知的障害者・精神障害者について考えよう

知的障害者施設、作業所やA型B型事業所の経験からの投稿にて、この業界に対する世間の理解を深めていきたいと思います。

最低賃金という縛り

2019年10月04日 | Weblog
10月から、各都道府県が最低賃金を改定しました。


私たち、就労継続支援A型を事業している人間にとって、この意味は非常に大きく、最近は毎年のように上がっていきます。


世間の景気の動向は、上向きか?というと、全くそんな訳はなく、むしろこの10月から導入された「消費税10%」のために、逆に下向き傾向に陥る可能性も大きいですね。


ガソリン代も大幅に上がり、一般人にとって、負担がどんどん増えていくのは、非常に悲しいことでもあり、目の前の生活をかかえて、のんびり出来ない状況があります。




私の勤務するA型事業所も、当然最低賃金改定による「雇用契約」をし直しました。


すでに、東京都や神奈川県は1000円を超えており、それは一般の労働者やパート、アルバイトの方には、少しの朗報になるのかもしれませんが、経営者側視点では、非常に辛い部分ですね。景気が上昇し、お金の動きが活発ならば、それもよい傾向として捉えられるかもしれませんが、世間は逆行しているというのに・・・。



私が感じたのは、(私はすでに還暦を迎えていますが)私が20歳代に働いていた頃に比べ、世間一般の給与が大幅に増えたのか?というと、約40年前と比べて、大きくは変わっていないように思います。私が20歳代の頃は、ほとんどが現在の銀行等の給与振込制ではなく、手渡しでした(公務員でも)。そのため、働いたあとの実感が感じられたものです。

銀行振り込み・・・という部分は、今回の問題ではないのですが、未だにその手続きや手数料等から、一部では未だ手渡しのところもあります。かくいう私の職場も同じです。(職員が少ないところは、こういう部分があるようですね)


もちろん、利用者の方にも、給与は手渡しです。

ただ、こういったA型事業所に関しては、手渡しの方が、先月頑張った・・・という利用者側の実感として、嬉しい・・・という意見を聞きます。A型事業所に就労されている利用者の方々は、それほど裕福な経済状況ではなく、ほとんどがギリギリの生活を送っておられる方が見られます。

(※受給者証をもらう段階で、前年度の家庭内の収入から、負担金が生じますが、数名の方は0円ではなく、次の9300円という、中途半端な負担金が生じています。
これも、大きな問題で、そのままA型に就労される方には、”やや”負担になりますが、中には精神疾患が重くなり、A型からB型に移行される方もあり、そういう方は、B型での給与の少なさから、ほとんど賃金がない(あっても2,3千円)という状態になります。別にB型が悪いわけではなく、そういった仕組みには、少し疑問も生まれます。)


最低賃金という名目は、確かに聞こえはいいのですが、世間の景気の動向に準じているのかというと、必ずしもそういう訳ではなく、各都道府県によって大幅に違いが生まれているように、その判断基準がまちまちですね。

A型事業所も、当然半分は企業的な部分もあり、景気に左右されるところは大きいです。


利用者に支払う賃金が上昇すれば、それだけの儲けが生じるか?というと、それも全く同じです。つまり、経営者にはただ負担が増えて、経営が苦しくなっていく・・・という悪循環でしかありません。


同時に、人員不足で、一般のパートやアルバイトの募集もかけていますが、その際の賃金も、最低賃金より”やや”多め、にするしか出来ません。つまり、A型で就労される利用者の方と、ほとんど同じ賃金で働いていただいている・・・という状況です(内容的には、責任は重く、仕事内容もより難しい部分を負ってもらっています)。


私も、業務上、利用者を集めるのが、現在立ち上げた状態での事業所の仕事でもありますが、同時に現場で勤務してもらえる一般の職員も募集をかけています。

その際に、各求人情報等に募集をかけるわけですが、他の求人も同様で、本当に世間の景気動向は厳しいものがありますね。



「最低賃金」という名目は、確かに考え方としてはいいとは思うのですが、あくまでも世間の景気と兼ね合わさったもので考慮してほしいと思います。


ひとつ間違えば、へたな「縛り」になり、零細企業やこうした収入が少ないA型事業所は、結局は自分の首を絞めるものになりかねません。


実際に、今の状況に接して、A型という事業所の職員をしていて、特に感じた意見です。




コメント
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