ひよりの音楽自己満足

自分の好きなアルバムやアーティストを紹介させていただきます。

夢幻

2007-12-12 21:45:01 | Pageant系
 ここのところずっとジャパニーズ・プログレッシブ・ロック・バンド、略してJ-プログにハマっておりまして、あちこちのプログレ系を扱っているサイトのCDレビュー等を読んで、良さそうなのを買いあさっているわけですが、そもそもこのジャンルはかなりマニアックでマイナーなせいか、一部の有名バンドのものは廉価版で再発されたりして安く簡単に手にはいるのですが、ほとんどはとっくに廃盤になっていて入手困難。中古CDコーナーやオークションを毎日チェックして出品されるのを待つか、あるいは独自のインディーレーベルで売っているのを探すかしかないんですよね。なかにはプレミアがついて定価の十倍以上で取引されているのもあったりして。安月給サラリーマンのアタシには1枚のCDに2万も3万も払える余裕なんかないもんね。
 さて、今回紹介させていただくのは、80年代中期に活躍し、3枚のアルバムを残したシンフォニック系プログレの代表的なバンドで、キーボード奏者の<林克彦さん>率いる<夢幻/mugen>です。<夢幻>は1977年に当時ギター担当だった林さんと、ベース<加藤明さん>、ドラムス<中村剛さん>の3人で結成されたバンドが元になっていて、翌78年にリズム隊が脱退し、新たにベース<古田雅也さん>、ドラムス&ヴォーカル<中村隆士さん>が加入。そして本格的なプログレをやっていくことになり、古田さんがバンド名を<夢幻>にしようと提案されたとか。プログレとなるとキーボードが必要ということで、なんとここで大胆なパートチェンジを敢行。林さんがキーボードとギターを担当し、中村さんがヴォーカルとアコギを、古田さんがドラムス担当になり、ベーシスト加藤さんが復帰。バンドはシンフォニック・ロック方向に進みます。80年にはブックレット付のカセットテープを通販のみで限定発売して100本ほど売れたとか。その後、林さんはバンド活動を休止して作曲に専念し、“ファンタジー”を題材にして構想を練ったそうです。そしていよいよアルバムが!
 まずは84年に発表され、86年に一部新録されボーナストラック「レオナルドを私に」を加えて再発された写真左の1stアルバム「Sinfonia Della Luna」です。アルバム全体がキーボードを主体としたクラシック・シンフォニーで、月明かりの下の夜を叙情的かつ幻想的に表現された綺麗なサウンドです。林さんの優しいキーボードの音色に、中村さんの中性的なハイトーンの弱弱しい囁くような歌声がぴったりマッチしていて、曲の美しさを優雅に引き立てていますね。なかには妖精の踊りを表現した、幼児アニメのテーマみたいな可愛らしい曲もあったりします。ボーナストラックでは林さんの奥様の可愛らしい歌声も聴けます。
 この頃、プログレシーンが盛り上がりをみせて、いくつかのレーベルからセカンドアルバムをリリースしたいとのオファーがきたそうですが、これからというときにリズム隊の2人が音楽性の相違で脱退してしまい、バンドは林さんと中村さんの2人だけに。林さんはオファーをくれたレーベルに断りの連絡をしますが、あるレーベルが大物プログレバンド<NOVELA>のリズム隊に手伝ってもらってアルバムを制作するよう進言してくれたそうです。そして出来上がったのが86年に発表された写真上中央の2ndアルバム「レダと白鳥/Leda & Le Cygne」です。前作と同じ路線ですが、NOVELAの西田さんと笹井さんの他にもページェントの中嶋さん、宮武さん、大木さん、アウターリミッツの川口さん、という当時のプログレ・オールスターがゲストでバックアップしていて、前作よりもはるかにパワフルでスリリングで、よりいっそうドラマチックなシンフォ・プログレを堪能できます。リズム隊が強力なうえに要所要所で宮武さんのフルートや川口さんのヴァイオリンが曲をよりいっそう美しく盛り上げていて、圧倒されちゃいます。ラスト曲「亡き王女のためのパヴァーヌ」はラヴェルの曲で、それに歌詞をつけてヴォーカル入りで発表するはずだったのですが、クレームがついたために歌は断念し、リコーダーで歌メロを演奏しています。ライナーにはしっかり歌詞が記載されていて、ライブでは歌入りで演奏されたとか。再発のときに再度交渉したもののやはりNGだったそうです。難しいですねぇ・・・
 このあとバンドはドラムスに<引頭英明さん>、ベースに<長嶋信行さん>という<ページェント>のリズム隊を迎えてシングルをリリースします。そしてドラムスが<形山和夫さん>に、ベースが<松浦正平さん>に変わり、ギターに<藤井卓さん>を迎えて、写真右の3rdアルバム「過ぎ去りし王国の王女」を88年に発表します。このアルバムでは前2作の路線を継承しながらも、よりハードに、ダイナミックなサウンドに。なので曲がよりいっそう劇的な印象を受けます。1stアルバムが繊細な美なら、3rdアルバムは情熱の美みたいな。まさに“静”と“動”ですね。ドラマチックですばらしい作品です。
 バンドは残念ながら89年に解散。その後、林さんは以前紹介しました元ページェントの中村一晃さんが結成した<夜来香>に参加されたり、現在はプロデュース業のかたらわ、奥様と西新宿でプログレ専門のCD店を営んでおられます。
 この3枚のCD。2ndアルバム「Leda & Le Cygne」は現在でもフランスのレーベルから発売されており、輸入盤としていまでも通販や林さん経営のCD店で手にはいりますが、1stアルバムと3rdアルバムが廃盤で入手困難。アタシは<夢幻>を知ってから毎日のように某オークションをチェックしていて、先日やっと出品されたもので即入札。両方ともなんとか定価の倍近い金額ほどで落札できました。CDケースやジャケットが黄ばんではいるものの素晴らしい内容に大満足です。そのくらいの金額で手に入ったことは奇跡かも?でも・・・やはり良いものは多くの愛好家に聴いてもらいたいすから・・・なんとか再々発売してほしいものです。

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