでしたが、カメラを向けると逃げ出してしまい折角の器量を収めることはできませんでした。
その代わりに帰り際、猫がトカゲを捕まえてきて楽しませてくれました。工場の庭にいるトカゲと同じ種類のものでした。このトカゲ、走る姿が、かつて80年代だったかTVコマーシャルで見たエリマキトカゲに似ています。それだけに猫に食べられてしまうのは可愛そう、と思ってしまったわけですが、猫には猫の立場もあるだろうし。
子供の頃は素手で何度もトカゲを捕まえたことがあるので、猫にしてみればトカゲを捕まえることなど簡単であるに違いありません。食べるために捕まえたのか、それとも自慢するために家に持ち帰ったのかは知りませんが、全員が注目する中、突然トカゲが逃げ出しました。そして再度捕獲し、すると仔犬が寄ってきてパフォーマンスに参加しました。
向かいの家では二人の子供のお母さんがニッパヤシの葉を編んでいました。編むというより、ビニール紐を細く裂いた糸で葉を縫う作業です。この近所では何軒もが同じ作業をしていました。この葉は何年位持つものなのか尋ねてみたのですが、話はかみ合わず、一方的にペラペラ喋り捲られました。日本人なのでベトナム語は良く聞き取れないんですが・・・と言うと、「でも良いわよ、妹の亭主が台湾人なんだけと全然ベトナム語が分からないからって何時も母がこぼしてるんだから・・・」てな具合。
同じメコンデルタの省の中でもこのニッパヤシの家の生活と町の暮らしとではまるで別世界です。この落差は一体何なのでしょうか。農村の美徳が失われ、それとは断絶したところに成立しているベトナムの都市って感じもします。
この家は、ここに越して来て10年だそうで、籾摺り屋一家はまだ2年だそうです。農村への人口流入がメコンデルタでは今でも可能な社会ということかも知れません。